講演情報

[28-O-O005-04]リスクマネジメントの意識調査と取り組み

大阪府 菊 健一郎1, 奥田 由佳1 (1.介護老人保健施設岸和田徳洲苑, 2.介護老人保健施設岸和田徳洲苑)
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【はじめに】当施設は入所2フロア100床、デイ60床の介護老人保健施設である。リスクマネジメントにおいて最も重要なのは、第一に情報の共有であると考える。施設内のインシデント、アクシデント報告がされ、報告内容が迅速かつ正確に共有され、報告内容の分析、対応策が検討され伝達されることが大事である。これからのインシデント、アクシデント報告の取り扱いをより良くする為に、職員の意識調査を行い、今後の在り方について検証した結果を報告する。
【方法】
看護、介護職員36名を対象にリスクマネジメントの意識アンケートを実施した。
【結果】
  1.自分の業務の中にリスクマネジメントが必要だと認識している。
 認識している(88%) 認識していない(0%) どちらともいえない(12%)
 2.日常業務の中でリスク(事故、ミス、ヒヤリハット)を認識している。
  認識している(80%) 認識していない(0%) どちらともいえない(20%)
  3.転倒、転落などの事故防止について、積極的に取り組んでいる。
 取り組んでいる(100%) 取り組んでいない(0%) どちらともいえない(0%)
 4.自分の職場はリスク発生時に相談しやすい雰囲気がある。
 雰囲気がある(60%) 雰囲気はない(0%) どちらともいえない(40%)
  5.ヒヤリハットや事故が起きた時、報告や共有がスムーズに出来ている。
 出来ている(40%) 出来ていない(4%) どちらともいえない(56%)
【結果と考察、今後の取り組み】
1.インシデント、アクシデント報告は本来、報告し対策を行うことによって、再発を防ぐことが大きな目的であるが、 意図と反して始末書や反省文、職員の負担、責任追及の役割を持ってしまうことがある。これらの意識の改善をする為 に定期的な勉強会を企画する。
2.職員の意識向上を図る。インシデント、アクシデント報告は提出して終わりではない。リスクの特定、リスクの分析・評価、リスク対応策の検討・実施、モニタリング・見直しが重要である。リスクに対しての知識や理解を持てるように定期的な勉強会を企画する。
3.情報共有の改善を図る。アクシデントが発生した場合は、早急に分析、対策を行わなければ再発の可能性がある。発生した情報をすぐに共有できるシステムツール図らなければいけない。リスクマネージャーが率先して立案していく
4.インシデント、アクシデントの明瞭化。施設や組織におけるリスク(危険・不測の事態)を曖昧にせず、具体的かつ可視化・共有化する。
【リスクマネジメントに必要な考え方の周知】
1.リスクの特定 ・施設や業務に潜む危険(リスク)を見つけだすこと。 例:転倒リスク、誤嚥リスク、感染症リスク、情報漏洩、職員のヒューマンエラーなど
2.リスクの分析・評価 ・どの程度の頻度で起こるか(発生確率) ・起きた場合にどれくらいの被害があるか ・優先順位を付けて「どのリスクから対策すべきか」を判断,
3.リスクへの対応策 ・【回避】リスクの原因を取り除く 【低減】リスクがおきても被害を最小限にする対策 【移転】保険などで損失を移す 【受容】受け入れて備える 例:転倒防止マット設置、ダブルチェックで誤薬防止、感染対策マニュアルの厳守
4.モニタリング・見直し ・定期的にリスクの状況や対策の効果を確認 ・ヒヤリハット事故報告の活用 ・対策が機能しているか常に見直す
5.教育、組織風土の整備 ・職員全員がリスクマネジメントの考えを理解し、実践できること ・事故や失敗を責めるのではなく、共有し改善する文化を作る ・継続的な研修・事例検討・カンファレンスを行う
【まとめ】これらの考え方の浸透や取り組みにより、ヒヤリハットの提出について職員が考えるようになり、ヒヤリハット提出件数が増えつつある結果に繋がっている。リスクマネジメントは「守り」ではなく「攻め」でもある。多くの施設では、リスクマネジメントを「事故を起こさないための防衛策」と捉えがちですが、実際それだけでは不十分です。リスクへの対応が徹底されることで、利用者の安心、職員の働きやすさ、組織の信用が向上し、結果として質のいい高いサービス提供に繋がります。つまり、リスクマネジメントは経営・運営の重要な戦略の一つです。「人に頼る」から「仕組みに頼る」気を付けよう、注意しようだけでは限界があります。 だからこそ、・仕組み(マニュアル、ルール、チェック体制)・環境(物理的な安全策)・文化(報告しやすい、学びあう風土)この3つを組み合わせたシステムとしてのリスクマネジメントが大切と思われる。「リスクはゼロにできない」だからこそ「どう向き合い、どう備え、どう改善していくか」これがリスクマネジメントの本質である。これを踏まえ、今後も、利用者・職員の安全を守り、質の高い介護、医療を提供できるように取り組んでいきたい。