講演情報
[28-O-R007-05]「再会から再開へ」 地域を繋ぐ9階の物語
京都府 ○林 海希, 上野 太志 (介護老人保健施設宇治徳洲苑)
【はじめに】
当苑では「地域に愛される施設づくりを目指します」を施設理念に掲げているが、新型コロナウイルス感染症の影響以前のボランティアとの交流は施設職員によるレクリエーション活動のみに留まり、活発とは言えなかった。今後の老健運営において「地域貢献活動」は不可欠であり、コロナ感染症の分類が2類から5類へと移行した現在、閉ざされていた地域との交流を再開し、地域貢献活動の一つとしてボランティアの受け入れを再開したので、その取り組みを報告する。
【目的】
今回の取り組みを、単なるレクリエーション提供にとどめることなく、来苑されたボランティアにも当苑を知ってもらう機会とし、将来的に介護サービスを選択する際や困り事の相談先として当苑を思い出してもらえるような関係づくりを目指した。また、アンケートと聞き取りを通じて、地域住民が当苑に期待する役割やつながりの形を明らかにし、今後の地域貢献活動の方向性を探ることを目的とした。
【取り組み内容】
1.期間:令和7年3月初旬~6月下旬
2.方法:全職員周知のため、役職者会議で取り組み内容の説明を行い、協力を得た。
イベントの開催に利用者の入浴時間が重ならないように他フロアの協力を得て調整を行った。介護職員が窓口となり、社会福祉協議会のボランティア担当者に連絡調整を行い、宇治市内にて活発に活躍されている以下の3団体を招致した。
・令和7年4月30日:尺八・琴による演奏(12名来苑)
・令和7年5月28日:ウクレレ演奏・フラダンス(11名来苑)
・令和7年6月11日:大正琴による演奏(7名来苑)
各回とも13時30分から約1時間、レクリエーション室にステージを設けて開催した。レクリエーション終了後に入所までの方法や老健と他の介護保険施設との違いについて相談員より説明した。
また、ボランティアへの施設に関するアンケートを実施後に、アンケートを基に意見交換の場を設けた。
【アンケート結果】
・対象者:ボランテイア28名
・年齢構成:40~60歳 1名、60~80歳 21名、80歳以上 6名
問 当苑の存在を以前から知っていたか
回答 ・以前から知っていた 35%(15名) ・知らなかった 65%(28名)
問 相談員の説明を受けて今後当苑に自分また家族が入所したいと思うか
回答 ・入所したい 35%(15名) ・どちらとも言えない 50%(22名) ・入所したくない 15%(6名)
問 今後、当苑に期待する地域貢献活動について(複数回答)
回答 ・介護予防・健康教室の開催:42%(18名)
・認知症カフェ・サロンによる施設の開放:28%(12名)
・専門職による出前講座:23%(10名)
・地域の幼保・小中学校との交流:7%(3名)
自由記載
1) 施設に関する意見
・何かあった時に相談しやすい窓口がほしい
・家族に施設入所が必要なので相談したい
・老健と特養の違いがよく分からない
・ボランティア活動を通じて介護の現場を知り今後の参考にしたい
・居室から見える景色が良かった
・こんな施設があるのなんて知らなかった
・今は入所の必要性を感じていない
2) 地域交流に関する意見
・ボランテイアの受付を継続してほしい
・高齢者専門のマンションに住んでいるので、オムツ交換教室を開いて欲しい
【考察】
ボランティアに対するアンケートからは、「当苑の存在を知らなかった」や「入所希望に関して、どちらとも言えない」の理由として「自分や家族が今は必要としていないのでわからない」と率直な意見が多数を占めていた。一方で「もし何かあったときに相談したい」「介護のことをもっと知りたい」との意見があり、地域住民が「今すぐに必要ではないが、将来の備えとして信頼できる相談先を求めている」という結果であった。
当苑がある京都府宇治市では、令和3年の要介護・要支援認定者は10,912人(認定率19.6%)であったが、以後増加の一途をたどり、令和22年には13,505人(認定率23.8%)と人数、割合共に増加することが見込まれている。介護を必要とする高齢者が増加する中、ボランティアとの交流を継続し、施設の窓口や相談方法などの情報を発信することで、必要時に当苑の事を思い出してもらえる関係づくりが可能と考える。
さらに、今後遭遇する自身や家族の問題への対象として介護予防教室・健康教室や専門職の出前講座の開催を望まれている声もあり、老健の多職種の専門性を活かした活動の場を施設外へ広げていくことも求められている。
また、認知症カフェ・サロンによる施設の開放を求めている意見もあり、施設が単なる情報発信にとどまらず、「学びの場」「つながりの場」としての施設を望まれていることが確認できた。
今回のイベント開催による施設の活性化はもとより、ボランテイアの方が、開催時間まで待っている利用者の負担を考え、自主的に準備を早く進める気遣いや、誕生日のお祝いなど随所に楽しませる為の工夫が施されていた。毎回利用者は、目を輝かせ、拍手喝さいの中、幕は引かれ、日頃私達が行っているレクリエーションと比較にならないものであり、職員が見習うべき姿勢を再認識する事ができた。
【まとめ】
今回の取り組みでは、地域住民が施設に期待される役割や、再開された交流の大切さを明確にすることが出来た。今はまだ、地域との扉が開かればかりであるが、今後、ボランティアが希望する継続的なボランティア受け入れ制度の構築を行い、介護予防教室や健康教室が行えるよう模索している。
