講演情報
[22-O-J003-02]施設内にて提供するとろみ飲料の濃度統一に向けた検討
*黒瀬 智子、久保井 奈緒子、片山 一洋、高橋 満 (広島県 三次地区医師会介護老人保健施設あさぎり)
【はじめに】嚥下障害者が水分を摂取する際、液体にとろみ添加することで、喉頭侵入や誤嚥の危険性を軽減することができる。
この効果を得るため、とろみ調整食品を用いてとろみ添加することも多い。
とろみ調整食品について、当施設はつるりんこQuicklyを使用しており、メーカーにて推奨のとろみ調整食品の使用量の目安が提示されているが、メーカー推奨のとろみ量を添加しても、飲料によりとろみ添加の加減が異なることに不安を抱いた。
例えば、冷水に比し、コーヒーは薄いとろみを添加しても、定着しにくく、同レベルのとろみ濃度とは言い難い。
ペンマンらによれば、病状は人によって異なることから、一人ひとりについて適した物性のとろみを調整することが理想的と考えられている。
さらに、とろみ濃度にばらつきがあると、誤嚥の危険性が高まり、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが生じるため、とろみ濃度は統一されていることが望ましいとされている。
そこで、当施設で実際に提供するとろみ飲料(冷水やジュース、コーヒー等)が、日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021(以後、学会分類2021(とろみ))が定義する規定範囲内の濃度となる方法を検討した。
また、とろみ飲料を提供し、利用者が飲み切るまでに時間を要する場合があるため、時間経過に伴う濃度の変化も計測した。
【方法】とろみ濃度の測定は、Line Spread Test法(以後、LST)にて行った。基準値は学会分類2021(とろみ)にて示される、薄いとろみ(36~43mm)、中間とろみ(32~36mm)、濃いとろみ(30~32mm)とし、濃度がこれらの範囲内となる方法を検討した。検査する飲料は、10度の冷水、麦茶、ダカラ、70度の緑茶、ブラックコーヒー、クリープ入りコーヒーの6種類、とろみ調整食品はつるりんこQuicklyを使用した。
測定時間はそれぞれ、とろみ添加直後、10分後、20分後、30分後、3時間後とした。
測定時、下記の4項目について比較検討した
1)攪拌に使用する機器の違い:スプーンとマドラーのそれぞれで攪拌した場合のとろみ濃度の差を比較した。
2)攪拌方法の違い:液体を円を描くように30回攪拌、前後に切るるように30回攪拌、円を描くのと前後に切るように30回ずつの攪拌で数値の差を比較した。
3)作成後、時間が経過したとろみ飲料の濃度変化:時間経過し再測定する前に、とろみ飲料を攪拌した場合と攪拌しない場合の濃度の差を比較した。
4)とろみ調整食品の添加量を増量:メーカー規定のとろみ量と、メーカー規定量より5cc増量した場合にて濃度の差を比較した。
【結果】各項目について、下記の結果が認められた。
1)スプーンとマドラーでは、マドラーの方がとろみ濃度が安定した。
2)攪拌方法は、円を描き、その後前後に切るように30回ずつ攪拌をすることでとろみ濃度が安定した。
3)測定前に攪拌をしない場合、20~30分経過した段階で離水した様にとろみ濃度が薄くなった。
測定前に攪拌した場合、離水した様な状態にはならず、時間経過後も濃度に大きな差を認めなかった。
4)メーカー推奨のとろみ調整食品の使用量の目安では、冷水を除く飲料にて、各段階、規定濃度よりも一段階ずつ薄いとろみ濃度となった。
メーカー推奨量より5ccずつ増量すると、学会分類2021(とろみ)の規定内と数値となった。
コーヒーに限り、とろみ濃度が学会分類2021(とろみ)の範囲内となるまで30分要した。
森永乳業クリニコ(以下、森永)との結果共有も行った。
【考察】攪拌に使用した機器は、スプーンよりマドラーの方が濃度が安定した。
これは、スプーンでは攪拌が十分に行えないことが原因であると考えられる。マドラーは攪拌時もコップから溢れるほど液体が激しく動くことなく、素早く丁寧に攪拌することができた。
