講演情報
[22-O-L004-07]COPMを用いて作業に着目し畑作業再開に至った事例
*古城 乃菜 (東京都 介護老人保健施設カトレア)
【はじめに】
今回、退院後訪問リハビリテーションの必要性を感じておらず受け入れに消極的であった事例を担当した。生活行為に焦点を当てた関わりで活動参加の視野拡大を図ることができたため報告する。
【基本情報】
80代男性。長年車関係の仕事に従事し、定年退職後は車で畑へ通い、地域仲間との交流を持ちながら野菜栽培を行った。また、バイオリン制作・演奏をして活動的に過ごした。一軒家に妻と二人暮らし。娘二人は遠方在住だが、定期的に本人宅へ訪問している。X-1年前から腰痛出現があり通院をしていたが、X年Y月Z日体動困難となり入院。腰椎破裂骨折の診断にて手術施行後、急性期・回復期でのリハビリを経て自宅退院。Y+3ヶ月より週1回・40分の訪問リハビリ開始となった。
【面接(初回訪問日)】
退院後、家族・ケアマネージャーは訪問リハビリ導入を希望していたが、本人の受け入れは消極的であった。「手術の特性に合わせたリハビリをしてもらいたい」と、身体機能面へのニーズが強く、生活行為中心のリハビリには懐疑的であった。そのため作業療法について説明した上でCOPMを用いて本人が希望する今後の生活について面接を実施した。
COPM
①姿勢改善・腰痛管理→重要度9遂行度3満足度4
②畑→重要度9遂行度1満足度1
③バイオリン演奏→重要度3遂行度1満足度1
①姿勢改善と②畑はいずれも重要度9であったが、本人は腰痛軽減および禁忌動作への不安を優先課題として捉えており、日常生活動作への助言を希望した。③バイオリン演奏は、いずれ再開したいが現在の優先度は低く重要度は3となった。退院後の生活は毎日の自主練習実施、外出は3000歩を目標に自宅周辺の散歩を行うなどが中心であった。
【解釈】
本人は意味のある作業として畑作業を挙げたが、疼痛や禁忌動作への不安から活動再開に踏み出せず、身体機能改善と生活行為が結びついていない状態であった。そのため本人が生活の中で身体状態を自己管理しながら段階的な活動再開を目指せるような支援が必要だと判断した。
【目標設定と介入計画】
疼痛自己管理および環境調整下での畑作業自立
【介入経過】
1期:疼痛管理と動作の再獲得(開始~)ADL・IADL動作指導、腰背部の疼痛緩和、ストレッチ、体幹分離運動、腹筋訓練の実施および自主練習指導を実施。歩行開始時の疼痛、歯磨き・更衣時の前屈恐怖に対し動作指導と簡易自助具導入を行った。歩行時の疼痛は軽減、前屈恐怖も改善。受傷後4ヶ月でコルセットoff指示となった。
2期:活動参加への意識変化(6ヶ月)
疼痛が緩和し、本人から畑作業再開の希望が聞かれるようになった。畑作業について「交流・試行錯誤・やりがいのある作業」と語り、活動参加への意欲が高まっていった。
3期:畑作業再開(8ヶ月)
医師より畑作業の許可を得る。受傷前の畑環境への復帰は困難であったため、自宅の庭での鉢栽培を提案。鉢・椅子の高さ・段差等の環境、前屈時の疼痛や恐怖感がないことを確認し安全な作業方法を共有。家族と協働し環境を整備した。本人主体で苗植えを実施し、問題なく遂行できた。
【再評価】
①姿勢改善・腰痛管理→遂行度7満足度7
②畑→遂行度9満足度8
③バイオリン演奏→ 重要度8遂行度1 満足度1
畑の野菜が収穫できた時点でCOPMを再評価した。疼痛自己管理が可能となり畑作業を再開したことで遂行度および満足度は上記の通り変化した。また、バイオリン演奏の重要度は3から8へと変化した。生活では散歩距離が5000歩に増加し、カラオケサークルへの参加、公共交通機関を利用しての外出など活動範囲が拡大した。
【考察】
A氏は身体機能改善への関心が強く、訪問リハビリテーションの目的や必要性の理解が十分ではなかった可能性が考えられた。一方、入院時指導された自主練習を毎日実施していたことから、本人が必要性を理解・納得した活動は主体的に取り組めるという強み・自己管理能力を有していたと考えられる。COPMを実施したことで身体機能改善そのものでなく先の生活を見据えた目標設定を可能とし、本人の主体性と強みを活かす距離感で介入を行うことができた。結果として協働的な関係構築につながったと考えられる。また、疼痛自己管理支援と環境調整により畑作業を再開できたことが成功体験となり、バイオリン演奏や地域活動への関心向上につながったと考えられる。本事例より、COPMを活用した本人主体の目標設定と作業に着目した介入は、活動参加の拡大を支援する上で有効であることが示唆された。
