講演情報

[28-P-AH02-05]ビフイズス菌末を使用した排便コントロール実例報告

山口県 大元 珠代 (老人保健施設くが)
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【はじめに】
高齢者の排便に関する問題は、加齢による身体機能低下や生活習慣の変化などが原因で起こりやすくなる。便秘や便失禁、排便に関する不快感や苦痛は、高齢者のQOLを低下させる要因にもなりうる。実際、当施設でも90%の方が便秘予防の為に下剤を服用し排便コントロールを行っている現状があった。一般棟の40名に、排便について簡単なアンケートを実施した。排便について上手くいっていると答えた方は40名中20名。うまくいっていないと答えた方は40名中8名。どちらともいえないと答えた方は40名中7名。無回答は40名中5名。このアンケートの結果を踏まえ施設全体で考える機会を持った。排便コントロールを難しくしている要因の一つに、腸内環境の乱れがある。腸内環境を整える具体的な対策として、食物繊維や水分の摂取、適度な運動、規則正しい生活、ストレス対策、毎日決まった時間にトイレに行くなどあるが、今回は、ビフイズス菌末BB536に焦点を当てて研究をした。
【目的】
ビフイズス菌末BB536の摂取が、排便コントロール困難な高齢者の排便頻度と便性に及ぼす影響を検討する。
【方法】
(1)排便コントロール困難な高齢者10名を対象とする。
(2)常用下剤の量は調整せずに、毎日1包ずつのビフイズス菌末BB536を摂取してもらう。
(3)一週間ごとに、排便頻度と便性状((1)コロコロ便、(2)硬い便、(3)やや硬い便、(4)普通便、(5)やや柔らかい便、(6)泥状便、(7)水様便)下剤の追加を記録する。
(4)1週間後、2週間後、3週間後、4週間後に、排便日数(1日1回以上排便があった日数)、排便処置日数(1日1回以上何らかの排便処置を実施した日数)、便性状(ブリストルスケール、便スケール)を算出し、摂取前と摂取後の比較を行った。
(5)摂取1か月後に、高齢者10名と、介護職、看護職にアンケートを実施した。
【結果】
(1)摂取4週目に排便日数は有意に増加した。
(2)摂取4週目に排便処置日数は有意に減少した。
(3)投与2~4週目にブリストルスケールが優位に改善した。
(4)投与1~4週目に便スケールは有意に改善した(0に近づいた)
(5)アンケート(高齢者)摂取後は、腹痛、腹部膨満感が軽減された。
(6)アンケート(介護職)便失禁が減少した。
(7)アンケート(看護職)追加で下剤を使う頻度が減少した。
【考察】
(1)本研究の結果から、ビフイズス菌末BB536の摂取は、排便コントロール困難な高齢者の排便頻度と便性状を改善する効果があることが示唆された。
(2)ビフイズス菌末BB536の摂取は、便秘改善に有効であることや、ビフイズス菌の増加は、悪玉菌の減少、短鎖脂肪酸の増加など、腸内環境の改善につながることが示唆された。短鎖脂肪酸は、腸の蠕動運動をを促進し、便秘改善に効果がある。今後、より詳細なメカニズムの解明や、ほかの要因との関連性を検討する必要がある。
(3)ビフイズス菌末BB536の摂取が下痢症状を改善する効果が示唆された。この効果は、ビフイズス菌末BB536による腸内環境の改善(悪玉菌の抑制、PHの低下)が関与していると考えられる。今回の結果はビフイズス菌末BB536が下痢に対する有効な対策となりうる可能性がある。さらなる研究として、より詳細なメカニズムの解明や、様々な下痢症状に対する効果の検証が期待される。
(4)今後の研究では、より長期間の摂取による効果や、ほかの要因(食事内容、運動量など)との関連についても検討する必要がある。
(5)本研究で用いたビフイズス菌の種類や摂取量、対象者の年齢層などを考慮し、より詳細な検討が必要である。
(6)ビフイズス菌末BB536の摂取は、高齢者のQOL向上に貢献する可能性も示唆される。