講演情報
[22-O-J002-07]低栄養状態が改善した一事例~“食べたくない”から“食べたい”になるまで~
*松本 真由子、松田 藍里、三島 泰彦 (大阪府 守口老人保健施設ラガール)
【はじめに】 低栄養(PEM:たんぱく質・エネルギー欠乏症)は厚生労働省によると、「健康的に生きるために必要な量の栄養素が摂れていない状態を指す」と定義され、QOLの低下に直結する大きな問題であり、食事面での適切な指導やアプローチによって低栄養の予防が必要となる。 【目的】食事摂取量の少ない利用者に対して補助食品の検討や意向の聞き取り等を行い、食事摂取量を上げることができ、低栄養を改善して自宅へ退所した事例を紹介する。【対象者・内容】70代女性N氏 令和4年10月27日入所・入所時の身長:153cm 体重:35.1kg BMI:15.0kg/㎡・食事摂取量 主食:8% 副食:20%・食事形態:全粥・軟菜食・弱トロミ茶入所初日から意欲や活気がなく、食事に全く手を付けない状態だったため主食・副食ともに1/2量にして補助食品を付加したが、それでも摂取量が増えなかった。本人の意向を聞きとったところ軟菜食を見慣れず、見慣れていない物は食べたくないとのことであった。メニューの説明をしたが摂取量上がらず軟菜食改良を検討した後、他職種で相談し刻み食の嚥下評価を行い、誤嚥リスクはあるものの家族の許可を得て刻み食に変更した。【結果】 入所時は摂取量が1割程だったが、軟菜食から刻み食、全粥から軟飯や米飯に変更したことで摂取量が上がり、徐々に意欲が出てきた。本人希望により朝食を全粥からパンに変更したことでさらに食欲も増え、摂取量が安定してきた。朝のみ全量提供で補助食品を解除して様子を見たところ、摂取量が減ることはなく全量で安定してきたため、三食とも全量提供に変更し補助食品を解除した。主食副食ともに全量摂取が続き体重増加も見られ、6か月半後には、体重:43.9kg(+8.8kg)、BMI:18.8kg/㎡(+3.8kg/㎡)で自宅退所を迎えた。【考察】 見慣れた食形態や種類の異なる補助食品を提供することで、今回の事例では、食欲を上げることができ摂取量増加に伴って体重増加・低栄養状態の改善に成功した。しかし、見慣れた形態で軟菜食を提供するにはどうしたらよいかという問題の解決が難しく、今後の課題だと感じた。【おわりに】 利用者の嚥下状態に合わせながら、嗜好や食事に向き合う姿勢などの細かい変化に気付き、多職種と協力して対応することで、より安全に栄養状態を改善できるよう今後も利用者一人ひとりに合わせた適切な対応をしていきたい。
