講演情報
[28-O-Z001-07]<腰は大事>腰痛体操で予防改善
東京都 ○川上 典子 (介護老人保健施設花水木)
はじめに
当施設4階療養棟は、入所定員50名(平均介護度3.6)に対し、看護師3名・准看護師1名・介護福祉士14名・介護士1名の計19名(男7名・女12名)で構成されている。平均年齢は48.8歳、平均勤続年数は10年4カ月、他施設での介護経験も含めると介護歴は平均で16年1ヵ月である。
長らく介護の仕事に従事する職員にとって、切っても切り離せないのが腰痛問題である。今までに腰痛を経験した職員は18名、現在も腰痛がある職員は13名。過去1年以内の業務中にぎっくり腰になった職員が2名いた。
腰痛の原因として、中腰や前屈みの作業が多い、毎日腰を使う環境であることなどが大きな理由である。日頃から腰痛に悩みその予防として自発的にストレッチや体操を行っている職員は6名いたが、腰痛を予防改善するには、ストレッチや体操が大事だと分かっていても、面倒くさい・方法がわからない等の理由で実践出来ていない職員が多くいた。
そこで本研究では、短時間でも手軽で効果的に、職場で職員全員が腰痛予防・再発防止に効果があったのか、その結果を報告する。
研究期間
令和7年1月1日~3月31日の3か月間
研究方法
4階職員19名を対象とする。
(1)腰痛に関する事前アンケートを実施。腰痛の程度を把握する。
(2)「これだけ体操」の動画を各自視聴し、手順を覚える。(手順はスライドを参照)
(3)これだけ体操の実施。勤務中に3回実施する。実施時間は、日勤(8:30から17:00まで)は8:30・11:25・16:50。早番(7:30から16:00まで)は7:30・11:25・15:50。遅番(10:30から19:00まで)は10:30・15:50・18:50。夜勤(16:30から翌9:00まで)は16:50・23:00・8:30とする。
(4)3カ月後に、実施後の腰痛アンケートの実施。
(5)これだけ体操の実施前後で腰痛の状態の変化があったのか比較を行う。
結果
開始前から腰痛がある13名。腰痛予防・改善に興味がある19名。日頃から腰痛予防の為に体操等を行っている6名。業務中に腰痛にならない工夫をしている13名行っている工夫としては、コルセットの装着をしている人が一番多く、他介助中の姿勢に気を付ける・日頃から筋トレをしている・ベッドの高さを都度調整している等の回答があった。
ODIスコア(慢性腰痛患者の日常生活動作の障害の程度を把握する為の評価方法)を用いて職員の障害のレベルを算出する。体操を実施する前のスコア平均値14%(0%から100%までの範囲で高いほど腰痛になる障害が重い)。障害レベル、最小限の障害(0%から20%以内)14名。中等度の障害(21%から40%以内)5名。
3カ月間、これだけ体操を実施した後の結果、元々腰痛あり13名のうち、変化がなかった6名、軽減した7名。開始時に腰痛のなかった6名には顕著な変化はなかった。ODIスコア平均値13%に下がった。障害レベル最小限の障害15名、中等度の障害4名。腰痛に対する意識が高まった17名。具体的には、実際に「これだけ体操」を行ったことにより、腰痛体操の仕方が分かった・腰が楽になった・気持ちが良かった等の理由から、空いている時間に職場以外でも腰痛体操を行うようになったとの回答が多かった。
考察・まとめ
3か月間と短い期間ではあったが、体操やストレッチを1ヵ月以上続けると痛みを感じにくくなり、2カ月続けると筋肉レベルで柔らかくなると言われている。そのため「これだけ体操」を継続して、腰痛が緩和する簡単で短時間で出来る体操が浸透した結果、全員が継続して3カ月間実施出来たことにより、腰痛の軽減に一定の効果があったと考えられる。腰痛は筋力の低下だけではなく、柔軟性の低下も原因の一つとなる。緊張した筋肉をほぐして血行を促すことで腰回りの筋肉が柔らかくなると、可動域が拡がり、腰椎への負担が負担が軽減されると言われている。そのため、業務開始前と就業中に身体を動かして柔軟にすることで身体が楽になり、職員1人1人が継続することの大切さに気付き、日頃から自宅で体操を行うようになった職員が増えているのが、アンケート結果からも見て取れた。しかし、業務中に3回「これだけ体操」を実施するのは難しく、理由としては業務が多忙だった。1人で体操を実施する時間帯には忘れていた等が挙げられる。
今後は「これだけ体操」を確実に職員が出来る時間帯として、日勤、早番、遅番、夜勤それぞれ就業前と終了前の1日2回の実施に変更して、確実に実施が出来るようにすることで、今後も体操の習慣付ける取り組みを継続していく。
また、最近ではノーリフティングポリシーが浸透し始めており、腰痛対策としての働き方改革にも注目が集まっていることから、腰に負担がかからない福祉用具の導入なども検討していき、職員の大事な腰を守っていきたい。
文献(これだけ体操) 東大医学部特任教授松平浩医学博士考案
運動型健康増進施設の一覧(厚生労働省ホームページより)
