講演情報

[22-O-D002-06]認知高齢者へのアロマテラピーの効果

*山口 由紀子、内山 直樹、辻 哲朗 (福井県 介護老人保健施設 新田塚ハイツ)
PDFダウンロードPDFダウンロード
【目的・実施状況】
  当施設では利用者のBPSDへの対応やケアが課題となっており、利用者のQOLの低下につながっている。そこで、睡眠の向上に効果があるとされるアロマテラピーを使用し認知症高齢者の夜間の睡眠における有用性を検証した。アロマオイルの中でも安眠作用、鎮静作用があるとされるラベンダーオイルを2滴染み込ませたタオルを使用し、認知症高齢者の安全に配慮し設置した。対象者を選定するにあたり、嗅覚障害のある人にもアロマテラピーは有用があるという先行研究もある為、利用者全員を対象とした。

【対象・方法】
  対象は当施設認知症専門棟の利用者39名を対象、男女平均年齢89歳。方法はアロマオイルを使用し夜間の入眠状態BPSDの有無、使用前後の夜間の様子を9週間記録し、夜間19時~6時におけるBPSDの出現頻度に基づき、みられない、稀にみられる(1回)、みられる(2~4回)頻回にみられる、の4段階評価にて単純集計し、実施後に職員アンケート行った。

【結果】
 BPSDの症例別で比較評価した所徘徊、入眠困難は人数としての変化はみられなかったが、頻回にみられた6名が0名になり、中途覚醒、不潔行為(オムツ外し)については頻度が減少した。昼夜逆転、独語、浅眠、帰宅要求には大きな変化はみられなかった。徘徊、入眠困難、中途覚醒の頻度が減少する事で同室者の物音による覚醒の回数が減り、実施期間中の利用者の睡眠状況は改善したと考えられる。不潔行為やオムツ外しが軽減する事により、離床前にオムツ交換や不潔行為の後始末を行っていても、離床後に再度不潔行為がみられた時などの業務負担の軽減に繋がったと考えられる。

【考察】
 今回の取り組みでBPSDの頻度が減少し、ケアの効率化が実現することで職員の業務負担軽減に繋がる事により、他の業務への組み換えが可能となり、組織全体の生産性の向上が見込まれる。評価方法をBPSDに対応するケア量を実時間で比較する事により、より正確なケア量を明確にする事が可能になると考えられる。又、共通のBPSDを対象とした実施や、アルツハイマー型認知症、認知症症候群を限定とした実施を行う事によってより正確なデータ収集が可能になると考えられる。

【まとめ】
  アロマテラピーにより夜間における一部のBPSDの軽減がみられ、不眠を訴える認知症患者に一度試すべき方法と考えられる。更に今後の取り組みとして認知症高齢者へのリラクゼーション効果が期待出来る手浴、足浴への活用や緩和ケアの一環として、終末期を迎える利用者とその家族の不安や緊張の軽減、空間を穏やかにする取り組みへの活用を実施し、より正確なデータ収集を行う事で認知高齢者の睡眠の質の向上とQOLの維持に努めたい。