講演情報
[28-O-Z001-05]「摂食嚥下」分野実地研修の3年間を振り返る~受講者の声からプログラムの意義について~
栃木県 ○菊池 要子1, 若林 麻里1, 佐川 敬一朗2 (1.介護老人保健施設ほほえみ, 2.佐川歯科医院)
【はじめに】
当施設は2021年より摂食機能療法専門歯科医師の協力の下、口腔衛生管理や摂食嚥下機能評価に基づく食支援を行っている。これは利用者の安全で十分な食事摂取継続と最期まで食べる楽しみを支えることで、QOLの維持・向上を目標としている。
実地研修とは、全国老人保健施設協会が承認した専門分野について特色ある取り組みを行っている施設(1回の承認期間3年)で、会員施設職員が各分野の専門実技を習得することを目的としている。当施設は摂食嚥下分野の認可を受け、2022年度から年に2回研修を実施している。今回は、受講者の声をもとに実施開始からの3年間を振り返り、研修の意義を考察した。
【方法】
未開催の2022年度後期を除く各回受講者全43名を対象に終了時行った、無記名式の質問紙調査及び、2022年度から20024年度の受講施設対象のGoogleフォームを利用したWeb上無記名式の質問調査。対象施設に調査協力依頼文とアンケートアクセス用QRコードを郵送し、各回別に回答を依頼した。同一回に複数の受講者がいる場合は代表者1名を回答者とした。各自由記載部分よりキーワードを抽出した。但し、2024年度後期はデータ欠損が生じたため除外した。
Webアンケート実施期間は2025年7月3日から9日。21件中13件からの回答を得た。
倫理的配慮として、質問紙は無記名であり、対象者へ研究の目的等、不参加であっても不利益がないこと、得られた情報は個人が特定されないように配慮し本研究以外は使用しないことを書面で説明した。自由回答とし、回答をもって同意を得ることを記載した。また、医療法人桃李会倫理委員会の承認を得た。本演題発表に関して、開示すべき利益相反関連事項はない。
【結果】
研修参加総数は21施設で、終了後アンケートは4 件法満足度評価と3項目の自由記述である。印象に残ったことは、「ミールラウンドの手法、看取りでの食支援、正しい知識を持つこと」であった。ミールラウンドに関してさらに知りたいことは、「嚥下評価の仕方、ミールラウンドのより具体的な手法、食事の選定方法」であった。困っていることは「職員間で意見・見解が異なる、職員間の知識技術の差、歯科医院との協力関係の形成、摂食嚥下評価」であった。
Web調査は全て選択回答形式とした。回答した13施設のうち、口腔衛生管理加算を算定していない施設が7件あった。ミールラウンドを実施している施設は9件で6件は2024年度以前より行っていた。ミールラウンド実施で困難なことは、「協力歯科医との連携」5件、「実施日時の調整などスケジュール管理」3件、「具体的な食事の選定方法」1件、「特に困難はない」が2件であった。実施していない施設3件のうち2件は実施に向け準備中である。実施が難しい理由は「職員内の意向統一ができていない、実施方法が分からない、医師または歯科医師の協力が得られていない、労力の割に算定点数が低い」であった。研修を参考に実施していることは、ミールラウンドの実施に関して5件、施設で取り組みやすい食事観察や効果的な口腔ケアに関して、協力歯科医との連携に関しては各3件、「口腔衛生管理加算」の算定、最期まで食べる食支援については各2件であった。
【考察】
2022年度はCOVID-19感染流行期であり、参加者が少なかった。また、2日間研修で、口腔ケアと口腔衛生管理に関して多くの時間を充てた。終了後アンケートを参考に2023年度以降は1日研修とし、次年度の制度改正を念頭に置いて「ミールラウンド・食事マネジメント・口腔衛生管理加算」をキーワードに展開した。ミールラウンド取組のプロセス及び,咀嚼能力等の口腔機能を含む摂食嚥下について学習している。制度改正の2024年度は、同一施設から複数名申し込みが多く、最大で15名の参加を得た。後期は、管理栄養士が参加者の半数以上であった。この動向から、ミールラウンド・食事マネジメントへ関心が寄せられていると推察して、実施上課題となりやすいであろう歯科医を含む多職種連携とミールラウンドを中心に食支援を考えるものにシフトした。
