講演情報

[22-P-A001-04]超時短 認知症のトレーニングBDNF値上昇理論・ネプリライシン等の作用の検証

*羽田 憲郎、鹿俣 由起恵、星 孝彦 (福島県 社会医療法人あさかホスピタル併設介護老人保健施設啓寿園)
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【タイトル】時短筋力トレーニングの効果と従来の運動療法・学習療法との認知機能改善の比較福島県 介護老人保健施設 啓寿園   理学療法士 羽田 憲郎【目的】近年の研究から、特にアルツハイマー型認知症は、様々な要因の中でも運動不足が強力なリスク因子だとする研究報告がある(久野譜也 筑波大学)。これまで当施設では認知症のある利用者に対して、学習療法・音楽療法・ゲーム性のある運動療法が行われてきたが、今回、時短筋力トレーニングを主たるプログラムとして実施し、認知症の方への影響を検証し、訓練プログラムとしての有用性を検討する。なお個人情報保護に十分配慮し対象者が特定されることがないようにした。また発表に際し開示すべき利益相反はない。【方法】1.研究期間:令和7年2月~令和7年7月2.対象者:医師より運動プログラム実施の指示があった当施設入所者(認知症専門棟)22名(男性5名平均年齢79.8歳、女性17名平均年齢87.9歳)3.筋力トレーニング内容:対象者には、➀ウォーミングアップ(眼球運動、頸部回旋運動、胸郭拡張運動)、➁運動指導(90秒足踏み運動、スクワット姿勢からつま先立ち動作、階段昇降動作、広背筋・僧帽筋力強化等から可能な運動を選択実施)をスロートレーニング(筋肉に力を入れ続け、3~5秒かけてゆっくり動かす筋トレ法)で実施し、筋力トレーニングの負荷(重量・回数・セット数など)は徐々に増やした。負荷は主観的運動強度(RPE/ rating of perceived exertion)に基づき13AT(嫌気性代謝閾値/Anaerobic Threshold)以下とした。またトレーニング期間は2カ月間とした。4.検査・検証方法:筋力トレーニング開始時終了時の認知機能を長谷川式簡易知能評価(HDS-R)とミニメンタルステート検査(MMSE)で確認。また意欲や積極性の変化については、面接および観察評価により実施。さらに検査や評価については筋力トレーニング期間終了1ヶ月後にも行い、合計3回検査した。また同じ対象者に対し「筋力トレーニング実施時」と「従来の運動療法・学習療法実施時」の検査結果を比較した。【結果】筋力トレーニング開始時と終了時のMMSE点数比較から、増加者14人62%(最大増加6点)、維持者3人14%、低下者5人24%(最大低下3点)であった。同様にHDS-Rは増加者11人48%(最大増加8点)、維持者5人24%、低下者6人28%(最大低下4点)であった。【考察】重度認知症の利用者のMMSEとHDS-Rが実施期間中に中等度まで上昇していた。筋力トレーニングのみの効果とは言えないが、行動観察からは積極性(やる気)が増加し認知症検査場面においても取り組みに前向きさがみられた。また筋力トレーニング終了1ヶ月後のMMSEは実施前の状態に戻っていたが、HDS-Rは実施後のまま維持している対象者がみられた。これは筋力トレーニング期間中に日常生活において活動性が増加し、それが維持されたものと考えられる。歩行可能の利用者では、重心の後方移動(安定化)や片脚立位時間の延長がみられ、姿勢改善傾向を示している。日常生活での活動性拡大や活動に対する積極性に加え、会話における意思疎通の明瞭化が向上した対象者もあり、筋力トレーニングによる効果や影響は少なくないと考える。【まとめ】筋力トレーニングでは回数や強度よりも、頻度やトレーニング中に鍛えている筋肉を意識する(Mind Muscle Connection:MMC)ことが必要であることは知られているが、姿勢の崩れ、骨関節などの器質的変形があり運動主体感(自身の意思で運動している意識)が損なわれている場合、トレーニングの効果は低減する。認知症のある利用者へは、行為主体感(Sense of agency「自分の意志で行動を引き起こしている」という感覚)や身体所有感(Sense of ownership「動かしているこの身体は、まさに自分自身のものだ」という感覚)を促通することにより、動作能力を高め転倒防止に繋げることが肝要である。認知症のある利用者への筋力トレーニングは、極短時間でも生化学検査上の変化が確認されており、心肺機能向上(最大酸素摂取量増加)や認知症進行予防効果が期待されている。今後、高血圧や心疾患、透析の方などは除き、心肺機能向上を目的に、乳酸生成が行われるレベルの運動強度設定も検討の余地がある。