講演情報

[28-P-AH02-06]腸活による高齢者の便秘改善への取り組み

山口県 守友 さゆり1 (1.ナイスケアまほろば, 2.ナイスケアまほろば, 3.ナイスケアまほろば)
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1,はじめに
加齢に伴い、腸の蠕動(ぜんどう)運動の低下や食事量が減ることで腸への刺激が減り、便秘になる方が多く、当施設入所者様の約60%の方が便秘薬を使用している。排便が3日間みられない場合は、追加下剤や坐薬を使用して排便コントロールを行っている。腸内細菌に関しても、特に大腸で働くビフィズス菌は加齢やストレスなどで減少し、老年期にはピークの20分の1まで減少すると言われている。加齢やストレスとともに減少する腸内の乳酸菌・ビフィズス菌をヤクルト飲料の導入やヨーグルトの摂取、食物繊維強化献立・オリゴ糖シロップを摂取することで、便質の改善、追加下剤や坐薬などの便処置回数を減らせるのではないかと考え、腸活を実施した。腸活により、下剤や坐薬に頼らない便秘改善を図ることができるのかを検討した。
2,対象、方法
1)期間:2025年7月7日~7月28日
2)対象者;当施設入所者66歳~96歳までの15名(男性4名、女性11名)
3)データの収集方法
便の性状は職員によって認識の違いがないように、ブリストルスケールを用いた。排便後に職員による聞き取りや目視での便の観察を行った(表1)。
排便量は排便量スケールを使用し、5(バナナ1本)~6(バナナ1本以上)を1回量とした。
4)7月7日から7月28日まで1日1本昼食時にヤクルトを摂取した。
5)7月14日~7月18日までの5日間ヨーグルトを昼食時に摂取した。
6)7月19日~7月28日までの10日間、食物繊維強化献立、オリゴ糖シロップをmlコーヒーまたは紅茶に溶かして飲用した。
7)排便が3日間ない場合は追加下剤や坐薬を使用した。
8)ブリストルスケールを全トイレに掲示した。
3、結果
1)A氏(80歳女性)腸活前は、レシカルボン坐薬挿入への拒否があるため、ピコスルファート8滴を3日に1回使用していた。その結果、下痢を引き起こし、便失禁をすることが度々あった。ヤクルトを飲用後の7月8日からは、追加下剤や、坐薬を使用することなく、ほぼ毎日便性状スケール4~6、排便量スケール4~5の排便が見られた。昼食後にヤクルトを飲用することで、日中トイレで排便することが増え、便失禁の回数が減った。
2)B氏(66歳男性)
腸活前の1か月間は、3日に1回、レシカルボン坐薬を挿入していた。腸活開始後、1週目は自然排便1回/週、坐薬挿入1回/週。2週目は自然排便0回/週、坐薬挿入2回/週。3週目は自然排便4回/週、坐薬挿入0回/週であり、3週目からは追加下剤を使用せず、自然排便となった。また、排便時間は朝9時~10時の間に便意を訴え、トイレでの排便が見られた。
3)C氏(92歳女性)
腸活前のレシカルボン坐薬使用頻度は1ヶ月に1回程度であった。2日に1回の排便回数で、「すっきりでない」感じがあった。腸活開始後、追加下剤や坐薬の使用はなく、排便回数は1週目3回/週。2週目7回/週。3週目7回/週であった。便の性状はブリストルスケール上4~6であった。
4)腸活開始後、ブリストルスケールを指でさしながら、「〇―〇がでたよ」と具体的な数字で報告する入所者が増えた。職員間でも、「スケール〇―〇」という言葉が飛び交い、量や性状の表現を多職種間で標準化できた。全体の便性状は腸活開始後、2週目以降はブリストルスケール1~2のカチコチ便は0名であった。
5)入所者様はヤクルトを引用する時間を楽しみにされており、笑顔が増えた。
4,考察
ヤクルト、ヨーグルト、オリゴ糖、食物繊維を用いた腸活により、腸内のビフィズス菌を増殖させ、腸蠕動(ぜんどう)運動を活性化させることにより、腸内環境が変化し、便秘の改善につながったと考える。ブリストルスケールを全トイレに掲示することで、入所者、職員の排便に対する意識の向上につながったと考える。
5,まとめ
腸活により、追加下剤や坐薬などの便処置回数が減少したが、研究期間が短く、効果が表れたのは3名のみであり、今後の変化についての研究には至っていない。今後も継続して、腸活を行っていき、薬剤に頼らない、自然な排便が促されるような援助を行っていきたい。