とろみ濃度に差があったのは、マドラーにてしっかりと攪拌ができた結果と考えられる。
攪拌方法は、円を描く、或いは上下に切るのみではとろみ濃度の定着は不十分であった。
双方の攪拌方法を導入することで、液体ととろみ調整食品がしっかりと混ざり合ったと考えられる。
またとろみ飲料は、20分程度経過以降、分離した様な状態になることが分かった。
森永の情報にて、つるりんこクイックリーは特別用途食品を取得しており、経時的安定性が条件の一つとされ、調整30分後の粘度が、調整10分後の粘度の±15%以内であることが求められるとされている。
すべての飲料にて条件はクリアしていたが、時間経過にてLST数値が増加した。
作成後、時間が経過して摂取してもらう場合は、作り直すか、再度攪拌する必要があることが分かった。
メーカー推奨のとろみ調整食品の使用量の目安では、冷水を除く飲料にて、各段階、規定濃度よりも一段階ずつ薄いとろみ濃度となった。
メーカー推奨量より5ccずつ増量すると、学会分類2021(とろみ)の規定内と数値となった。
森永によると、メーカー推奨のとろみ調整食品の使用量にて学会規定範囲内のとろみ濃度となる条件は、液体温度が20~45度であることとされている。
しかし、当施設ではこの条件に該当する飲料を提供しておらず、メーカー推奨量にて規定のとろみ濃度に達しなかったと考えられる。
今回、計測を行ったことにより、利用者ごとに適切なとろみを提供できるよう、方法統一の目安が分かった。
ただし提供量が一律である飲料は、とろみ添加量を固定化しやすいが、汁物は減塩食や腎臓食の利用者様は量が異なり、とろみ添加量の統一に困難さが生じる点は、今後の課題である。
【まとめ】施設内にて提供する、とろみ飲料のとろみ濃度統一を図るため、LSTにてとろみ濃度測定を行い、規定値となるとろみ量を検討した。
結果、メーカー推奨のとろみ添加量より5ccずつ増量することで、学会分類2021(とろみ)の規定量に準じたとろみ濃度になることが判明した。
また、とろみ飲料を放置すると離水の様な状態となるため、時間差にて提供する場合は再度攪拌をする必要があった。
この効果を得るため、とろみ調整食品を用いてとろみ添加することも多い。
とろみ調整食品について、当施設はつるりんこQuicklyを使用しており、メーカーにて推奨のとろみ調整食品の使用量の目安が提示されているが、メーカー推奨のとろみ量を添加しても、飲料によりとろみ添加の加減が異なることに不安を抱いた。
例えば、冷水に比し、コーヒーは薄いとろみを添加しても、定着しにくく、同レベルのとろみ濃度とは言い難い。
ペンマンらによれば、病状は人によって異なることから、一人ひとりについて適した物性のとろみを調整することが理想的と考えられている。
さらに、とろみ濃度にばらつきがあると、誤嚥の危険性が高まり、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが生じるため、とろみ濃度は統一されていることが望ましいとされている。
そこで、当施設で実際に提供するとろみ飲料(冷水やジュース、コーヒー等)が、日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類2021(以後、学会分類2021(とろみ))が定義する規定範囲内の濃度となる方法を検討した。
また、とろみ飲料を提供し、利用者が飲み切るまでに時間を要する場合があるため、時間経過に伴う濃度の変化も計測した。
【方法】とろみ濃度の測定は、Line Spread Test法(以後、LST)にて行った。基準値は学会分類2021(とろみ)にて示される、薄いとろみ(36~43mm)、中間とろみ(32~36mm)、濃いとろみ(30~32mm)とし、濃度がこれらの範囲内となる方法を検討した。検査する飲料は、10度の冷水、麦茶、ダカラ、70度の緑茶、ブラックコーヒー、クリープ入りコーヒーの6種類、とろみ調整食品はつるりんこQuicklyを使用した。
