講演情報
[22-P-D001-02]多職種連携で進めるセンサー見直しと個別ケア
*佐藤 佑樹、佐藤 絵里、土井 隆寛 (山形県 介護老人保健施設うらら)
【背景】
当施設の入所部門では、認知機能の低下している利用者に対し転倒、転落予防で見守りセンサーを使用してきた。しかし、安全確保を優先するあまり見守りセンサーを漫然と使用し続けることで「常に監視されている」という不自由さや、コール作動に伴う心理的ストレスを与える要因となっていた。
このような環境下では、利用者の良質な睡眠が妨げられるだけでなく、不必要な精神的負担が日中の覚醒状態の低下を招いているのではないか、また、夜勤帯介護スタッフの仕事量増加を招く結果となっているのではないかと考えた。そこで、見守りセンサーを行動評価のツールとして使用していくよう変更し、多職種で心身機能や行動評価を行いセンサーに頼らないケア方法に転換していった経過と結果を報告する。
【対象と方法】
対象は2025年4月から2025年12月までの期間、センサーマット、ベッド内臓型離床センサー、見守りカメラを使用している認知機能が低下している利用者19名。
方法は心身機能、ADL評価、センサーを使用し行動評価をケアスタッフとリハビリスタッフで行い、利用者の昼夜の行動でどのタイミングでケアが必要か分析していき、センサーがなくてもラウンドするように変更、更に環境設定も同時に行っていった。また、定期にスタッフへアンケートを実施し、介護スタッフの心理状況を評価していった。
【事例紹介1】
A様 90代女性 診断名:アルツハイマー型認知症 HDS-R:5点 N-ADL:29点ADLについて、移動はシルバーカー使用して自立しているが注意散漫により転倒の危険性がある。排泄動作はポータブルトイレ使用し一部介助が必要、下衣操作時やり方がわからなくなり介助が必要になる場合がある。その他のセルフケアは見守りにて動作可能な状況。夜間居室でポータブルトイレへ排泄時、下衣操作が不十分な為、見守りセンサーを使用し対応していた。
現状ADLについて、再評価を行い、見守りセンサー使用による排泄パターンの評価、居室環境の調整を行うことにより、常時見守りセンサーを使用することなく夜間排泄時のラウンドが可能となり排泄の回数も減少する結果に至った。
【事例紹介2】
B様 90代女性 診断名:アルツハイマー型認知症 HDS-R:27点 N-ADL:31点
ADLについて、移動は車椅子で屋内自立しているが、歩行は両膝関節痛がみられ歩行補助具を使用しても10m程度で実用性が乏しい状況、起居、立ち上がり、立位、移乗動作は膝関節痛なく自立している。排泄はPトイレを使用し動作は自立しているが処理のみ介助が必要、その他のセルフケアは自立している。体調不良が原因で夜間排泄動作時に転倒してしまい、そこからセンサーマットを使用し続けていた。しかし、センサーマットを設置しているにも関わらず夜間の転倒事故が発生したため、ケアチームによる原因分析を行い「センサーマットを踏むと、夜間にスタッフが急いで飛んできて申し訳ない」という強い気兼ねや心理的負担を感じていることでB様はスタッフに迷惑をかけまいと、あえてセンサーマットを踏まないようにポータブルトイレを押して位置を変え、本来立ち上がる際に掴まるべき固定物が無い状態でバランスを崩し転倒に繋がっていたことが判明した。
そこでケアチームで心身機能の再評価、ベッド周辺の環境の最適化を行い、環境の保持が出来るようにケアチームで情報の統一を図った。さらに、センサーマットからベッド内蔵型離床センサーへ変更し、B様が周囲に気を遣うことなく、かつ安全に排泄を行えるようにした。その結果、転倒事故が発生しなくなったことで、最終的にセンサーベッドの解除に至った。
【結果】
利用者に対し、心身機能、ADLの再評価、センサーを使用しての行動評価を行った結果、対象19名に対し、8名の利用者がセンサーを使用せずにケア、見守りの対応が昼夜問わず可能となった。残り8名については、重度の認知機能低下により危険認識が難しいことから夜間のみセンサーを使用して対応することとした。
スタッフへのアンケートから、夜勤帯の仕事量が減少したと感じたスタッフも多くいる結果となり、利用者の表情も変わったと記載するスタッフもいた。
【結語】
見守りセンサーは、転倒・転落リスクを低減させる上で一時的に有効な手段だが、漫然と設置し続けるものではなく、利用者の心身機能や行動変化、さらに心理的背景まで踏み込んで評価し、必要に応じて適時見直すものであると再認識した。また、多職種間で評価を重ね、ケアの共有と統一することの重要性を再認識することが出来た。
今回の取り組みは、見守りセンサーを外すことが目的ではなく、その人に合った支援を考える過程そのものに意義があったと考える。今後も、「安全確保」と「利用者の尊厳」の両立を意識し、継続的な評価と個別ケアの実践を続けていきたいと思う。