今回、退院後訪問リハビリテーションの必要性を感じておらず受け入れに消極的であった事例を担当した。生活行為に焦点を当てた関わりで活動参加の視野拡大を図ることができたため報告する。
【基本情報】
80代男性。長年車関係の仕事に従事し、定年退職後は車で畑へ通い、地域仲間との交流を持ちながら野菜栽培を行った。また、バイオリン制作・演奏をして活動的に過ごした。一軒家に妻と二人暮らし。娘二人は遠方在住だが、定期的に本人宅へ訪問している。X-1年前から腰痛出現があり通院をしていたが、X年Y月Z日体動困難となり入院。腰椎破裂骨折の診断にて手術施行後、急性期・回復期でのリハビリを経て自宅退院。Y+3ヶ月より週1回・40分の訪問リハビリ開始となった。
【面接(初回訪問日)】
退院後、家族・ケアマネージャーは訪問リハビリ導入を希望していたが、本人の受け入れは消極的であった。「手術の特性に合わせたリハビリをしてもらいたい」と、身体機能面へのニーズが強く、生活行為中心のリハビリには懐疑的であった。そのため作業療法について説明した上でCOPMを用いて本人が希望する今後の生活について面接を実施した。
COPM
①姿勢改善・腰痛管理→重要度9遂行度3満足度4
②畑→重要度9遂行度1満足度1
③バイオリン演奏→重要度3遂行度1満足度1
①姿勢改善と②畑はいずれも重要度9であったが、本人は腰痛軽減および禁忌動作への不安を優先課題として捉えており、日常生活動作への助言を希望した。③バイオリン演奏は、いずれ再開したいが現在の優先度は低く重要度は3となった。退院後の生活は毎日の自主練習実施、外出は3000歩を目標に自宅周辺の散歩を行うなどが中心であった。
【解釈】
本人は意味のある作業として畑作業を挙げたが、疼痛や禁忌動作への不安から活動再開に踏み出せず、身体機能改善と生活行為が結びついていない状態であった。そのため本人が生活の中で身体状態を自己管理しながら段階的な活動再開を目指せるような支援が必要だと判断した。
【目標設定と介入計画】
疼痛自己管理および環境調整下での畑作業自立
【介入経過】
1期:疼痛管理と動作の再獲得(開始~)ADL・IADL動作指導、腰背部の疼痛緩和、ストレッチ、体幹分離運動、腹筋訓練の実施および自主練習指導を実施。歩行開始時の疼痛、歯磨き・更衣時の前屈恐怖に対し動作指導と簡易自助具導入を行った。歩行時の疼痛は軽減、前屈恐怖も改善。受傷後4ヶ月でコルセットoff指示となった。
2期:活動参加への意識変化(6ヶ月)
疼痛が緩和し、本人から畑作業再開の希望が聞かれるようになった。畑作業について「交流・試行錯誤・やりがいのある作業」と語り、活動参加への意欲が高まっていった。
3期:畑作業再開(8ヶ月)
医師より畑作業の許可を得る。受傷前の畑環境への復帰は困難であったため、自宅の庭での鉢栽培を提案。鉢・椅子の高さ・段差等の環境、前屈時の疼痛や恐怖感がないことを確認し安全な作業方法を共有。家族と協働し環境を整備した。本人主体で苗植えを実施し、問題なく遂行できた。
【再評価】
①姿勢改善・腰痛管理→遂行度7満足度7
②畑→遂行度9満足度8
③バイオリン演奏→ 重要度8遂行度1 満足度1
畑の野菜が収穫できた時点でCOPMを再評価した。疼痛自己管理が可能となり畑作業を再開したことで遂行度および満足度は上記の通り変化した。また、バイオリン演奏の重要度は3から8へと変化した。生活では散歩距離が5000歩に増加し、カラオケサークルへの参加、公共交通機関を利用しての外出など活動範囲が拡大した。
【考察】
A氏は身体機能改善への関心が強く、訪問リハビリテーションの目的や必要性の理解が十分ではなかった可能性が考えられた。一方、入院時指導された自主練習を毎日実施していたことから、本人が必要性を理解・納得した活動は主体的に取り組めるという強み・自己管理能力を有していたと考えられる。COPMを実施したことで身体機能改善そのものでなく先の生活を見据えた目標設定を可能とし、本人の主体性と強みを活かす距離感で介入を行うことができた。結果として協働的な関係構築につながったと考えられる。また、疼痛自己管理支援と環境調整により畑作業を再開できたことが成功体験となり、バイオリン演奏や地域活動への関心向上につながったと考えられる。本事例より、COPMを活用した本人主体の目標設定と作業に着目した介入は、活動参加の拡大を支援する上で有効であることが示唆された。
