講演情報
[28-O-O005-03]トランスファーの標準化による内出血削減への取り組み
静岡県 ○渡邉 一樹1, 川上 正人1, 中島 一彦2 (1.介護老人保健施設ヒューマンライフ富士, 2.医療法人社団喜生会)
【はじめに】
自身の職場は認知症日常生活自立度3a以上の利用者が入所しており、車椅子利用率が高く、利用者の意向や状態に応じて臥床時間を設けている。そのためトランスファー(以下トランス)を行う機会が多くあるが、職員から「介助者によってやり方が違う」「利用者に個別対応ができていない」という声が聞かれていた。また、内出血インシデントが多く発生しており、統一した介助が出来ていないことが要因の一つとなっているのではないかと考えた。今回、内出血インシデントの削減と利用者への安全なケアの提供を目的に、トランス方法の標準化と可視化を行ったため報告する。
【対象及び期間】
対象:車椅子使用利用者54名 期間:令和6年4月~令和7年3月
【方法】
(1)内出血インシデント件数の集計及び原因分析。(前期令和6年4月~9月、後期10月~令和7年3月)
(2)職員へトランス方法を統一する目的、注意事項を説明し、意識の統一を図る。
(3)リハビリ科と連携し、利用者個別のトランス方法の見直しを行い、担当者が居室へ掲示。
例)トランス一部介助→トランス時、本人にL字バーを持ってもらい麻痺側のみ前方から脇を抱える
(4)個別対応掲示開始後、職員によるトランスに関わるインシデント件数集計を行い比較。
【結果】
(1)内出血インシデント119件 要因:利用者自身によるもの77件 職員の介助が関わるもの42件
(2)職員が各利用者のトランス方法の設定をする目的を理解したことで、意欲を持って担当利用者のトランス方法の見直しや再確認をすることができた。
(3)リハビリ科職員と連携したことで、個別のトランス方法を詳細まで決定できた。また、居室へ掲示したことで、介助の統一を図ることができた。
(4)トランスに関わるインシデント件数について、前期は20件発生していたが、取り組み開始後の後期には9件へと削減することができた。
【考察】
高齢者は、抗凝固剤などの内服薬の影響や、加齢に伴う皮膚の脆弱性があり、軽い衝撃や圧・接触など外的要因で内出血を発生しやすい。取り組み前、内出血インシデント予防のために、柵カバーの使用やレッグウォーマー・アームカバーの使用など、要因が利用者自身によるものに対して主に対策をとっていた。一方職員の介助中のインシデントについては口頭のみの指導が多く、トランス方法の詳細が決まっているのはすでにインシデントが発生してしまった後の利用者のみであった。事故分析を行い対策の模索をしている中で、職員からのトランス介助に関する疑問の声をきっかけに、トランス時のインシデント予防ができていないことに気づくことができた。介助方法を統一することは、介護職員の自己流の介護を防ぎ、利用者にとって安全な介助を提供できる。今回の取り組みを通し、内出血の原因を見直し、職員個々が正しい認識を持ち、トランス方法の標準化や可視化を実施したことで、インシデントへの意識づけができるようになったと考える。また、実際に内出血件数を削減できたことで、自分たちのケアによって予防ができると実感する事ができた。現在も個別のトランス方法の掲示は継続して実施している。 今後、利用者と職員双方にとって安全なトランスを実施するために、より実践的なボディメカニクスを学ぶ機会を作るなど、知識や技術を向上させる取り組みが課題である。
【おわりに】
今後も、利用者に合わせた安全な介助を意識し、内出血を伴うインシデントのさらなる予防に努めていきたい。
自身の職場は認知症日常生活自立度3a以上の利用者が入所しており、車椅子利用率が高く、利用者の意向や状態に応じて臥床時間を設けている。そのためトランスファー(以下トランス)を行う機会が多くあるが、職員から「介助者によってやり方が違う」「利用者に個別対応ができていない」という声が聞かれていた。また、内出血インシデントが多く発生しており、統一した介助が出来ていないことが要因の一つとなっているのではないかと考えた。今回、内出血インシデントの削減と利用者への安全なケアの提供を目的に、トランス方法の標準化と可視化を行ったため報告する。
【対象及び期間】
対象:車椅子使用利用者54名 期間:令和6年4月~令和7年3月
【方法】
(1)内出血インシデント件数の集計及び原因分析。(前期令和6年4月~9月、後期10月~令和7年3月)
(2)職員へトランス方法を統一する目的、注意事項を説明し、意識の統一を図る。
(3)リハビリ科と連携し、利用者個別のトランス方法の見直しを行い、担当者が居室へ掲示。
例)トランス一部介助→トランス時、本人にL字バーを持ってもらい麻痺側のみ前方から脇を抱える
(4)個別対応掲示開始後、職員によるトランスに関わるインシデント件数集計を行い比較。
【結果】
(1)内出血インシデント119件 要因:利用者自身によるもの77件 職員の介助が関わるもの42件
(2)職員が各利用者のトランス方法の設定をする目的を理解したことで、意欲を持って担当利用者のトランス方法の見直しや再確認をすることができた。
(3)リハビリ科職員と連携したことで、個別のトランス方法を詳細まで決定できた。また、居室へ掲示したことで、介助の統一を図ることができた。
(4)トランスに関わるインシデント件数について、前期は20件発生していたが、取り組み開始後の後期には9件へと削減することができた。
【考察】
高齢者は、抗凝固剤などの内服薬の影響や、加齢に伴う皮膚の脆弱性があり、軽い衝撃や圧・接触など外的要因で内出血を発生しやすい。取り組み前、内出血インシデント予防のために、柵カバーの使用やレッグウォーマー・アームカバーの使用など、要因が利用者自身によるものに対して主に対策をとっていた。一方職員の介助中のインシデントについては口頭のみの指導が多く、トランス方法の詳細が決まっているのはすでにインシデントが発生してしまった後の利用者のみであった。事故分析を行い対策の模索をしている中で、職員からのトランス介助に関する疑問の声をきっかけに、トランス時のインシデント予防ができていないことに気づくことができた。介助方法を統一することは、介護職員の自己流の介護を防ぎ、利用者にとって安全な介助を提供できる。今回の取り組みを通し、内出血の原因を見直し、職員個々が正しい認識を持ち、トランス方法の標準化や可視化を実施したことで、インシデントへの意識づけができるようになったと考える。また、実際に内出血件数を削減できたことで、自分たちのケアによって予防ができると実感する事ができた。現在も個別のトランス方法の掲示は継続して実施している。 今後、利用者と職員双方にとって安全なトランスを実施するために、より実践的なボディメカニクスを学ぶ機会を作るなど、知識や技術を向上させる取り組みが課題である。
【おわりに】
今後も、利用者に合わせた安全な介助を意識し、内出血を伴うインシデントのさらなる予防に努めていきたい。
