講演情報
[28-O-Z001-06]当施設における多様な特性の方の施設運営業務参画
千葉県 ○治部 拓也, 深沢 彦史 (介護老人保健施設 市川ゆうゆう)
介護・福祉業界においては現在、少子高齢化に伴う深刻な人材不足への対応が急務となっており、多様な人材の活用が戦略的に進められている。その中でも、外国籍の方や障害をお持ちの方の雇用促進は、単なる労働力の補完にとどまらず、福祉サービスの質の向上や社会的包摂の推進といった広範な目的を有する。特に近年は、政府のダイバーシティ推進政策とも連動、企業や福祉施設における多様な雇用形態の模索が続いている。
2024年時点で、介護分野に従事する外国人労働者数は約4万人に達しており、今後も増加が見込まれている。障害者雇用に関しても、法定雇用率の引き上げが予定されており、2026年度には2.7%まで上昇する。これらの政策は、就労困難な方々への機会創出という社会的責務を担うものであり、同時に、誰もが働きやすい環境づくりと地域社会の多様性の実現を目的とした取り組みでもある。
しかしながら、実際には障害をお持ちの方の多くが「働きたいのに働けない」状況に置かれている現実もある。内閣府の調査によれば、15歳以上の障害者手帳保持者のうち、働いていないが就労意志があると回答した人の割合は、身体障害者で約11.4%、知的障害者で約33.0%、精神障害者で約23.5%とされており、特に知的・精神障害を有する人々において高い傾向が見られる。これは、雇用の場が少ないことに加え、通勤支援の不足、職場環境の物理的・制度的バリア、同僚や管理者の理解不足など、複合的な要因が障壁となっていることを示唆している。
当施設では、すでに外国籍の方や障害をお持ちの方の雇用実績があり、多様な人材の受け入れを積極的に進めている。障害をお持ちの方の雇用については、当施設の目の前にある特別支援学校より職業体験実習等を以前より積極的に受け入れており、その一環である就職を見据えたインターンシップをこれまでに6名受け入れ、うち1名を介護助手として採用した。また、当該特別支援学校とは生徒の学習の一環として、生産した野菜やお菓子を施設の給食やおやつに利用したり、特別な技能を学んだ生徒の当施設降利用者との余暇での関わりなどカリキュラムの中で参画してもらっている。これに加え、身体に障害をお持ちのセラピスト(PT,OT,ST)や、あん摩マッサージ指圧師の雇用も進めており、さらなる人材の多様化を図っていく方針である。セラピストについては、リハビリ関連の加算算定により施設経営の安定化に資するとともに、利用者のQOLの向上に寄与することが期待される。一方、あん摩マッサージ指圧師については加算算定の対象とはならず、収入増には直結しないものの、疼痛の緩和、拘縮の予防、精神的安定の促進といった面で専門性を発揮し、利用者満足度の向上に貢献できると考えている。加えて当施設では、障害特性に応じた合理的配慮や、体調・生活状況に応じた柔軟な勤務体制の導入により、多様な人材が安心して長期的に活躍できる職場環境の整備を進めている。
外国籍の方の雇用については、2020年から現在にかけて、当施設では17名の外国籍の介護福祉士を採用している。これは、外国籍の職員のネットワークによるものや、実習を積極的に受け入れていることにより、現在は介護福祉士専門学生のアルバイトなど多岐にわたっている。また、セカンド、サードキャリアとして専門的な知識や技術を持ったシルバー人材を6名採用しており、その中には介護福祉士の資格を持ち、介護業務の一端を担う者や、元大工の経験を活かして施設内の設備修繕に対応するなど、多方面で活躍する職員もいる。
前述の採用者のうち、特別支援学校から当施設へ就職した一人の職員の事例を紹介する。
当施設の近隣には千葉県立特別支援学校市川大野高等学園(以下「大野学園」)という、「本物の働く力を育み、笑顔輝く生徒の育成」を教育理念に掲げ、卒業後の社会的・職業的自立を重視している学校がある。同校はインターンシップやデュアル実習制度を導入しており、専門科目の学習と並行して地域事業所での就労体験を通じ、働く意欲や社会性の育成を図っている。
当該職員は大野学園の卒業生であり、在学中(2年次)に当施設で2回のインターンシップを実施した後、卒業と同時に介護助手として就職した。本人は当初より「将来は介護福祉士として働き、仕事でも私生活でも自立した生活を送れるようになりたい」という明確な目標を持っていた。就職初年度は、身体介護を除いた周辺業務を中心に従事していたが、年度途中に介護職員初任者研修を修了したことで、身体介助を含む介護業務にも携わるようになった。就職から2年以上が経過した現在は、介護福祉士実務者研修の受講を予定しており、より一層の自己研鑽に励んでいる。また、私生活においても、家族との同居生活から単身生活へ移行し、自らアパートを借りて自立した暮らしを送っている。
このように、当該職員がここまで自立を果たすことができたのは、本人の不断の努力はもちろんのこと、施設職員による継続的な支援、具体的には、コミュニケーション支援、業務内容や環境の調整、心のサポートや見守りなど、合理的配慮を意識した取り組みがあったからこそであると考える。
今回の事例を通じて、外国籍の方や障害をお持ちの方、シルバー人材など、多様な人材が施設運営業務に参画することで、多角的な視点からの意見交換が促進され、利用者のQOL向上に寄与することが期待される。加えて、介護職員数が制度開始以来初めて減少し、人材不足が深刻化している現代においては、人材確保の有効な手段であるとともに、多様性のある職場づくりや地域福祉の質の向上にもつながる重要な取り組みであるといえる。
