講演情報
[28-P-L001-02]在宅復帰向けて優先すべき日常生活動作とは
静岡県 ○御宿 正人 (介護老人保健施設みしゅくケアセンターわか葉)
【目的】
本来の介護老人保健施設(以下:老健)とは病院から在宅への架け橋となる施設である。しかし施設によっては入所期間が長期化することも多く、在宅復帰率は低くなることがある。
在宅復帰には先行研究から日常生活動作(Activities of Daily Living以下:ADL)の能力向上が必要と明らかとなっている。その能力獲得のためにはリハビリスタッフのみならず老健のスタッフ全体でのサポートが必要となってくる。
今回、ADLの中でも在宅復帰に重要な項目を見つけ出し当老健スタッフ全体で共有することで効率的に能力の向上を図る環境を作ることを目的とした。
【方法】
まず当施設の通所リハビリテーション(以下:デイケア)の利用者61名と入所者100名のBarthel Index(以下BI)を測定する。BIの各項目のデータからt検定でp値を算出し、有意差を確認する。この時、BIの10項目の検定を行う為、多重比較問題を考慮しボンフェローニ補正を行い有意水準を0.05/10とした。
次に有意差のあった項目の平均点数を比べ大きな数字が出た項目を在宅復帰において重要な項目とした。この時、BIの自立時の点数に差がある為、自立時の点数を全て10点とした時の平均点で差を算出する。
【結果】全ての項目でデイケアの平均値は入所者の平均値より上回っていた。また、食事を除いた項目で有意差が確認された。
最も点数差が出た項目は階段昇降の4.40点差であり、椅子、ベッドへの移乗動作の4.27点差、トイレ動作・更衣動作の4.10点差へと続いた。
【考察】
まず全ての項目でデイケア利用者の平均値は入所者の平均値を上回っていたが自宅での生活にADLの能力が関わっていることは先に述べた通りであり、それを裏付ける結果である。
この中で、意外と感じたのは階段昇降が最も点数に差が出たことである。そこでデイケア利用者の生活状況を確認するとアパートを含め1階よりも上の階で生活している人数は3人であることが分かった。このことから、ほとんどの方が普段から階段を利用して生活しているのではないことが分かる。そのうえで共通点を挙げるならば、全ての家屋で見られる玄関框を自力で上がっている利用者が多かった。これを日常的に繰り返すことで、階段も昇れる能力が身につき、点数の向上に起因したと考える。玄関框は10cm~20cm程の高さであるが、玄関框には段差を置くことができる家屋が多い。このことから階段昇降の能力は10cmの段差を1段~2段昇る能力があれば十分となる。
ベッドへの移乗動作、トイレ動作、更衣動作も点数差の出た項目である。ここで注目すべきはトイレ動作である。トイレ動作には衣服の着脱が含まれる。また歩行困難な利用者はポータブルトイレへの移乗を行うなど、自宅での生活に必要となる動作が含まれていた。清潔の保持は自宅での生活を継続するためには大きな要素を占めていると考える。
次に高いのは平地歩行の能力である。デイケア利用者は歩行自立の方が多く(歩行自立23人、車椅子自走27人)、入所者は少なかった(歩行自立9人、車椅子自走11人)。屋内移動の獲得は在宅復帰に向けて重要なADL能力といえる。
食事は入所者も自立しているものが有意差はみられなかった。
整容、排泄のコントロールに関してはデイケアで介助を受ける利用者が多く自立の有無は他の項目に比べ重要度は低いといえる。
【結論】今回の測定結果から、在宅復帰に最も重要なADL能力は家に入る能力といえる。そのうえで屋内での生活を継続するにはトイレ動作獲得による清潔保持が必要であり、老健で積極的に行うべきはリハビリでは身体機能向上によるADL能力の向上と合わせて段差昇降の訓練、施設のスタッフはトイレ誘導となった。またその際は声掛けのみで最低限の介助に止め、トイレまでの移動を促すことが必要である。
【終わりに】
今回はADLの観点からBIの点数のみで検討を行ったが、実際の在宅復帰には本人の認知機能、家屋状況、家庭環境など多くの要因が関わってくる。今後は他の要因も踏まえ、実用性を高めていきたい。
