講演情報
[28-O-P106-03]老健施設における業務改善のススメ~何から始めよう?~
東京都 ○服部 陽介, 泉 由美 (介護老人保健施設ロベリア)
当施設では、長らく介護職員のマンパワー不足により、利用者の余暇活動の充実が図れずにいた。この問題を解決するため施設全体の整理整頓や介護業務の改善が必要だと感じてはいたものの、多忙を理由に着手出来ずにいた。少子高齢化が進み、介護人材の不足、介助量の増加、介護職員の高齢化など、今後さらに厳しい状況が予測される中で、施設全体と介護課内の業務改善に取り組むことが急務だと考え、令和6年4月からその実施を開始した。本報告で、その後1年間の経過と成果を紹介する。
【施設概要】
入所定員118床(うち認知症専門89床) 通所定員17名
職員約100名 (うち入所介護職員37名、入浴パート職員3名)
【はじめに】
職員数が足りていると考えられる状況でも、日々の業務に追われ、利用者との対話や余暇活動の提供が十分に行えない状況が続いていた。また、日々の残業が職員の負担となり、パフォーマンスの安定化を図ることも課題となっていた。職員の負担軽減と利用者へのサービス向上を目的として、業務改善に取り組み、残業時間の削減と余暇活動の頻度拡大を効果測定の指標とした。
【方法】
(1)業務改善委員会の設立
施設全体の業務改善に対する意識を高めるため、各部署から1名ずつ計10名で委員会を設立した。業務改善においては成果を数値化しPDCAサイクルを回しながら改善を図ることが重要であるが、初年度はその段階までの到達は難しいと考え、まず「動き出す」ことを重視し活動を進めた。
(2)PC施設内共有フォルダのデータ整理整頓
これまで定期的な整理整頓が行わず、必要なデータを探す際、多くの時間を浪費していた。そこで不要なデータを削除し、残ったデータを分類・ナンバリングし、フォルダの名称を見ればどのようなデータがその中に保管されているかを分かるようにした。さらに、全職員に対して個人フォルダの整理を通達し、2ヶ月で整理を完了。これによって不要なデータを残さないようにするという意識が多くの職員に形成された。その後、委員が定期的にチェックを行い、整理されている状態を現在も維持出来ている。
(3)物品の削減、定置化、可視化
施設全体を通じて使用頻度の低い物品が多く在庫され、収納場所が不明確だったため、日々の業務で使用する物品の管理が非効率になっていた。不要な物品を廃棄し、収納場所を決め、テープで可視化したことで、所定の位置に物品が保管出来るようになり業務効率も改善した。また、自主的に改善案を提案する職員が増加するなど意識改革にもつながった。
(4)業務改善委員による業務改善の実践と、入所介護職員に対する要改善業務の聞き取り
・各委員が5Sや3Mを意識しながら持ち寄った要改善業務をブレインストーミングやKJ法を用いて優先順位付けとグループ分けを行い、グループ分けされた業務群に対し関連性の高い委員がチームを組んで改善に取り組んだ。それまでは業務改善は専ら役職者が実施していたが、委員が業務改善における必要な流れを通じて実践する事により、各部署において業務改善を自発的に実施出来る職員が増える結果となった。
・業務改善のファーストステップとして入所介護職員に対し、普段働く上で変えた方がいいと感じている業務についてのアンケートを実施した。アンケートに対する回答は単なる不満に近いものも見られたが、改善したいと思える業務を考えることは、思考なく漫然と働くことからの脱却であり、日々の業務の中で工夫が出来る部分はないかなど能動的に考えるという次のステップに進む職員が少しずつ増える結果となった。
【結果・効果】
・2024年度入所介護課残業時間推移
第一四半期:223.5時間 第二四半期:143.5時間 第三四半期:169.5時間 第四四半期:119時間
職員数の変化(年度を通して1名増員)や施設内感染症流行等の要因による影響は存在するが、第一四半期と比較すると第四四半期は47%程残業時間を削減する結果となった。
・利用者の余暇活動の頻度
第一四半期~第三四半期:フロアレク週1回以上 第四四半期:フロアレク週2回以上
第四四半期はフロアレクを提供出来る曜日が1日増える結果となった。
【考察・まとめ】
1年間という短い期間ではあるが、段階を踏んで計画的に業務改善に取り組んだことで、残業時間の縮小やレクの提供回数増加といったような数値的な指標における成果以上に、今後も業務改善に取り組んでいく為の土台を築くという点で成果が得られたように思われる。これまで行ってきたやり方が本当に最善なのかと自問すること、現状把握とパフォーマンスを阻害している要因を洗い出すこと、スタックしているタスクに対する優先順位の付け方やアプローチ方法を確立していくことが業務改善によって少しずつではあるが職員に根付いていったように感じる。今後はこの一年間で得られた習慣や意識の維持・拡大を図ると共に、より具体的な業務改善と効果測定を行うことで利用者への利益還元を進めていきたい。
