講演情報

[28-P-A001-06]転倒予防のトレーニングを試みて

山口県 野村 知子, 末永 幸恵, 齋藤 勝之, 宇野 裕美 (介護老人保健施設福寿苑)
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転倒予防のトレーニングを試みて老人保健施設 福寿苑発表者  野村 知子(介護福祉士)共同演者 末永 幸恵(介護職)・齋藤 勝之(看護職)・宇野 裕美(介護職)【目的】高齢になると転倒の発生率が高くなり、骨折や手術により後遺症を患うことも少なくない。利用者の多くは、認知症や下肢の筋力低下がみられ危険予知能力も低下しているため、センサー等を利用していても防ぎようのない転倒があるのも事実である。リハビリ以外は運動する機会が少ないことから、スタッフによる転倒予防のトレーニングを実施した結果を報告する。【研究方法】対象は、転倒転落アセスメントスコアシート危険度2の利用者5名。2024年6月から9月の4か月間。平日の午前中に計75回実施。データ収集方法および分析方法は、1.写真付き手順表の作成し、実施者は手順表に沿って実施する。2.トレーニング中の様子を個別記録表に記入し、利用者の状態を把握し参加の様子や発言を分析する。3.運動機能評価表を作成し月1回TUGと膝筋力測定を行い、データをグラフ化し分析する。TUGとは、Timed Up and Goの略で、歩行能力や動的バランス、敏捷性などを統合した機能的移動能力を評価するテストのことである。【倫理的配慮】対象者にはプライバシーと匿名性の保持、途中で研究参加を辞退してもその後の入所生活に影響がない事を説明し、研究参加への協力を依頼し同意を得た。【結果】A氏は参加中「皆とたいそうして良かった」との発言がきかれた。TUGは2回目に大きくタイムが短縮したが後半に変化はなかった。膝筋力測定は3回目まで順調に成果が見られ、後半はやや下がったが維持できた。 B氏はトレーニング初日に転倒し腰痛等でしばらく不参加が続いた。参加しても消極的な発言が多かったが、2か月目以降は「やっぱせにゃーいけん」と発言に変化が見られた。TUG、膝筋力測定ともに順調に成果が得られていたが、5回目は「調子が悪い」との発言もあり数値がさがった。 C氏は「毎日の体操の時間が楽しい」との発言の通り積極的に参加された。TUGは順調に成果が得られた。膝筋力測定は後半「体調が悪いわけではないけど疲れやすい」との発言もあり数値が下がった。 D氏、E氏については実施当初は意欲的に取り組んでいたが、途中から体調不良で不参加が続きその後入院加療のため退所となった。【考察】今回転倒予防のトレーニングをすることで、普段使わない筋肉や関節を動かす事ができ、椅子に座ったままできるラジオ体操を加えることで全身の運動が行えた。また、スタッフを中心に輪になることで、一人一人の表情を見ながら動作の確認を行うことができた。また、小集団で行うことで身体面のみならず、精神面にも良い結果をもたらした。消極的で硬い表情だったが、運動の合間のやり取りを通し表情が和らぎ笑顔がみられるようになり、トレーニングに参加することで「何かがしたい」という欲求が満たされ精神的に落ち着いた。しかし、皆高齢であることから体力面も考慮し無理なくトレーニングを継続することも大切だと感じた。【結論】加齢による筋力低下は避けることはできないが、トレーニングをすることで少しでも下肢筋力が維持され、転倒予防につながるよう今後も継続していく。