本来の介護老人保健施設(以下:老健)とは病院から在宅への架け橋となる施設である。しかし施設によっては入所期間が長期化することも多く、在宅復帰率は低くなることがある。
在宅復帰には先行研究から日常生活動作(Activities of Daily Living以下:ADL)の能力向上が必要と明らかとなっている。その能力獲得のためにはリハビリスタッフのみならず老健のスタッフ全体でのサポートが必要となってくる。
今回、ADLの中でも在宅復帰に重要な項目を見つけ出し当老健スタッフ全体で共有することで効率的に能力の向上を図る環境を作ることを目的とした。
【方法】
まず当施設の通所リハビリテーション(以下:デイケア)の利用者61名と入所者100名のBarthel Index(以下BI)を測定する。BIの各項目のデータからt検定でp値を算出し、有意差を確認する。この時、BIの10項目の検定を行う為、多重比較問題を考慮しボンフェローニ補正を行い有意水準を0.05/10とした。
次に有意差のあった項目の平均点数を比べ大きな数字が出た項目を在宅復帰において重要な項目とした。この時、BIの自立時の点数に差がある為、自立時の点数を全て10点とした時の平均点で差を算出する。
【結果】全ての項目でデイケアの平均値は入所者の平均値より上回っていた。また、食事を除いた項目で有意差が確認された。
最も点数差が出た項目は階段昇降の4.40点差であり、椅子、ベッドへの移乗動作の4.27点差、トイレ動作・更衣動作の4.10点差へと続いた。
【考察】
まず全ての項目でデイケア利用者の平均値は入所者の平均値を上回っていたが自宅での生活にADLの能力が関わっていることは先に述べた通りであり、それを裏付ける結果である。
この中で、意外と感じたのは階段昇降が最も点数に差が出たことである。そこでデイケア利用者の生活状況を確認するとアパートを含め1階よりも上の階で生活している人数は3人であることが分かった。このことから、ほとんどの方が普段から階段を利用して生活しているのではないことが分かる。そのうえで共通点を挙げるならば、全ての家屋で見られる玄関框を自力で上がっている利用者が多かった。これを日常的に繰り返すことで、階段も昇れる能力が身につき、点数の向上に起因したと考える。玄関框は10cm~20cm程の高さであるが、玄関框には段差を置くことができる家屋が多い。このことから階段昇降の能力は10cmの段差を1段~2段昇る能力があれば十分となる。
ベッドへの移乗動作、トイレ動作、更衣動作も点数差の出た項目である。ここで注目すべきはトイレ動作である。トイレ動作には衣服の着脱が含まれる。また歩行困難な利用者はポータブルトイレへの移乗を行うなど、自宅での生活に必要となる動作が含まれていた。清潔の保持は自宅での生活を継続するためには大きな要素を占めていると考える。
次に高いのは平地歩行の能力である。デイケア利用者は歩行自立の方が多く(歩行自立23人、車椅子自走27人)、入所者は少なかった(歩行自立9人、車椅子自走11人)。屋内移動の獲得は在宅復帰に向けて重要なADL能力といえる。
食事は入所者も自立しているものが有意差はみられなかった。
整容、排泄のコントロールに関してはデイケアで介助を受ける利用者が多く自立の有無は他の項目に比べ重要度は低いといえる。
【結論】今回の測定結果から、在宅復帰に最も重要なADL能力は家に入る能力といえる。そのうえで屋内での生活を継続するにはトイレ動作獲得による清潔保持が必要であり、老健で積極的に行うべきはリハビリでは身体機能向上によるADL能力の向上と合わせて段差昇降の訓練、施設のスタッフはトイレ誘導となった。またその際は声掛けのみで最低限の介助に止め、トイレまでの移動を促すことが必要である。
【終わりに】
今回はADLの観点からBIの点数のみで検討を行ったが、実際の在宅復帰には本人の認知機能、家屋状況、家庭環境など多くの要因が関わってくる。今後は他の要因も踏まえ、実用性を高めていきたい。

