講演情報

[28-P-LGFEZ-01]介護老人保健施設における自費リハ利用者の傾向と目的~導入から一年間の振り返り~

東京都 黒川 良輔, 井上 愛, 内海 千尋, 工藤 香澄, 田淵 かおる, 米本 紗喜 (医療法人社団 健育会 介護老人保健施設ライフサポートひなた)
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【目的】
介護老人保健施設(以下老健)でのリハビリテーション介入時間は、入所日から三カ月を経過すると短期集中及び認知症短期集中リハビリテーション実施加算が終了し、三分の一程度に減少する。当施設は超強化型老健を取得しており、入所者が重度化の傾向にあり、入所三か月以内で在宅復帰をすることが困難となる症例が増加しており、介入時間が減少しながらも在宅復帰率を高めることに難渋していた。
そこで当施設では入所後三か月を経過する入所者に対して、任意の自費リハビリテーション(以下自費リハ)を導入した。しかし老健入所者への自費リハに関する先行研究は少なく、当施設でも利用した症例についての傾向を把握できていなかった。
そのため老健における自費リハを利用した症例についての傾向と利用目的について調査をしたため報告する。
【方法】
対象はX年5月からX1年4月にA老健に入所した96名のうち、1回60分の自費リハを利用した後に退所した者とした。
方法1)基本情報として、対象者の性別、年齢、介護度、主疾患、Barthel Index(以下BI)、自費リハの利用期間と述べ回数、退所先をカルテより後方視的に調査した。
方法2)自費リハを担当した療法士に対してアンケートを行い、自費リハの目的について、自費リハの利用で増えた介入時間および利用者が得られた効果について5段階評価で調査をした。
集計したデータは匿名化し個人が特定できないように扱った。なお、発表にあたっては当施設倫理委員会の承認を得た。
【結果】
1)基本情報
対象者:12名(男0名,女12名) 年齢:82.8±7.2歳
介護度(中央値)3(介護1=2、介護2=1、介護3=3、介護4=3、介護5=3)
主疾患:脳血管8、骨折3、筋骨格系1
BI:65.0±20.4点
自費リハ利用期間3.3±1.6ヵ月、延べ回数12.1±7.6回
退所先:在宅8、施設3、入院1
2)アンケート結果
目的:在宅復帰のための移動能力向上6、トイレ動作能力向上1、家屋環境の練習2
介護施設の方向で移動能力向上2、摂食嚥下機能の維持向上および家族指導1
効果:4.6±0.7 時間:4.5±0.5
【考察】
自費リハを利用した者は12名であり、これは入所者全体の12%であった。性別は全員が女性であったが、当施設では入所者の約80%が女性であることから、今後自費リハ利用に関して性差がみられるかについては、経過を追う必要があると考える。
平均年齢82歳、要介護3以上が75%、脳血管疾患が66%、BI65点(部分介助レベル)であることから、中重度の入所者に対して必要な訓練時間を上乗せするために自費リハを多く提供している傾向が示された。
アンケート結果から、自費リハの目的は5つに分けることができた。また、在宅復帰を目的とした9名は、1名の入院を除き全員が在宅復帰していた。
介護施設の方向で介入した3名は、退所先の施設でも安全に自立した移動ができることを目的とした症例に加え、退所先の施設でも家族が利用者に対して安全にお楽しみ食を摂取できるように関わることが自費リハで行われていた。担当療法士に調査した効果と時間については高い評価が得られた。通常の介入時間に上乗せして関われることが、目的を達成できることに繋がっているためと考える。
今後の展望としては、対象者を増やして統計学的に傾向をみていくこと、利用者及び家族に対して自費リハに関する満足度を調査したいと考える。