測定時間はそれぞれ、とろみ添加直後、10分後、20分後、30分後、3時間後とした。
測定時、下記の4項目について比較検討した
1)攪拌に使用する機器の違い:スプーンとマドラーのそれぞれで攪拌した場合のとろみ濃度の差を比較した。
2)攪拌方法の違い:液体を円を描くように30回攪拌、前後に切るるように30回攪拌、円を描くのと前後に切るように30回ずつの攪拌で数値の差を比較した。
3)作成後、時間が経過したとろみ飲料の濃度変化:時間経過し再測定する前に、とろみ飲料を攪拌した場合と攪拌しない場合の濃度の差を比較した。
4)とろみ調整食品の添加量を増量:メーカー規定のとろみ量と、メーカー規定量より5cc増量した場合にて濃度の差を比較した。
【結果】各項目について、下記の結果が認められた。
1)スプーンとマドラーでは、マドラーの方がとろみ濃度が安定した。
2)攪拌方法は、円を描き、その後前後に切るように30回ずつ攪拌をすることでとろみ濃度が安定した。
3)測定前に攪拌をしない場合、20~30分経過した段階で離水した様にとろみ濃度が薄くなった。
測定前に攪拌した場合、離水した様な状態にはならず、時間経過後も濃度に大きな差を認めなかった。
4)メーカー推奨のとろみ調整食品の使用量の目安では、冷水を除く飲料にて、各段階、規定濃度よりも一段階ずつ薄いとろみ濃度となった。
メーカー推奨量より5ccずつ増量すると、学会分類2021(とろみ)の規定内と数値となった。
コーヒーに限り、とろみ濃度が学会分類2021(とろみ)の範囲内となるまで30分要した。
森永乳業クリニコ(以下、森永)との結果共有も行った。
【考察】攪拌に使用した機器は、スプーンよりマドラーの方が濃度が安定した。
これは、スプーンでは攪拌が十分に行えないことが原因であると考えられる。マドラーは攪拌時もコップから溢れるほど液体が激しく動くことなく、素早く丁寧に攪拌することができた。
とろみ濃度に差があったのは、マドラーにてしっかりと攪拌ができた結果と考えられる。
攪拌方法は、円を描く、或いは上下に切るのみではとろみ濃度の定着は不十分であった。
双方の攪拌方法を導入することで、液体ととろみ調整食品がしっかりと混ざり合ったと考えられる。
またとろみ飲料は、20分程度経過以降、分離した様な状態になることが分かった。
森永の情報にて、つるりんこクイックリーは特別用途食品を取得しており、経時的安定性が条件の一つとされ、調整30分後の粘度が、調整10分後の粘度の±15%以内であることが求められるとされている。
すべての飲料にて条件はクリアしていたが、時間経過にてLST数値が増加した。
作成後、時間が経過して摂取してもらう場合は、作り直すか、再度攪拌する必要があることが分かった。
メーカー推奨のとろみ調整食品の使用量の目安では、冷水を除く飲料にて、各段階、規定濃度よりも一段階ずつ薄いとろみ濃度となった。
メーカー推奨量より5ccずつ増量すると、学会分類2021(とろみ)の規定内と数値となった。
森永によると、メーカー推奨のとろみ調整食品の使用量にて学会規定範囲内のとろみ濃度となる条件は、液体温度が20~45度であることとされている。
しかし、当施設ではこの条件に該当する飲料を提供しておらず、メーカー推奨量にて規定のとろみ濃度に達しなかったと考えられる。
今回、計測を行ったことにより、利用者ごとに適切なとろみを提供できるよう、方法統一の目安が分かった。
ただし提供量が一律である飲料は、とろみ添加量を固定化しやすいが、汁物は減塩食や腎臓食の利用者様は量が異なり、とろみ添加量の統一に困難さが生じる点は、今後の課題である。
【まとめ】施設内にて提供する、とろみ飲料のとろみ濃度統一を図るため、LSTにてとろみ濃度測定を行い、規定値となるとろみ量を検討した。
結果、メーカー推奨のとろみ添加量より5ccずつ増量することで、学会分類2021(とろみ)の規定量に準じたとろみ濃度になることが判明した。
また、とろみ飲料を放置すると離水の様な状態となるため、時間差にて提供する場合は再度攪拌をする必要があった。
