講演情報

[22-P-P101-02]機能付き車椅子の探索に要する移動時間の短縮

*大井 映里奈、福井 豊奈 (愛知県 介護老人保健施設トリトン)
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【はじめに】
当施設リハビリ課において、スタッフが日頃の業務で困っていることや気になっていることについてアンケートを実施したところ「機能付き車椅子(以下、W/C)を探すのに時間がかかる」という意見が挙げられた。
従来、空いているW/Cを貸し出す際に、各種類別W/C(ティルト型車椅子、リクライニング車椅子、自動ブレーキ付き車椅子)を手当たり次第に回っていたが所在が不明確なため多大なマンパワーや時間を要し非効率な状況であった。必要なW/Cが貸し出されない事により、①利用者様が安楽・安全に過ごせなくなる②褥瘡などの二次障害の発生③不適切なW/Cの使用で移乗等の介護時の事故が生じるといったリスクも高くなる。そのため今回TQM(総合的品質管理)活動として、W/C探索時間の短縮と業務効率の向上を目的に取り組んだ成果を報告する。
【現状把握】
現在の状況を模してW/Cを探索した結果、探索にかかる時間平均は約8分20秒であった。探索行動の内容別では①変更可否の相談が34%②フロア間の移動が33%③相談できる人を探すが17%の比率で時間を要しており、その中で「フロア間の移動」、「相談できる人を探す」という、いわゆる「移動」に該当する時間が全体の約50%を占めていることが判明した。
【目標設定】
現状把握において探索の総時間の約50%が移動に費やされていることが明らかになった。効率的な移動の実現、あるいは移動の必要性をなくすことで40~50%の時間短縮が可能と判断し、W/Cの探索に要する時間を2025年8月までに40%削減し5分以内にすると設定した。
【要因解析】
重要な要因として、①W/C使用者・所在一覧を使用した方が探索に要する移動時間が短くなる②W/C管理ルールが曖昧③W/Cの貸出ルールを把握している職員はほぼいない④交換に関する相談窓口は各職員の間である程度統一されているといった点が挙げられた。④に関しては、リハビリや上長を含む担当フロア介護士へ相談しており、相談窓口はある程度統一が図れているとわかったため原因から除いた。以上より、真の原因として①使用者一覧が無い、所在一覧が無い②管理ルールが曖昧③貸出ルールが曖昧の3項目が挙げられ、それらに対し対策立案・実施を行った。
【対策】
抽出された要因に基づき、以下の対策を立案・実施した。①現状の管理ルール把握と要因に対する意見を多く募るため役職者、担当者に相談する②W/Cがどの階にあるか・台数を調べる・現在の使用者を調べる③W/Cに番号を付ける④W/Cの保管場所を統一する⑤全フロア管理表(以下リスト)を作成する⑥W/Cの所在確認・使用者を抽出する⑦各部署に周知する、以上7点の対策を実施した。
【結果】
対策実施後に再度探索時間の計測を行ったところ、探索時間は約58%減少し目標であった「5分以内」を達成することが出来た。また、社内用スマートフォンを携帯している職員のみに限り、フロア移動をせずともリストを活用することでその場の使用状況の確認や変更可否の相談出来るようになったことが大幅な時間短縮に寄与した。
【考察とまとめ】
本活動を通じてW/Cの所在と使用者が可視化されたことで、探索時間が大幅に短縮され、他の業務に時間を充てることが可能となった。これにより業務効率が向上し、全職員の負担軽減に繋がった。また、リストを確認しながら他職種と連携するプロセスが生まれたことで、利用者様の状態について話し合う機会が増えるという副次的な効果も得られた。管理表という形でルールを明文化したことは、今後入職する職員への教育ツールとしても有効である。活動終了してから約半年経過したが、管理表は継続して使用されており、施設内の仕組みとして定着している。今後も本取り組みを継続し、より質の高いケア提供に努めていきたい。