しかし、ミールラウンドは感染対策及び、利用者の生活と個人情報保護へ配慮を要するため、事前事後会議で使用する資料は持ち帰れない等制約が多いうえ、座学が中心とならざるを得ない。そこで、食事場面を離れたところから短時間観察し、その場面を録画したものを後の講義で確認できるようにした。これにより、当日のスケジュールやスタッフの動き等一連の流れと必要な書類、準備すべきことや物を把握できたと99%が大変満足または満足と評価している。自施設での実施と受講時期に相関はなかったが、受講内容を参考に行っているとの回答を得た。さらに、ミールラウンドに関してさらに知りたいことをみると「嚥下評価の仕方、事例を交えたより具体的な手法、食事や補助食品の選定方法、ミールラウンド対象利用者の決め方、記録方法や書式について」等多岐にわたっていて、深化のための研修ニーズが示された。しかし、ミールラウンドは最期まで食べる支援の一部であるから、本研修ではこれに特化を予定していない。困っていることは「職員内の意向統一ができていない、医師または歯科医師の協力が得られていない」で両アンケートに共通していた。これらはミールラウンドを実施していない理由と一致し、不可欠な要素と考えられる。また、アンケートに依拠していないが、総数のうち5施設は複数回参加し、県外施設が5件あった。これは摂食嚥下への関心の高さが示されるものである。受講効果を高めるために、アンケートに記載の質問に対しQ&Aを作成して送付する等検討の余地がある。但し、困りごとにあった「歯科医師との連携方法」等、地域環境特性といった外部要因が影響するものは個別性が高く、慎重な対応を要する。
【結論】
本研修は受講者の関心が高いミールラウンドに関して、概観する場としての役割を果たしていた。
当施設は2021年より摂食機能療法専門歯科医師の協力の下、口腔衛生管理や摂食嚥下機能評価に基づく食支援を行っている。これは利用者の安全で十分な食事摂取継続と最期まで食べる楽しみを支えることで、QOLの維持・向上を目標としている。
実地研修とは、全国老人保健施設協会が承認した専門分野について特色ある取り組みを行っている施設(1回の承認期間3年)で、会員施設職員が各分野の専門実技を習得することを目的としている。当施設は摂食嚥下分野の認可を受け、2022年度から年に2回研修を実施している。今回は、受講者の声をもとに実施開始からの3年間を振り返り、研修の意義を考察した。
【方法】
未開催の2022年度後期を除く各回受講者全43名を対象に終了時行った、無記名式の質問紙調査及び、2022年度から20024年度の受講施設対象のGoogleフォームを利用したWeb上無記名式の質問調査。対象施設に調査協力依頼文とアンケートアクセス用QRコードを郵送し、各回別に回答を依頼した。同一回に複数の受講者がいる場合は代表者1名を回答者とした。各自由記載部分よりキーワードを抽出した。但し、2024年度後期はデータ欠損が生じたため除外した。
Webアンケート実施期間は2025年7月3日から9日。21件中13件からの回答を得た。
倫理的配慮として、質問紙は無記名であり、対象者へ研究の目的等、不参加であっても不利益がないこと、得られた情報は個人が特定されないように配慮し本研究以外は使用しないことを書面で説明した。自由回答とし、回答をもって同意を得ることを記載した。また、医療法人桃李会倫理委員会の承認を得た。本演題発表に関して、開示すべき利益相反関連事項はない。
【結果】
