講演情報

[22-O-D005-06]日光浴と園芸で生活リズムの改善はできるのか?~取組みによる認知症利用者の生活リズムの変化~

*谷口 貴則、御﨑 千明 (兵庫県 医療法人社団六心会介護老人保健施設エスペランサ)
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【はじめに】
医療法人社団六心会エスペランサは利用者総数140名でそのうち認知症棟は40床である。宝塚市は日本三大植木産地の1つに数えられ、なかでも山本地区は、日本園芸発祥の地と言われている。そのため、造園業が盛んで携わっている方も多いことが分かり、それを活かした日光浴やフロアでのレクリエーションで生活リズムを整えられないか調べた。8ヶ月間行った利用者の変化の事例を報告する。

【事例対象者】
Aさん  性別:男性 年齢:93歳
移動:独歩
既往歴:アルツハイマー型認知症、前立腺肥大症以前の様子:前立腺肥大症の影響もあり、夜間のトイレ回数が30分~1時間間隔と頻回にトイレに行くが排尿のない時もある。排尿がないと臥床後またすぐに「トイレに行きたい。」と起きる。何度も繰り返されることでしっかりと睡眠が取れていない。そのため歩行の際ふらつくことあり。転倒リスクが高くなる為、眠前薬は服用していない。日中は機嫌が良いが夕方になると機嫌が悪くなり帰宅願望が見られる。
Bさん  性別:女性 年齢:91歳
移動:車椅子(自走可能) 
既往歴:脳血管性認知症、神経因性膀胱以前の様子:日中活動量が少ない。体操レクリエーションの時も傾眠して体を動かそうとされず食事中も傾眠し手が止まっていることがある。眠前薬を夕食後に服薬しウトウトされ始めたタイミングで臥床するが覚醒してしまい起き上がり、オムツ外しすることが多い。その為、眠前薬を20時頃に服薬し様子を見たが変更前より寝始めるのに時間がかかっており変化は見られなかった。眠前薬を飲んでから寝るまでの間に、オムツ外し以外にも服のボタンを噛んだり服を脱いだり車椅子に座っている時にブレーキを掛けず立ち上がろうとされる。

【実施期間】
2025年5月~2026年1月
【実施方法】
広いベランダがあるので野菜や花を植え、晴れた日は午前中に日光浴や水やりを行い外の景色を見て季節に触れて頂いた。その他に室内でできるレクリエーション、体操で体を動かして頂いた。数字パズルや塗り絵、計算問題など作成した。イベントでは、生け花や季節行事に参加して頂いた。

【結果】
Aさん
ベランダにでることは拒否もあり少なかったが毎日体操や数字パズルをよくされていた。集中されることがあると日中もトイレに行かれる回数が減っている。日中活動的になった事もあり帰宅願望も見られなくなってきた。夜間トイレにいかれる頻度が30分~1時間に一回のペースで行かれていたのが1~2時間に一回のペースに落ち着かれ、長い時は3~4時間行かないことも増えた。睡眠が長く取れるようになったことから機嫌が悪くなる頻度が減った可能性があり、睡眠時間が長くなった結果、夜間の歩行のふらつきも減った。穏やかな時間が増えその影響か、他利用者とのコミュニケーションもよく取れるようになった。数字パズルを一緒にしたり教えあったりしている姿も見られる。
Bさん
傾眠することは今もあるが以前より減り、日中の活動量が増え、体操して体を動かすことも増えた。食事中も傾眠することは見られなくなった。花や野菜の水やりの際には他者との会話もはずみ楽しそうにされている。夕食後は周りのざわついている環境が影響して興奮されることがあり、落ち着いた静かなところで過ごすことで寝付きが良くなったことが分かった。睡眠時間が長くなったことで起床後の傾眠傾向が少なくなった。夜間の様子では、寝付くまでは起き上がることやオムツ外し等の行動は継続し見られる。

【考察】
認知症フロアでの主な取り組みで、日中の活動を促すための運動をメインとした集団レクリエーション、個々に合わせて取り組みが行えるように個別レクリエーションを目標としている。しかし、認知症の症状で意欲の低下、関心が薄く拒否をされる方も多いのが現実である。レクリエーションのマンネリ化や職員数の減少、コロナ感染による長期隔離対応でのコミュニケーション時間が減って来たことにより、日中の活動量が減り、昼夜逆転になる利用者が増えてきた。内服でコントロールしている利用者は3割程度である。充分な睡眠を取るためにはどうすればいいのかを調べた。「日光を浴びる事で脳内で「セロトニン」が分泌される。ストレスの軽減や自律神経の調整、睡眠の質の向上などに効果がある。セロトニンには眠気を催すメラトニンと深いかかわりを持つ。日光浴をする事でメラトニンが増えると質の高い睡眠を得やすくなる。日光浴の時間は、季節に合わせて15分~30分程度が目安。」ということが分かり、日光浴を兼ねて花などの水やり等を開始した。例年より早い梅雨や猛暑で外にでる時間が充分に取れなかったが、室内レクリエーションや体操等に参加し体を動かされる姿が多くなった。5分でも日光浴する事で、意欲的になり活動量が増えたと考えられる。秋以降、外気浴がしやすくなり、水やりの他にも苗植えや手入れを積極的にしていた。楽しみがある事で自然と活気が出てきたのかスタッフと一緒にテーブル拭きをする姿や、普段は参加しないレクリエーションにも参加される方が増えてきた。

【まとめ】
実施期間では猛暑や厳しい寒さが続き外気浴時間が充分に取れなかったことが多かった為、今後は暑さ寒さ対策を考えて行きたい。日光浴と室内のレクリエーションをすることで日中の活動量が増え、日中の傾眠も減少し生活リズムに変化が見られた。今回の結果を踏まえ個人にあった余暇活動を考え生活リズムが整うよう今後も取り組んで行きたい。


【参考文献】医療法人財団医親会OBPクリニックHP 生活習慣 日光浴していますか 引用