今後も雇用の機会に恵まれない方のためにも、当施設はより一層多様な人材の自立支援に寄与していきたい。
2024年時点で、介護分野に従事する外国人労働者数は約4万人に達しており、今後も増加が見込まれている。障害者雇用に関しても、法定雇用率の引き上げが予定されており、2026年度には2.7%まで上昇する。これらの政策は、就労困難な方々への機会創出という社会的責務を担うものであり、同時に、誰もが働きやすい環境づくりと地域社会の多様性の実現を目的とした取り組みでもある。
しかしながら、実際には障害をお持ちの方の多くが「働きたいのに働けない」状況に置かれている現実もある。内閣府の調査によれば、15歳以上の障害者手帳保持者のうち、働いていないが就労意志があると回答した人の割合は、身体障害者で約11.4%、知的障害者で約33.0%、精神障害者で約23.5%とされており、特に知的・精神障害を有する人々において高い傾向が見られる。これは、雇用の場が少ないことに加え、通勤支援の不足、職場環境の物理的・制度的バリア、同僚や管理者の理解不足など、複合的な要因が障壁となっていることを示唆している。
当施設では、すでに外国籍の方や障害をお持ちの方の雇用実績があり、多様な人材の受け入れを積極的に進めている。障害をお持ちの方の雇用については、当施設の目の前にある特別支援学校より職業体験実習等を以前より積極的に受け入れており、その一環である就職を見据えたインターンシップをこれまでに6名受け入れ、うち1名を介護助手として採用した。また、当該特別支援学校とは生徒の学習の一環として、生産した野菜やお菓子を施設の給食やおやつに利用したり、特別な技能を学んだ生徒の当施設降利用者との余暇での関わりなどカリキュラムの中で参画してもらっている。これに加え、身体に障害をお持ちのセラピスト(PT,OT,ST)や、あん摩マッサージ指圧師の雇用も進めており、さらなる人材の多様化を図っていく方針である。セラピストについては、リハビリ関連の加算算定により施設経営の安定化に資するとともに、利用者のQOLの向上に寄与することが期待される。一方、あん摩マッサージ指圧師については加算算定の対象とはならず、収入増には直結しないものの、疼痛の緩和、拘縮の予防、精神的安定の促進といった面で専門性を発揮し、利用者満足度の向上に貢献できると考えている。加えて当施設では、障害特性に応じた合理的配慮や、体調・生活状況に応じた柔軟な勤務体制の導入により、多様な人材が安心して長期的に活躍できる職場環境の整備を進めている。
外国籍の方の雇用については、2020年から現在にかけて、当施設では17名の外国籍の介護福祉士を採用している。これは、外国籍の職員のネットワークによるものや、実習を積極的に受け入れていることにより、現在は介護福祉士専門学生のアルバイトなど多岐にわたっている。また、セカンド、サードキャリアとして専門的な知識や技術を持ったシルバー人材を6名採用しており、その中には介護福祉士の資格を持ち、介護業務の一端を担う者や、元大工の経験を活かして施設内の設備修繕に対応するなど、多方面で活躍する職員もいる。
前述の採用者のうち、特別支援学校から当施設へ就職した一人の職員の事例を紹介する。
当施設の近隣には千葉県立特別支援学校市川大野高等学園(以下「大野学園」)という、「本物の働く力を育み、笑顔輝く生徒の育成」を教育理念に掲げ、卒業後の社会的・職業的自立を重視している学校がある。同校はインターンシップやデュアル実習制度を導入しており、専門科目の学習と並行して地域事業所での就労体験を通じ、働く意欲や社会性の育成を図っている。
当該職員は大野学園の卒業生であり、在学中(2年次)に当施設で2回のインターンシップを実施した後、卒業と同時に介護助手として就職した。本人は当初より「将来は介護福祉士として働き、仕事でも私生活でも自立した生活を送れるようになりたい」という明確な目標を持っていた。就職初年度は、身体介護を除いた周辺業務を中心に従事していたが、年度途中に介護職員初任者研修を修了したことで、身体介助を含む介護業務にも携わるようになった。就職から2年以上が経過した現在は、介護福祉士実務者研修の受講を予定しており、より一層の自己研鑽に励んでいる。また、私生活においても、家族との同居生活から単身生活へ移行し、自らアパートを借りて自立した暮らしを送っている。
このように、当該職員がここまで自立を果たすことができたのは、本人の不断の努力はもちろんのこと、施設職員による継続的な支援、具体的には、コミュニケーション支援、業務内容や環境の調整、心のサポートや見守りなど、合理的配慮を意識した取り組みがあったからこそであると考える。
今回の事例を通じて、外国籍の方や障害をお持ちの方、シルバー人材など、多様な人材が施設運営業務に参画することで、多角的な視点からの意見交換が促進され、利用者のQOL向上に寄与することが期待される。加えて、介護職員数が制度開始以来初めて減少し、人材不足が深刻化している現代においては、人材確保の有効な手段であるとともに、多様性のある職場づくりや地域福祉の質の向上にもつながる重要な取り組みであるといえる。
今後も雇用の機会に恵まれない方のためにも、当施設はより一層多様な人材の自立支援に寄与していきたい。
