講演情報

[22-O-L010-03]LIFEフィードバックを活用した排泄支援の取り組み

*戎本 凌、楠本 真理子、山口 彰久 (長崎県 社会医療法人財団白十字会介護老人保健施設長寿苑)
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【はじめに】当施設は定員70名の超強化型介護老人保健施設であり、利用者の50%以上が要介護4.5の重症度が高い施設である。当施設は2024年度LIFEフィードバックの結果で『排泄に関するADLの向上』において全国10.3%に対し当施設0%で大きく下回った。排泄動作は、移乗動作や更衣動作など複数の要素によって構成されるADLであり、その改善は利用者の自立支援や生活の質の向上に大きく関与する。当施設では、排泄動作への介入により関連する能力の向上も期待できると考え、排泄を重点課題として取り組みを実施したため報告する。
【目的】LIFEフィードバックの結果を分析し、排泄動作を重点課題として多職種で介入することでADLの改善に繋がることを目的とした。
【対象・方法】対象は2025年4月から2026年3月までに当施設へ入所しており、排せつ支援加算のデータを提出した利用者178名とした。2025年度のLIFEフィードバックで5~8月分と10月~1月分の結果を2回分析し排泄支援に取り組んだ。内容としては、対象の利用者に対して排泄の状況や経過を追うための書類を作成した。排泄をリハビリテーション短期目標の活動としているか、目標に対する具体的支援内容を記載しているか、月毎の排泄加算チェックにて能力の向上もしくは低下がないかを確認した。また多職種カンファレンスを実施し、リハビリテーション総合実施計画書の目標をケアプラン総合計画書にも記載した。トイレ動作の誘導や介助方法などを多職種で共有し介助の統一を図った。個別リハビリテーションでは起立訓練、歩行訓練、トイレ動作訓練など実施した。評価指標としてトイレ動作の介助量、排せつ支援加算フィードバックにおける「排泄に関するADLの向上」、ならびにADL合計点の変化を比較した。
【結果】トイレ動作では2025年5月時点で自立11.2%、見守り・一部介助49.4%、全介助39.3%から8月時点で自立13.0%名、見守り・一部介助46.7%、全介助40.2%であった。2025年10月時点で自立14.0%、見守り・一部介助41.9%、全介助44.2%から2026年1月時点では自立21.3%、見守り・一部介助36.0%、全介助42.7%となった。 また、排せつ支援加算フィードバックにおける「排泄に関するADLの向上」は、2025年5~8月では当施設4.8%、2025年10月~2026年1月では当施設16.2%、全国10.7%となり、全国平均10.7%を上回った。さらに『課題を見直した人数割合の変化』において、当施設40.6%で全国13.4%となり全国13.4%を大きく上回った。ADL合計点の変化では、当施設の改善割合は24.3%であり、全国平均9.1%を上回った。一方、悪化割合は当施設11.3%であり、全国平均14.1%を下回った。
【考察】LIFEフィードバックを分析し、定期的な評価に基づく訓練内容の見直しや多職種間での介助の統一図る事で、利用者ごとの課題を明確化し、統一した介入を実施することが出来たと考える。また、起立訓練や歩行訓練、直接的なトイレ動作訓練を継続したことが、トイレ動作能力の向上に繋がった可能性が示唆された。さらに排泄に関するADL向上の割合が全国平均を上回ったことから、排泄動作への介入はトイレ動作のみならず、移乗動作や更衣動作など排泄関連能力の改善にも寄与した可能性が考えられる。これらの改善が相互に影響し合ったことで、当施設のADL改善割合が全国平均を上回る結果に繋がったものと考えられた。一方で、本研究では利用者ごとの疾患特性や認知機能、介護度の違いによる影響について十分な検討が出来ていない。統計学的解析による有意差の検証や重複割合の分析を実施しておらず、排泄動作の改善に寄与した要因を明確にするまでには至らなかった。今後は個人フィードバックを分析し長期的な効果検証を行い、より効果的な介入方法について検討していきたい。
【結論】LIFEフィードバックを活用した多職種介入により、トイレ動作の改善に加え、排泄に関するADL向上およびADL全体の改善が認められた。LIFEを活用した継続的な評価とチームケアは、利用者の自立支援に有効であると考えた。