講演情報
[28-O-J005-06]通所リハでの栄養士の関わりと多職種連携体重増加に繋がった症例の報告と栄養士の今後の課題
鳥取県 ○野坂 友香 (介護老人保健施設さかい幸朋苑)
はじめに
令和6年度介護報酬改定で、リハビリテーションマネジメント加算(ハ)が新設された。リハビリ・栄養・口腔の一体的取り組みとして、栄養アセスメントの実施が必須になった。
通所リハビリテーションさかい幸朋苑(以下デイケア)では初めての通所リハの加算取得のため、全ご利用者約140名の身長・体重・食生活状況・口腔関係を介護職から情報を集め、データベースを作成してアセスメントを行った。
体重減少や食事摂取量低下など管理栄養士(以下栄養士)の介入が必要なご利用者を抽出し、積極的にリハビリ会議へ参加した。(リハビリ会議とは、リハビリ計画書を作成するために、多職種〈医師・リハビリ・歯科衛生士・介護士・ケアマネージャー(以下ケアマネ)・栄養士〉で協議・共有を行い、定期的に行う会議のことであり、ご利用者・ご家族も参加される。)
今回栄養士が支援し体重増加に繋がったご利用者の症例から、多職種連携の必要性と、栄養士の課題を報告する。
【事例紹介】
89歳 女性 要介護1
主病名及び既往:腰椎圧迫骨折、骨粗鬆症
【栄養士介入までの経緯】
腰椎圧迫骨折にて令和6年2月から4月まで入院され、ADL低下あり。下肢筋力低下を予防し転倒なく過ごし、日課の買い物や散歩を継続するために、8月より短時間デイケアを週4回利用開始となる。
令和6年9月、10月と体重減少が続き2か月で1.5kg減少(体重減少率4.8%)、BMI17.3と痩せのため、低栄養状態は中リスク。栄養アセスメントの結果を受け、ご本人とご家族が体重減少を心配され職員へ相談し、職員から栄養士へ支援を依頼した。
令和6年10月28日にご本人から聞き取りを行い、令和7年1月8日までの間にご本人と6回、ご家族と2回面談を実施した。
【取り組み内容及び結果】
ご本人は長男家族と同居されており、長男妻が調理した夕食を喫食。朝食と昼食は惣菜を活用しながら自身で食事を準備していた。
まず10品目チェックシートを活用し、自宅での食事内容の記入をご本人にお願いするが、難しいと言われ取り組めなかった。次に、一日に食べている食材の量を調べるために手ばかり表を使い、本人へ聞き取りを行った。その結果、一日の食事量が約900kcalと少ないことと、卵や大豆製品が足りないことが分かったが、ご本人には食事量が不足しているという認識はなかった。
ケアマネ同席のもとご家族と面談し、煮卵や煮豆など自宅で取り入れやすい具体的な料理のアドバイスを行った。ご家族の希望もあり施設で作成している献立表を渡し、料理のバリエーションを増やすのに役立ててもらった。協力的なご家族だったので、面談後にはアドバイスした内容を取り入れられ、約100~150kcal増えていた。ご本人も「おかずが増えている」という発言があった。
令和7年2月では、令和6年11月よりも2.5kg体重が増加。令和7年3月は2月の体重を維持。3月のBMIは18.3と痩せの範囲ではあるが、標準の18.5に近い数値だった。運動リハより、立ち上がりから歩行までの動作を測定するテスト(TUG)で令和6年10月8.2秒→令和7年1月6.4秒へ短縮し改善みられたと報告あり。ご家族からは、令和6年10月頃は外出時にご本人から手をつないでほしい等の訴えがあり転倒への不安がみられていたが、現在は転倒なく安定して長い距離を歩いていたとお話があり、日常での変化を体感されていた。
【考察】
もともとの身体能力が高くリハビリにも精力的に取り組まれていたが、摂取エネルギーが足りず令和6年9月以降に継続的な体重減少がみられたと考えられる。そのためリハビリや活動量に見合った摂取エネルギーを確保することで体重増加につながるため、食事量を増やす必要があった。リハビリ・ケアマネ・ご家族と連携し、食事量と不足している食品群の見直し、継続する事ができる具体的なアドバイスを食事に反映させることで摂取エネルギーが増え、体重増加に繋がった。
今回の支援で食事の聞き取りを行い、ご本人の「食べている」と栄養士が考える「足りている」内容には差があり、正確な問題把握が必要だった。デイケアご利用者の中には、食事に対する不安を抱えている方も居られるが、自覚されていない方が多数である。そのため本人や家族の依頼だけでなく、介護・リハビリ・ケアマネ目線での栄養介入が必要な方を抽出していくことで、幅広く必要な方へサービスを届ける事が出来ると考える。
【まとめ】
多職種でご利用者の情報を共有し、専門性を活かした支援を行うことで、必要なサービスを提供できる。栄養士の役割は、食生活改善及び調理面の助言をすることと考えるが、デイケアへの関わりはまだまだ少ない状況にある。ご利用者や職員にとって栄養士が身近な存在になるために、積極的なコミュニケーションを図っていく。気軽に食事相談できる場を目指して、令和7年5月からデイケアにて言語聴覚士とともに「食事教室」を始めている。自分自身の食事に興味を持つきっかけ作りをするとともに、フレイル予防ができる提案を行っている。今後は歯科衛生士も交え、リハビリ・栄養・口腔が協働し住み慣れた家での生活を支えていきたい。
