講演情報

[22-O-J001-01]セレクト食導入による個別対応の標準化食事負担軽減と経口維持加算算定向上の取り組み

*根岸 茂康 (栃木県 介護老人保健施設グリーンヒルズ21)
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【背景】
当施設では、嚥下機能低下、食事拒否、低栄養、ターミナル期など、個別対応を必要とする利用者が増加している。これらのケースでは、少量のONSを追加する利用者から、通常食の摂取量が極めて少なくほぼONS中心で対応する利用者まで幅が広く、必要量や構成は多様である。そのため、利用者ごとにONSの種類・量・食形態を個別に調整しているため、結果として提供内容にばらつきが生じていた。これは職員間の差ではなく、ONS中心の食事対応が増える中で避けがたい構造的な課題であり、ONS中心で食事を提供している利用者の食事内容を改善し、統一できる仕組みが必要であった。
一方で、通常の委託食事をほとんど摂取していないにもかかわらず1日の食費が発生し、ONS提供量の増加に伴い施設の持ち出しも大きくなっていた。また、実際には評価が難しく、自身でも経口維持加算の算定につなげにくい状況があった。そこで、これらの支援をセレクト食として体系化し、標準化と同時に加算算定につながる形に整えられないかと考え、仕組みの再構築を検討した。

【課題】
(1)ONS提供に伴う施設の持ち出し増大
(2)少量摂取でも食費が発生し、費用をONSに回せない不公平感
(3) 個別対応のばらつきによる不均一化
(4)口維持加算の算定率が低く、支援の見える化が不十分

【目的】
これらの課題を解決するため、以下の4点を目的として取り組みを開始した。
(1)個人対応食を委託側の「食止め」として扱い、セレクト食へ統一することで標準化を図る。
(2)食費内でONSを購入できる仕組みを構築し、施設の持ち出しをゼロ化する。
(3) 嚥下調整食品を活用し、経口摂取を維持するための支援を明確化する。
(4)必要に応じておやつのみ委託提供とし、QOLを維持しながら柔軟な対応を可能にする。

【取り組み内容】
セレクト食はG(E1040kcal・P37.5g)とH(E540kcal・P22.5g)の2種類を設定した。構成は、嚥下調整食品として提供可能なONSを組み合わせた。これにより、経口補助食品のみで栄養を確保する際の一般的な目安である「エネルギー800~1200kcal/たんぱく質30~50g」を満たすようにした。提供方法は、トレイに介助コップ・スプーン・ONSをセットし、飲み物は提供時にとろみを調整する方式に統一した。一部ONSは湯煎で温めも可能のため、温かい嚥下調整食品として提供でき、摂取しやすさと満足感の向上につながった。

【経口維持加算への効果】
嚥下調整食品としての位置づけを明確にしたことで、「経口摂取を維持するための支援」として記録・計画に反映しやすくなり算定率の向上につながった。

【結果】
セレクト食導入後、以下の効果が確認された。
(1) 食費内での提供が可能となり、施設の持ち出しが削減された。
(2)経口維持加算の算定率が向上した。
(3)個別対応が標準化され、委託業務負担が軽減した。
(4) 温かいONS提供などにより、利用者のQOL維持に寄与した。

【考察】
セレクト食の導入は、栄養管理・経営・ケアの3側面において効果的であった。特に、嚥下調整食品を活用した経口摂取支援は、加算算定の根拠として明確であり、今後の施設運営においても有効な手法と考えられる。また、通常食の摂取が困難な利用者に対して、食事量の負担を軽減しつつ必要栄養量を確保できる点は、身体的・心理的負担の軽減にもつながった。さらに、提供方法の統一化により、業務効率化やケアの質向上にも寄与した。

【結論】
セレクト食の導入は、施設の持ち出し削減、加算算定率向上、個別対応の標準化、QOL維持に寄与し、個別対応が必要な利用者に対して効果的な支援方法であることが示された。