講演情報

[28-P-A001-02]朝活(朝のリハビリ)の実践朝に卓上リハビリを行い、利用者のQOL向上等を図る

福井県 畑木 参夫, 重田 真克, 山下 恵子, 冨岡 真由美 (介護老人保健施設アクール若狭)
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【はじめに】
アクール若狭は、超強化型介護老人保健施設として、利用者の在宅復帰を目指して計画的にリハビリサービス等を提供している。今回、起床後朝食までの時間に着目し、新たなリハビリサービスを提供できないか検討した。朝早く起きて活動する朝活には、生活リズムを整え、気持ちが前向きになるなどの効果が期待できる。現状、利用者は起床後朝食まで食堂で過ごす方が多く、食堂ではテレビを見たり、他の利用者と話をしたりしている。また塗り絵や計算問題に取り組んでいる方もいるが、席で眠たそうにされている方もいる。職員は限られた人数で離床介助を行っているため、起床された利用者と関わる十分な時間を確保することが難しい状況である。そこで、職員の業務負担を極力増やさず、朝食までの時間に利用者が食堂で安全に行えることがないかを考え、席に座って取り組める卓上リハビリ(手指のリハビリ等)を実施することとした。
【目的】
起床後、朝食までの時間を活用し、卓上リハビリに取り組むことで、利用者の握力や巧緻性の向上、施設生活におけるQOLの向上につなげたい。
【方法】
1.対象者の選定
・限られた人数で離床介助を行っているため、職員の負担を増やさないよう声かけなど軽介助でリハビリが行える利用者を選定する。
・リハビリ意欲のある利用者を選定する。
・リハビリ効果を評価するため、退所予定のない利用者を選定する。
以上の内容を踏まえ、8名の利用者を選定した。
2.リハビリ内容の検討
・食堂の席に座って安全にできる。
・簡単で覚えやすい。
・朝なので体操の要素も含んだリハビリを入れる。
以上の内容を踏まえて作業療法士と相談し、以下3種類のリハビリを実施することとした。
(1)タオル体操(約3分)
(2)ボール・クリップ・スポンジを握る訓練(約2分)
(3)箸の切れ端を摘まんでペットボトルの中へ入れる訓練(約2分)
3.朝食前に食堂にて卓上リハビリを実施
・職員の負担を増やさず、安全に行えるよう実施日時や役割分担を決め、約2ヶ月間リハビリを実施した。
・当初、卓上リハビリ対象者を8名として、リハビリを開始したが、他の利用者からもリハビリ希望があったため、対象者を拡大し、最終的には21名の方が卓上リハビリに取り組まれた。
・リハビリ内容に飽きてしまった方には、新しい卓上リハビリメニュー(「おはじき」を容器に押し込むリハビリ)を提案し、再度リハビリに取り組んでいただくことができた。
4.評価
(1)握力・巧緻性の変化について
リハビリ参加者21名の内、1ヶ月以上継続してリハビリに取り組めた10名の利用者について、リハビリ開始前と終了後に、握力測定・ペグ裏返し時間の測定を行い、変化を調べた。
(2)卓上リハビリ実施後、今回の取組みについて利用者にアンケート(聞き取り)を実施した。
【結果】
・握力については、測定数値が向上した方と低下した方がみられた。巧緻性については、測定数値が向上した方が多くみられた。
・卓上リハビリに消極的な方もいたが、利用者アンケートでは半数以上の方が卓上リハビリを続けていきたいと答えており、利用者のリハビリ意欲が高いことが分かった。
・リハビリ道具を渡すと集中して卓上リハビリに取り組む方が多かった。
・卓上リハビリの方法を忘れてしまう利用者には、他の利用者が方法を伝えながら一緒に卓上リハビリを行うなどの交流もみられた。
・「ボール下さい」「今日はリハビリせんの?」など利用者から卓上リハビリを催促されることもあった。
・起床時、利用者対応(体調不良や排泄介助等)のため、卓上リハビリを実施できないこともあった。
・利用者から要望があり、朝以外の時間に卓上リハビリを行うこともあった。
【まとめ】
・朝食までの時間にリハビリの機会を提供できたことで、リハビリ意欲のある方に喜んでいただきQOL向上につながった。
・握力、巧緻性については、能力が向上した方と低下した方がおり、効果が分かりづらかった。(卓上リハビリを行う時間は確実に増加しており、握力や巧緻性の向上に寄与していると思われる)
・リハビリメニューが限られており、内容に飽きてしまう利用者もいたため、リハビリメニューを増やすとより効果が期待できる。
・朝食前は、その日の状況によってリハビリができない日があったことや朝以外の時間にリハビリ希望があったことを踏まえて、今後は朝食前に限らず、昼食前、夕食前、日中など隙間時間を有効活用して卓上リハビリを継続する。