令和6年度介護報酬改定で、リハビリテーションマネジメント加算(ハ)が新設された。リハビリ・栄養・口腔の一体的取り組みとして、栄養アセスメントの実施が必須になった。
通所リハビリテーションさかい幸朋苑(以下デイケア)では初めての通所リハの加算取得のため、全ご利用者約140名の身長・体重・食生活状況・口腔関係を介護職から情報を集め、データベースを作成してアセスメントを行った。
体重減少や食事摂取量低下など管理栄養士(以下栄養士)の介入が必要なご利用者を抽出し、積極的にリハビリ会議へ参加した。(リハビリ会議とは、リハビリ計画書を作成するために、多職種〈医師・リハビリ・歯科衛生士・介護士・ケアマネージャー(以下ケアマネ)・栄養士〉で協議・共有を行い、定期的に行う会議のことであり、ご利用者・ご家族も参加される。)
今回栄養士が支援し体重増加に繋がったご利用者の症例から、多職種連携の必要性と、栄養士の課題を報告する。
【事例紹介】
89歳 女性 要介護1
主病名及び既往:腰椎圧迫骨折、骨粗鬆症
【栄養士介入までの経緯】
腰椎圧迫骨折にて令和6年2月から4月まで入院され、ADL低下あり。下肢筋力低下を予防し転倒なく過ごし、日課の買い物や散歩を継続するために、8月より短時間デイケアを週4回利用開始となる。
令和6年9月、10月と体重減少が続き2か月で1.5kg減少(体重減少率4.8%)、BMI17.3と痩せのため、低栄養状態は中リスク。栄養アセスメントの結果を受け、ご本人とご家族が体重減少を心配され職員へ相談し、職員から栄養士へ支援を依頼した。
令和6年10月28日にご本人から聞き取りを行い、令和7年1月8日までの間にご本人と6回、ご家族と2回面談を実施した。
【取り組み内容及び結果】
ご本人は長男家族と同居されており、長男妻が調理した夕食を喫食。朝食と昼食は惣菜を活用しながら自身で食事を準備していた。
まず10品目チェックシートを活用し、自宅での食事内容の記入をご本人にお願いするが、難しいと言われ取り組めなかった。次に、一日に食べている食材の量を調べるために手ばかり表を使い、本人へ聞き取りを行った。その結果、一日の食事量が約900kcalと少ないことと、卵や大豆製品が足りないことが分かったが、ご本人には食事量が不足しているという認識はなかった。
ケアマネ同席のもとご家族と面談し、煮卵や煮豆など自宅で取り入れやすい具体的な料理のアドバイスを行った。ご家族の希望もあり施設で作成している献立表を渡し、料理のバリエーションを増やすのに役立ててもらった。協力的なご家族だったので、面談後にはアドバイスした内容を取り入れられ、約100~150kcal増えていた。ご本人も「おかずが増えている」という発言があった。
令和7年2月では、令和6年11月よりも2.5kg体重が増加。令和7年3月は2月の体重を維持。3月のBMIは18.3と痩せの範囲ではあるが、標準の18.5に近い数値だった。運動リハより、立ち上がりから歩行までの動作を測定するテスト(TUG)で令和6年10月8.2秒→令和7年1月6.4秒へ短縮し改善みられたと報告あり。ご家族からは、令和6年10月頃は外出時にご本人から手をつないでほしい等の訴えがあり転倒への不安がみられていたが、現在は転倒なく安定して長い距離を歩いていたとお話があり、日常での変化を体感されていた。
【考察】
もともとの身体能力が高くリハビリにも精力的に取り組まれていたが、摂取エネルギーが足りず令和6年9月以降に継続的な体重減少がみられたと考えられる。そのためリハビリや活動量に見合った摂取エネルギーを確保することで体重増加につながるため、食事量を増やす必要があった。リハビリ・ケアマネ・ご家族と連携し、食事量と不足している食品群の見直し、継続する事ができる具体的なアドバイスを食事に反映させることで摂取エネルギーが増え、体重増加に繋がった。
今回の支援で食事の聞き取りを行い、ご本人の「食べている」と栄養士が考える「足りている」内容には差があり、正確な問題把握が必要だった。デイケアご利用者の中には、食事に対する不安を抱えている方も居られるが、自覚されていない方が多数である。そのため本人や家族の依頼だけでなく、介護・リハビリ・ケアマネ目線での栄養介入が必要な方を抽出していくことで、幅広く必要な方へサービスを届ける事が出来ると考える。
【まとめ】
多職種でご利用者の情報を共有し、専門性を活かした支援を行うことで、必要なサービスを提供できる。栄養士の役割は、食生活改善及び調理面の助言をすることと考えるが、デイケアへの関わりはまだまだ少ない状況にある。ご利用者や職員にとって栄養士が身近な存在になるために、積極的なコミュニケーションを図っていく。気軽に食事相談できる場を目指して、令和7年5月からデイケアにて言語聴覚士とともに「食事教室」を始めている。自分自身の食事に興味を持つきっかけ作りをするとともに、フレイル予防ができる提案を行っている。今後は歯科衛生士も交え、リハビリ・栄養・口腔が協働し住み慣れた家での生活を支えていきたい。