当施設の入所部門では、認知機能の低下している利用者に対し転倒、転落予防で見守りセンサーを使用してきた。しかし、安全確保を優先するあまり見守りセンサーを漫然と使用し続けることで「常に監視されている」という不自由さや、コール作動に伴う心理的ストレスを与える要因となっていた。
このような環境下では、利用者の良質な睡眠が妨げられるだけでなく、不必要な精神的負担が日中の覚醒状態の低下を招いているのではないか、また、夜勤帯介護スタッフの仕事量増加を招く結果となっているのではないかと考えた。そこで、見守りセンサーを行動評価のツールとして使用していくよう変更し、多職種で心身機能や行動評価を行いセンサーに頼らないケア方法に転換していった経過と結果を報告する。
【対象と方法】
対象は2025年4月から2025年12月までの期間、センサーマット、ベッド内臓型離床センサー、見守りカメラを使用している認知機能が低下している利用者19名。
方法は心身機能、ADL評価、センサーを使用し行動評価をケアスタッフとリハビリスタッフで行い、利用者の昼夜の行動でどのタイミングでケアが必要か分析していき、センサーがなくてもラウンドするように変更、更に環境設定も同時に行っていった。また、定期にスタッフへアンケートを実施し、介護スタッフの心理状況を評価していった。
【事例紹介1】
A様 90代女性 診断名:アルツハイマー型認知症 HDS-R:5点 N-ADL:29点ADLについて、移動はシルバーカー使用して自立しているが注意散漫により転倒の危険性がある。排泄動作はポータブルトイレ使用し一部介助が必要、下衣操作時やり方がわからなくなり介助が必要になる場合がある。その他のセルフケアは見守りにて動作可能な状況。夜間居室でポータブルトイレへ排泄時、下衣操作が不十分な為、見守りセンサーを使用し対応していた。
現状ADLについて、再評価を行い、見守りセンサー使用による排泄パターンの評価、居室環境の調整を行うことにより、常時見守りセンサーを使用することなく夜間排泄時のラウンドが可能となり排泄の回数も減少する結果に至った。
【事例紹介2】
B様 90代女性 診断名:アルツハイマー型認知症 HDS-R:27点 N-ADL:31点
ADLについて、移動は車椅子で屋内自立しているが、歩行は両膝関節痛がみられ歩行補助具を使用しても10m程度で実用性が乏しい状況、起居、立ち上がり、立位、移乗動作は膝関節痛なく自立している。排泄はPトイレを使用し動作は自立しているが処理のみ介助が必要、その他のセルフケアは自立している。体調不良が原因で夜間排泄動作時に転倒してしまい、そこからセンサーマットを使用し続けていた。しかし、センサーマットを設置しているにも関わらず夜間の転倒事故が発生したため、ケアチームによる原因分析を行い「センサーマットを踏むと、夜間にスタッフが急いで飛んできて申し訳ない」という強い気兼ねや心理的負担を感じていることでB様はスタッフに迷惑をかけまいと、あえてセンサーマットを踏まないようにポータブルトイレを押して位置を変え、本来立ち上がる際に掴まるべき固定物が無い状態でバランスを崩し転倒に繋がっていたことが判明した。
そこでケアチームで心身機能の再評価、ベッド周辺の環境の最適化を行い、環境の保持が出来るようにケアチームで情報の統一を図った。さらに、センサーマットからベッド内蔵型離床センサーへ変更し、B様が周囲に気を遣うことなく、かつ安全に排泄を行えるようにした。その結果、転倒事故が発生しなくなったことで、最終的にセンサーベッドの解除に至った。
【結果】
利用者に対し、心身機能、ADLの再評価、センサーを使用しての行動評価を行った結果、対象19名に対し、8名の利用者がセンサーを使用せずにケア、見守りの対応が昼夜問わず可能となった。残り8名については、重度の認知機能低下により危険認識が難しいことから夜間のみセンサーを使用して対応することとした。
スタッフへのアンケートから、夜勤帯の仕事量が減少したと感じたスタッフも多くいる結果となり、利用者の表情も変わったと記載するスタッフもいた。
【結語】
見守りセンサーは、転倒・転落リスクを低減させる上で一時的に有効な手段だが、漫然と設置し続けるものではなく、利用者の心身機能や行動変化、さらに心理的背景まで踏み込んで評価し、必要に応じて適時見直すものであると再認識した。また、多職種間で評価を重ね、ケアの共有と統一することの重要性を再認識することが出来た。
今回の取り組みは、見守りセンサーを外すことが目的ではなく、その人に合った支援を考える過程そのものに意義があったと考える。今後も、「安全確保」と「利用者の尊厳」の両立を意識し、継続的な評価と個別ケアの実践を続けていきたいと思う。
