講演情報

[22-O-L009-05]活動・参加支援を目指した集団リハビリの試み~デイケアの充実を目指して~

*伊藤 佳那子、伊藤 友一、萬谷 里奈 (愛知県 介護老人保健施設リハビリス井の森)
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【はじめに】
本来、デイケアのリハビリテーション(以下、リハビリ)は要介護者の心身機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助ける介入が求められている。しかし、身体機能改善を目的とした個別の機能訓練に偏りがちで、活動・参加への支援が十分でないことが課題とされている。当施設も同様の課題があり、心身機能に加え活動・参加の介入を目指し、リハビリ方法を検討したため報告する。

【倫理的配慮】
ヘルシンキ宣言に準じ、個人情報が特定できないよう配慮した。また、発表に関連して開示すべき利益相反は無い。

【方法】
従来のリハビリ方法は、利用者(短期集中リハビリ未算定者)に対しリハビリスタッフが約2:1で25分程度関わる機能訓練を中心とした集団リハビリと一部個別リハビリ(言語訓練・関節可動域訓練・歩行訓練など)を組み合わせていた。このリハビリ方法では、セミクローズな集団により顔なじみの利用者同士で会話が生まれることやキャッチボール等のレクリエーション要素のある運動を一部実施していたことで交流を高める機会となっていた。また、限定的ではあるものの個々の生活に合わせて屋外歩行訓練といった活動への介入が行えていた。しかし、課題として機能訓練を中心とした構成の偏りがあること、活動・参加への介入が少ないこと、個別リハビリ時間の有無が利用者毎に異なることが挙げられた。この課題を解決するために、活動・参加に介入できるプログラムの種類を増やすこと、プログラム内で利用者に対して均一に関わりを持つことを目標に掲げリハビリ方法を検討した。
新たなリハビリ方法は、立位、座位、口腔・嚥下等のプログラム(各10分)で構成し、各プログラムの参加人数は10名程度とした。利用者は1~2つのプログラムへ参加できるように担当リハビリスタッフがプログラムを選択した。待機時間はストレッチ・有酸素運動で時間を持て余すことのないように努めた。全体のリハビリ時間は40分程度に設定して、利用者を2グループに分けて実施した。

【経過】
<2025年5月~11月>
月1~2回の頻度で実施。実施時は口頭で利用者に意見や感想を求め、リハビリスタッフで共有した。応用歩行、段差昇降等の活動への介入を増やせるように新規プログラムを徐々に追加した。既存プログラムは内容や環境設定を適宜修正し、必要があれば同一プログラムで難易度の異なる集団を立ち上げた。
<2025年12月>
継続的な実施が可能かシュミレーションするために同一の週で4日実施。単発で実施していた時に比べればスムーズに行えた。
<2026年1~2月>
月1回の実施。終了後に利用者へ満足度のアンケートを実施。利用者のアンケート結果は「楽しかった。」「いろいろな活動ができてよかった。」と概ね良好な反応が得られた。一方、「途中退出が気になる。」との意見も聞かれた。リハビリスタッフからは「従来に比べてプログラムの事前準備に時間がかかる。」「移動を一斉に行うため時間や人員的に負担である。」と課題が挙がった。アンケートの結果と、リハビリスタッフの意見を集約して再度リハビリ方法を検討した。決まった2種類のプログラムで構成したコース制に変更をした。プログラムは各15分に増やし、全体のリハビリ時間は30分程度に設定して、利用者を2グループに分けて実施した。利用者からは「脳トレがよかった。」と意見が聞かれ、脳トレプログラムは他のプログラムに比べて利用者の発言が多く、利用者同士で考える様子があった。リハビリスタッフからは「誘導が楽になった。」「コースの順を工夫することで人員削減ができそう。」と意見が聞かれた。

【結果】
集団による利用者同士の交流機会は維持している。活動プログラムの増加により機能訓練以外の介入は拡大した。プログラムを複数組み合わせて、コース制にすることで主に利用者のリハビリ時間の均一化は図れた。一方、趣味・余暇活動のようなプログラムの立案には至らず参加は未介入であった。実施頻度はグループ編成やプログラム内容の準備に時間が費やされるため、月1~2回の実施に留まった。

【考察】
今回、デイケアのリハビリの充実を目指して心身機能に加え活動・参加の介入ができるようにリハビリ方法を検討した。小檜山ら1)は意味ある作業での成功体験は能動的な行動を算出する契機となり、心身機能・ 構造やセルフケアといった他の活動が向上すると述べている。活動のプログラムを増やし、時間を均一化したことで機能訓練中心の従来のプログラムを脱却する契機になった。しかし、参加へのプログラムは今回個別性が高く未介入のままであったため、今後の課題である。また、川手2)は「生活期」は、「急性期」「回復期」に比べ、医療従事者は非常に少なく、主役は患者自身であり、自らの考えで行動し、活動することが必要であると述べている。今回はリハビリ終了時に口頭で感想を聴取することやアンケートを通して利用者の考えを取り入れることで一部の意思決定を支援する介入となった。今後は利用者自身がプログラムを選択できるようにすることで、より利用者の主体性が引き出せると考える。今後もデイケアの充実に向けて検討を続けていく。

【参考文献】
1)小檜山修平他:早期からの意味ある作業の実践―調理活動の協業からセルフケアが自立した症例―,日本作業療法士学会抄録集2013(CD-ROM),445-Lb,2013.
2)川手信行:生活期におけるリハビリテーションのあり方,Jpn J Rehabil Med 54,490-493,2017.