講演情報
[28-O-Z001-03]腰痛予防・改善を目指して正しくコルセットを使用して腰痛の予防・改善を試みる
長野県 ○滝澤 加菜 (社会福祉法人サン・ビジョン介護老人保健施設グレイスフル下諏訪)
【はじめに】当法人は一般社団法人全国ノーリフティング推進協会の会員であり、腰痛の予防のために入職時に軟性仙椎装具(以下コルセット)が支給されている。腰痛に関するアンケートなど実施するも一定量の職員からは腰痛や腰部の違和感についての訴えがある。そもそもコルセットを装着すると腹圧の向上・仙椎の可動性の制限をすることで腰痛を予防・軽減する効果があると言われている。そこでコルセットを正しく装着できているのか、また意味合いを理解して装着できているのか疑問が生じ、装着方法を確認したところ個人差があることに気づいた。正しく装着することで腰痛の軽減につながるのではないかとの仮説をもとに、取り組みを実施。疼痛のスケール上での数値の改善が得られたため、報告させていただく。【対象・方法】対象:1年以上の勤続がある介護職員男女18歳~45歳(20名)方法: 2025年3月31日を締め切りのNRSによる疼痛のアンケートを実施。その後順次コルセットの正しい装着方法(装着をする位置・ベルトの締め方・装着した時の腹部の圧迫感の目安)を指導。正しい装着方法を理解した上で今まで通りの通常業務を2ヶ月間実施。その後2025年5月31日付で3月同様のアンケートを実施。【結果】指導実施前:NRS Mean:2.7 Median:2.5 握力(末梢の筋発揮として):Mean 24.58指導実施2カ月後: NRS Mean:1.85 Median:1 握力(末梢の筋発揮として):Mean 27.65【考察】 傷害や疾病などを取り除いた腰痛の原因として多いと言われているのは1.最長筋・腸肋筋・腰方形筋・広背筋(背中の大きな筋肉)の筋硬結2.1の筋群の栄養血管圧迫による阻血3.精神的要因と言われている。筋硬結が起こる原因として、腹圧の低下が招く不良姿勢(反り腰や円背など)の影響により良姿勢時と比べて必要以上に背中の筋肉が使用されてしまう。または必要以上に延ばされてしまうことで筋硬結が起こる。 阻血に関しては上記に書いた過剰収縮や伸張ストレスにより筋が硬結してしまえば栄養血管である、絞扼を受ける疼痛の誘発物質の放出されることで疼痛が誘発される。 精神的要因としてはストレスなどの身体化による姿勢の崩れ、血流不足などによる腰痛があることを厚生労働省の調査でも原因として挙がっている。コルセットを正しく装着することによる大きなメリットとして腹圧の上昇が期待できる。腹圧が上昇することで脊柱の正しい姿勢での固定ができる。正しい姿勢を取れるようになることで背中の筋群を必要以上に使用することがなくなる。必要以上に使用しなければ阻血状態にも陥らないという正のスパイラルを作り上げることで腰痛の原因となる1と2にアプローチすることができた。3の精神的要因に関しては普段からの介助動作や利用者様への不安などにより身体のこわばりが生まれることで疼痛を引き起こす要因になるとも言われている。今回握力でも示した通り腹圧が上昇することにより末梢筋群の筋発揮が上昇しているという事実を各サンプルは理解をしている。コルセットを正しく着用出来ているという安心感も1つ不安材料を打ち消す要因にもなりえている可能性がある。【まとめ】 厚生労働省の調査では介護職員が働く保健衛生業界内での業務上の疾病の中の92%が腰痛となっており、現在働かれている介護職員の46%は腰痛を原因に離職を考えたことがあるとのこと。当法人でも福利厚生の一環として腰痛ベルト(コルセット)の配布を行っているが、つけ方を正しく教わる機会はない。私自身もそうであるがコルセットを渡され、つけろといわれたら装着することは可能であるが、正しく装着できているかどうかは疑問である。今回コルセットの装着位置が人により違うことに気づき正しい装着方法を調べるきっかけとなった。私自身も正しく装着してみた時の腹圧のかかり方をこれはいつもと違うと感じた。昨今の介護現場では新しい福祉機器や介護ロボットなども普及しており、当法人もノーリフトポリシーにも力を入れている。しかしながら現状として当施設での評価サンプリングとなった20名の職員のうち腰痛が全くないと答えた職員はわずかに5名だけである。新しく機械を取り入れることも重要であるが、自分自身の体を守るために今あるものを正しく使用し、正しく体を使うことが重要なのだと感じた。今後も1人での多くの職員の体を守れるように正しいコルセットの装着方法の指導を実施していく。