【施設概要】
入所定員118床(うち認知症専門89床) 通所定員17名
職員約100名 (うち入所介護職員37名、入浴パート職員3名)
【はじめに】
職員数が足りていると考えられる状況でも、日々の業務に追われ、利用者との対話や余暇活動の提供が十分に行えない状況が続いていた。また、日々の残業が職員の負担となり、パフォーマンスの安定化を図ることも課題となっていた。職員の負担軽減と利用者へのサービス向上を目的として、業務改善に取り組み、残業時間の削減と余暇活動の頻度拡大を効果測定の指標とした。
【方法】
(1)業務改善委員会の設立
施設全体の業務改善に対する意識を高めるため、各部署から1名ずつ計10名で委員会を設立した。業務改善においては成果を数値化しPDCAサイクルを回しながら改善を図ることが重要であるが、初年度はその段階までの到達は難しいと考え、まず「動き出す」ことを重視し活動を進めた。
(2)PC施設内共有フォルダのデータ整理整頓
これまで定期的な整理整頓が行わず、必要なデータを探す際、多くの時間を浪費していた。そこで不要なデータを削除し、残ったデータを分類・ナンバリングし、フォルダの名称を見ればどのようなデータがその中に保管されているかを分かるようにした。さらに、全職員に対して個人フォルダの整理を通達し、2ヶ月で整理を完了。これによって不要なデータを残さないようにするという意識が多くの職員に形成された。その後、委員が定期的にチェックを行い、整理されている状態を現在も維持出来ている。
(3)物品の削減、定置化、可視化
施設全体を通じて使用頻度の低い物品が多く在庫され、収納場所が不明確だったため、日々の業務で使用する物品の管理が非効率になっていた。不要な物品を廃棄し、収納場所を決め、テープで可視化したことで、所定の位置に物品が保管出来るようになり業務効率も改善した。また、自主的に改善案を提案する職員が増加するなど意識改革にもつながった。
(4)業務改善委員による業務改善の実践と、入所介護職員に対する要改善業務の聞き取り
・各委員が5Sや3Mを意識しながら持ち寄った要改善業務をブレインストーミングやKJ法を用いて優先順位付けとグループ分けを行い、グループ分けされた業務群に対し関連性の高い委員がチームを組んで改善に取り組んだ。それまでは業務改善は専ら役職者が実施していたが、委員が業務改善における必要な流れを通じて実践する事により、各部署において業務改善を自発的に実施出来る職員が増える結果となった。
・業務改善のファーストステップとして入所介護職員に対し、普段働く上で変えた方がいいと感じている業務についてのアンケートを実施した。アンケートに対する回答は単なる不満に近いものも見られたが、改善したいと思える業務を考えることは、思考なく漫然と働くことからの脱却であり、日々の業務の中で工夫が出来る部分はないかなど能動的に考えるという次のステップに進む職員が少しずつ増える結果となった。
【結果・効果】
・2024年度入所介護課残業時間推移
第一四半期:223.5時間 第二四半期:143.5時間 第三四半期:169.5時間 第四四半期:119時間
職員数の変化(年度を通して1名増員)や施設内感染症流行等の要因による影響は存在するが、第一四半期と比較すると第四四半期は47%程残業時間を削減する結果となった。
・利用者の余暇活動の頻度
第一四半期~第三四半期:フロアレク週1回以上 第四四半期:フロアレク週2回以上
第四四半期はフロアレクを提供出来る曜日が1日増える結果となった。
【考察・まとめ】
1年間という短い期間ではあるが、段階を踏んで計画的に業務改善に取り組んだことで、残業時間の縮小やレクの提供回数増加といったような数値的な指標における成果以上に、今後も業務改善に取り組んでいく為の土台を築くという点で成果が得られたように思われる。これまで行ってきたやり方が本当に最善なのかと自問すること、現状把握とパフォーマンスを阻害している要因を洗い出すこと、スタックしているタスクに対する優先順位の付け方やアプローチ方法を確立していくことが業務改善によって少しずつではあるが職員に根付いていったように感じる。今後はこの一年間で得られた習慣や意識の維持・拡大を図ると共に、より具体的な業務改善と効果測定を行うことで利用者への利益還元を進めていきたい。
