講演情報

[28-P-L001-07]たべるのらくだ~いによる食事動作の工夫

福井県 大津谷 香織, 湯口 湯口 (介護老人保健施設 ディーパあかね)
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【はじめに】
食べこぼしや、食事中の姿勢の崩れ、食事動作が十分に行えず食事時間が延長するなど質的問題が認められる場合、姿勢を評価し、車椅子座位でのポジショニングを検討することが多い。しかし、ポジショニングが複雑で介助者間で統一できないことがあり、実施する介助者にも負担が掛かることがある。今回は、ポジショニングの検討ではなく、当施設で「たべるのらくだ~い」と呼んでいる食事用傾斜台を使用することで自力摂取の一助になり、食事動作に変化が得られた症例を報告する。
【たべるのらくだ~い(食事用傾斜台)とは?】
トレーを傾斜させ、食物を見やすくした台のこと。段ボールと滑り止めマットを使用し作製した。
サイズ:横幅 トレーと同じ長さ(約40センチ)、高さ:利用者が見えやすい高さ(約11センチ、角度約20度)
【対象】
当施設入所者2名  
症例1 75歳、女性、要介護5、誤嚥性肺炎、多系統萎縮症、多発性脳梗塞の方。
症例2 78歳、女性、要介護4、パーキンソン病、右上腕骨外科頚骨折の方。
2名とも(1)食べこぼしがある(2)食事中の姿勢崩れがあり、自力で姿勢変換が出来ない(3)食事時間が長い方である。
【方法】
たべるのらくだ~いを使用前後において、「こぼす回数」「ムセの回数」「介助量」「食事の所要時間」「姿勢崩れの有無」を評価し、比較検討した。
【結果】2症例とも姿勢はほとんど変化なかったが,視線が上がり,こぼす回数,ムセの回数,介助量,食事の所要時間,姿勢の崩れ,全ての項目において減少が認められた.また,症例2は,奥の食器まで手が届きやすくなった。
【考察】
今回の症例では、たべるのらくだ~いを使用し、トレーを傾斜させることで、食べこぼしが減った。
理由としては、視線が上がり、奥の食物も見えることで、視覚的認識が行いやすくなったことと、食物までの距離を10センチ短縮できたことでリーチ動作が行いやすくなったことが考えられる。
また、食事時間の短縮に繋がった理由としては、リーチ動作が楽に行え、疲れにくく姿勢崩れが減ることでムセが減ったと考える。
【まとめ】機能的な座位を十分に取れず、姿勢の変換が行えない中で、座位姿勢を変えるのではなく、食事動作を工夫することで自力摂取につなげることができた。
たべるのらくだ~いは,その名の通り入所者にとって食べることが楽になるものであり、安価で簡単に作製することができ、ADLに変化をもたらす有益なものの1つである。
現在では、ミールラウンド等の会議で多職種から「たべるのらくだ~い」を試してはどうか等の意見が聞かれるようになり、当施設での食事用自助具の一つになった。