また、受け入れるだけではなく、当苑からも交流に出向く形の出前講座や、地域の祭りへの参加などを視野に入れた地域貢献も目指していきたい。
当苑では「地域に愛される施設づくりを目指します」を施設理念に掲げているが、新型コロナウイルス感染症の影響以前のボランティアとの交流は施設職員によるレクリエーション活動のみに留まり、活発とは言えなかった。今後の老健運営において「地域貢献活動」は不可欠であり、コロナ感染症の分類が2類から5類へと移行した現在、閉ざされていた地域との交流を再開し、地域貢献活動の一つとしてボランティアの受け入れを再開したので、その取り組みを報告する。
【目的】
今回の取り組みを、単なるレクリエーション提供にとどめることなく、来苑されたボランティアにも当苑を知ってもらう機会とし、将来的に介護サービスを選択する際や困り事の相談先として当苑を思い出してもらえるような関係づくりを目指した。また、アンケートと聞き取りを通じて、地域住民が当苑に期待する役割やつながりの形を明らかにし、今後の地域貢献活動の方向性を探ることを目的とした。
【取り組み内容】
1.期間:令和7年3月初旬~6月下旬
2.方法:全職員周知のため、役職者会議で取り組み内容の説明を行い、協力を得た。
イベントの開催に利用者の入浴時間が重ならないように他フロアの協力を得て調整を行った。介護職員が窓口となり、社会福祉協議会のボランティア担当者に連絡調整を行い、宇治市内にて活発に活躍されている以下の3団体を招致した。
・令和7年4月30日:尺八・琴による演奏(12名来苑)
・令和7年5月28日:ウクレレ演奏・フラダンス(11名来苑)
・令和7年6月11日:大正琴による演奏(7名来苑)
各回とも13時30分から約1時間、レクリエーション室にステージを設けて開催した。レクリエーション終了後に入所までの方法や老健と他の介護保険施設との違いについて相談員より説明した。
また、ボランティアへの施設に関するアンケートを実施後に、アンケートを基に意見交換の場を設けた。
【アンケート結果】
・対象者:ボランテイア28名
・年齢構成:40~60歳 1名、60~80歳 21名、80歳以上 6名
問 当苑の存在を以前から知っていたか
回答 ・以前から知っていた 35%(15名) ・知らなかった 65%(28名)
問 相談員の説明を受けて今後当苑に自分また家族が入所したいと思うか
回答 ・入所したい 35%(15名) ・どちらとも言えない 50%(22名) ・入所したくない 15%(6名)
問 今後、当苑に期待する地域貢献活動について(複数回答)
回答 ・介護予防・健康教室の開催:42%(18名)
・認知症カフェ・サロンによる施設の開放:28%(12名)
・専門職による出前講座:23%(10名)
・地域の幼保・小中学校との交流:7%(3名)
自由記載
1) 施設に関する意見
・何かあった時に相談しやすい窓口がほしい
・家族に施設入所が必要なので相談したい
・老健と特養の違いがよく分からない
・ボランティア活動を通じて介護の現場を知り今後の参考にしたい
・居室から見える景色が良かった
・こんな施設があるのなんて知らなかった
・今は入所の必要性を感じていない
2) 地域交流に関する意見
・ボランテイアの受付を継続してほしい
・高齢者専門のマンションに住んでいるので、オムツ交換教室を開いて欲しい
【考察】
ボランティアに対するアンケートからは、「当苑の存在を知らなかった」や「入所希望に関して、どちらとも言えない」の理由として「自分や家族が今は必要としていないのでわからない」と率直な意見が多数を占めていた。一方で「もし何かあったときに相談したい」「介護のことをもっと知りたい」との意見があり、地域住民が「今すぐに必要ではないが、将来の備えとして信頼できる相談先を求めている」という結果であった。
当苑がある京都府宇治市では、令和3年の要介護・要支援認定者は10,912人(認定率19.6%)であったが、以後増加の一途をたどり、令和22年には13,505人(認定率23.8%)と人数、割合共に増加することが見込まれている。介護を必要とする高齢者が増加する中、ボランティアとの交流を継続し、施設の窓口や相談方法などの情報を発信することで、必要時に当苑の事を思い出してもらえる関係づくりが可能と考える。
さらに、今後遭遇する自身や家族の問題への対象として介護予防教室・健康教室や専門職の出前講座の開催を望まれている声もあり、老健の多職種の専門性を活かした活動の場を施設外へ広げていくことも求められている。
また、認知症カフェ・サロンによる施設の開放を求めている意見もあり、施設が単なる情報発信にとどまらず、「学びの場」「つながりの場」としての施設を望まれていることが確認できた。
今回のイベント開催による施設の活性化はもとより、ボランテイアの方が、開催時間まで待っている利用者の負担を考え、自主的に準備を早く進める気遣いや、誕生日のお祝いなど随所に楽しませる為の工夫が施されていた。毎回利用者は、目を輝かせ、拍手喝さいの中、幕は引かれ、日頃私達が行っているレクリエーションと比較にならないものであり、職員が見習うべき姿勢を再認識する事ができた。
【まとめ】
今回の取り組みでは、地域住民が施設に期待される役割や、再開された交流の大切さを明確にすることが出来た。今はまだ、地域との扉が開かればかりであるが、今後、ボランティアが希望する継続的なボランティア受け入れ制度の構築を行い、介護予防教室や健康教室が行えるよう模索している。
また、受け入れるだけではなく、当苑からも交流に出向く形の出前講座や、地域の祭りへの参加などを視野に入れた地域貢献も目指していきたい。
