講演情報
[28-O-R007-03]リエイブルメント支援における目標管理の重要性
山口県 ○林 宗佑 (老人保健施設ハートホーム山口)
はじめに通所リハビリテーションの果たす役割は、機能訓練のみならず、利用者の在宅生活継続に向けた生活支援としての側面が強く求められている。その中で注目されているのが、「生活行動の再獲得」を目的としたリエイブルメントの視点である。リエイブルメント支援では、短期間で集中的に支援を行い、利用者の生活行動や役割の再獲得を目指す支援方法であるが、単に目標を数値化するのではなく、「その人らしさ」や「望む暮らし」を軸に支援計画を立てることが本質である。当施設では、通所リハビリテーションを週1回・全12回提供し、毎回の通所時に利用者との個別面談を中心とした目標管理支援を実践している。また、生活の実態把握と目標設定の調整のため、月1回の訪問支援を組み合わせている。本報告では週1回の面談を軸にした短期集中型通所・訪問サービスの取り組みについて、その有効性と実践上の示唆を報告する。目的通所リハビリテーションにおいて、週1回の面談による継続的な目標管理を軸に据えたリエイブルメント支援が、利用者の生活機能・行動変容・意欲向上に与える影響を検討する。方法対象は要支援者と事業対象者に認定された方で、いずれも身体機能や生活意欲の低下、外出機会の減少がみられた。支援内容は以下の通り:1.通所リハビリテーション通所リハビリテーション:週1回×12回(約3か月)2.個別面談:毎回30分程度(理学療法士・作業療法士が実施)3.訪問支援:月1回×3回(1回60分)4.中間・最終カンファレンス(担当ケアマネジャー)面談では、利用者の生活史や価値観、「本当にやりたいこと」に焦点を当て、目標設定と在宅での取り組みを設定。本人の語りに基づく振り返りを実施したうえで、柔軟に目標設定を変化された。訪問支援では生活の実態把握だけでなく、家族との自宅での過ごし方や役割など情報共有を実施することで、面談内容の整合性を図る支援を実施した。結果「本当にやりたいこと」の一部が再び実現可能となり、生活行動や役割の再獲得、行動の変化が確認された。定期的な面談により、次のような効果が得られた。1.面談を通じて、自分自身の希望に改めて気づく機会が生まれた。2.「話を聞いてもらえる」という実感が、信頼関係の構築と行動意欲の向上につながった。3.数値目標でないことで、小さな変化に対しポジティブフィードバックによる達成感を得ることができた。4.訪問支援により、生活の場での支援の必要性や環境課題(交通手段など)も具体的に把握できた。結果として行動変容が小さな成功体験につながり、支援終了後も「もう少し続けてみたい」「やればできる事が分かった」など前向きな発言が多く聞かれた。考察本取り組みでは、数値化された明確な目標ではなく、本人の語りや価値観を尊重した目標の設定が、生活再構築の支援として有効であったことが確認された。特に、週1回の面談を通じた振り返りと共有のプロセスが、利用者の内発的動機づけや行動の継続に強く影響したと考えられる。高齢者の生活支援においては、数値的で期限付きの目標がプレッシャーとなり、行動意欲を阻害する場合もある。今回のように、本人の「やってみたい」という小さな希望を拾い上げ、支援者と対話を重ねながら柔軟に支援を継続することで、目標達成の実感や生活行動の再開が実現しやすくなった。また、訪問支援との組み合わせにより、通所だけでは見えにくい課題を捉えることができ、支援の質が高まった。通所機能を通じて地域生活を支える役割を果たす上で、週1回の面談を中心としたアプローチは有効かつ現実的な支援モデルと考えられる。今後の課題として支援期間が約3か月と短期間であることから、生活行動が再開された直後に支援が終了するケースも見られた。支援後のフォロー体制の構築や地域サービスへのスムーズな引き継ぎを強化することが、持続可能な在宅支援の鍵となる。さらに、面談の中心を本人の自発的な語りに据える支援では、認知機能の低下などで語る力に差がある利用者に対して代替的なアプローチ(行動観察、家族からの情報収集など)を組み合わせる柔軟さが求められる。以上のように、通所リハビリテーションにおけるリエイブルメント支援の可能性を示した一方で、面談支援に要する人的・時間的コストの課題や継続支援に向けた体制整備の必要性を浮き彫りにした。支援の質を維持し、現場で無理なく継続可能なモデルの構築を目指し、制度・人材・連携体制の整備を進めていくことが求められる。