研修参加総数は21施設で、終了後アンケートは4 件法満足度評価と3項目の自由記述である。印象に残ったことは、「ミールラウンドの手法、看取りでの食支援、正しい知識を持つこと」であった。ミールラウンドに関してさらに知りたいことは、「嚥下評価の仕方、ミールラウンドのより具体的な手法、食事の選定方法」であった。困っていることは「職員間で意見・見解が異なる、職員間の知識技術の差、歯科医院との協力関係の形成、摂食嚥下評価」であった。
Web調査は全て選択回答形式とした。回答した13施設のうち、口腔衛生管理加算を算定していない施設が7件あった。ミールラウンドを実施している施設は9件で6件は2024年度以前より行っていた。ミールラウンド実施で困難なことは、「協力歯科医との連携」5件、「実施日時の調整などスケジュール管理」3件、「具体的な食事の選定方法」1件、「特に困難はない」が2件であった。実施していない施設3件のうち2件は実施に向け準備中である。実施が難しい理由は「職員内の意向統一ができていない、実施方法が分からない、医師または歯科医師の協力が得られていない、労力の割に算定点数が低い」であった。研修を参考に実施していることは、ミールラウンドの実施に関して5件、施設で取り組みやすい食事観察や効果的な口腔ケアに関して、協力歯科医との連携に関しては各3件、「口腔衛生管理加算」の算定、最期まで食べる食支援については各2件であった。
【考察】
2022年度はCOVID-19感染流行期であり、参加者が少なかった。また、2日間研修で、口腔ケアと口腔衛生管理に関して多くの時間を充てた。終了後アンケートを参考に2023年度以降は1日研修とし、次年度の制度改正を念頭に置いて「ミールラウンド・食事マネジメント・口腔衛生管理加算」をキーワードに展開した。ミールラウンド取組のプロセス及び,咀嚼能力等の口腔機能を含む摂食嚥下について学習している。制度改正の2024年度は、同一施設から複数名申し込みが多く、最大で15名の参加を得た。後期は、管理栄養士が参加者の半数以上であった。この動向から、ミールラウンド・食事マネジメントへ関心が寄せられていると推察して、実施上課題となりやすいであろう歯科医を含む多職種連携とミールラウンドを中心に食支援を考えるものにシフトした。
しかし、ミールラウンドは感染対策及び、利用者の生活と個人情報保護へ配慮を要するため、事前事後会議で使用する資料は持ち帰れない等制約が多いうえ、座学が中心とならざるを得ない。そこで、食事場面を離れたところから短時間観察し、その場面を録画したものを後の講義で確認できるようにした。これにより、当日のスケジュールやスタッフの動き等一連の流れと必要な書類、準備すべきことや物を把握できたと99%が大変満足または満足と評価している。自施設での実施と受講時期に相関はなかったが、受講内容を参考に行っているとの回答を得た。さらに、ミールラウンドに関してさらに知りたいことをみると「嚥下評価の仕方、事例を交えたより具体的な手法、食事や補助食品の選定方法、ミールラウンド対象利用者の決め方、記録方法や書式について」等多岐にわたっていて、深化のための研修ニーズが示された。しかし、ミールラウンドは最期まで食べる支援の一部であるから、本研修ではこれに特化を予定していない。困っていることは「職員内の意向統一ができていない、医師または歯科医師の協力が得られていない」で両アンケートに共通していた。これらはミールラウンドを実施していない理由と一致し、不可欠な要素と考えられる。また、アンケートに依拠していないが、総数のうち5施設は複数回参加し、県外施設が5件あった。これは摂食嚥下への関心の高さが示されるものである。受講効果を高めるために、アンケートに記載の質問に対しQ&Aを作成して送付する等検討の余地がある。但し、困りごとにあった「歯科医師との連携方法」等、地域環境特性といった外部要因が影響するものは個別性が高く、慎重な対応を要する。
【結論】
本研修は受講者の関心が高いミールラウンドに関して、概観する場としての役割を果たしていた。

