講演情報
[22-O-D003-05]質の高いサービスの提供を目指してBPSDへの対応
*宍戸 智泰、髙瀨 優人 (山形県 介護老人保健施設 みゆきの丘)
【はじめに】
当施設は超強化型老人保健施設における認知症専門棟として多くの在宅復帰を実現させてきたが、利用者様の入れ替わりによる不穏症状の出現が課題となっていた。利用者様へ適切に個別ケアを提供できる体制づくりとして、スタッフのスキルアップと個別ケア検討のためのフローチャートを作成した。質の高いサービスを提供できるように取り組みを行った一連の流れをここに報告する。
【目的】
勉強会を通じて認知症、特にBPSDに関するスタッフのスキルアップを行う。
またスキルアップで得た知識を活かして利用者様個別に適したケアを検討し、それを提供できるシステム作りを行うことで個別ケアの質の向上を目指す。
【方法】
(1)フロアスタッフに対するアンケートの実施
アンケートを実施して、認知症やBSPDに対してフロアスタッフが不安に思うこと等の現状を把握する。
(2)フロア内勉強会の実施
前述のアンケートの結果をもとに、テーマを決定する。スタッフが外部研修へ参加して得た知識をフロアへ持ち帰り、アパシーとレビー小体型認知症に関する内容で勉強会を開催する。勉強会内のグループワークでは、実際に利用者様を対象にした事例検討を行った。
(3)持続可能な個別ケア検討のフローチャート作成
勉強会で扱ったテーマ以外の方でも事例検討が出来るようにする。利用者様の状態やケアをフロア全体で検討して統一したケアの提供を行うことで、個別ケアの質の向上を図るためにフローチャートを作成する。一つのテーマにつき、約1か月の期間での取り組みとし、
a)7日間で課題を抽出・整理
b)14日間で仮説を立てて対応を実施
c)結果を評価し、その取り組みを継続していくかを判断する。改善が必要ならば対応案を再度検討していく。
上記の記録・回覧のためにタブレット内にフォルダを作成し、フロアスタッフ全体での情報共有を行うこととした。
【結果】
(1)については
アンケートを行い、「分かっているつもりではいるが、BPSDについて知識が不足しているかもしれない」と感じているスタッフが多数いることが分かった。また帰宅願望がある方への声がけの仕方や、アパシーやレビー小体型認知症がある利用者様への対応についてどうしたら良いか不安だという意見がみられた。
(2)については
フロア内勉強会を開催することで、アパシーやレビー小体型認知症について理解を深めることができた。また、グループワークの事例検討ではスタッフから様々な意見があがり、実際にケアとして提供に至ったものもあった。普段から何にも興味を示さなかったアパシーの利用者様に対しては、施設内のタイムスケジュールが書いてある紙を準備してこまめに声がけを行った。昔行っていた漢字問題や計算問題のプリントに取り組むことができるようになったり、隣に座っている利用者様に自分から声をかけたりするなど良い結果となって現れた。また、レビー小体型認知症の利用者様に対しては無理に施設のタイムスケジュールに合わせて頂くことをやめてみたところ、不満を訴える回数が減少することができた。
(3)については
持続可能な個別ケア検討のフローチャートを作成し、帰宅願望が強い利用者様へのケアを検討するために実際に使用することができた。
a)7日間の課題抽出
毎日夕方の時間帯になると不穏になることが多くみられる方であったが、その原因が周囲に人がいなくなり不安になる事であると分かった。
b)14日間の仮説を立てた対応
夕方の時間帯はスタッフが他の業務を行うことよりも本人の近くで一緒に過ごすことを優先した
c)結果、不穏になり帰宅願望を訴える頻度が減少した。
【考察】
以前から、スタッフ同士、情報共有を行いながら利用者さまへ対応しているつもりではあったが、この取り組みを通してBPSDの症状に対する感じ方や対応の仕方にばらつきがあることが分かった。今回、認知症やBPSDについて正しく知識を深め、根拠を持った適切なケアが提供できたことで不穏症状の軽減等課題の改善に繋げる事が出来た。また、個々の技術に留まらず、スタッフ全体で情報共有してより良いケアを統一して提供出来たことも、その理由のひとつと考える。取り組み実施後のスタッフ対象アンケートでは、タブレットを活用したことで情報を整理し円滑に共有することができて良かったとの意見もあり、当施設でもICTの導入においてこのような使用方法も有効的であり、継続して活用していきたい。
【まとめ】
今回の取り組みを通して、フロア全体でケアの質を向上させていく事が出来た。忙しい業務の中で気付かないうちに物事を捉える視点が狭くなってしまうことがあるが、多角的な視点から物事を捉え、フロア全体の課題として取り組むことが大切なのだと気付くことが出来た。さらに、適切な対応をとることで結果的にスタッフの不安からくるストレスの軽減にも繋がり、さらなるケアの質の向上が期待出来ると考えられる。今回の課題としては、このフローチャートの活用が一時的なものにならず、継続して行われるようにしていかなければならない。タブレットとインカムの活用を始め、当施設では見守り機器等の様々なICT機器の導入予定であるため、根拠のあるより良いケアがスムーズに提供出来るよう活用方法を検討していきたいと思う。そして何より、利用者様1人ひとりの想いに寄り添い、自分たちに出来る事は何かを模索し続けていきたい。
当施設は超強化型老人保健施設における認知症専門棟として多くの在宅復帰を実現させてきたが、利用者様の入れ替わりによる不穏症状の出現が課題となっていた。利用者様へ適切に個別ケアを提供できる体制づくりとして、スタッフのスキルアップと個別ケア検討のためのフローチャートを作成した。質の高いサービスを提供できるように取り組みを行った一連の流れをここに報告する。
【目的】
勉強会を通じて認知症、特にBPSDに関するスタッフのスキルアップを行う。
またスキルアップで得た知識を活かして利用者様個別に適したケアを検討し、それを提供できるシステム作りを行うことで個別ケアの質の向上を目指す。
【方法】
(1)フロアスタッフに対するアンケートの実施
アンケートを実施して、認知症やBSPDに対してフロアスタッフが不安に思うこと等の現状を把握する。
(2)フロア内勉強会の実施
前述のアンケートの結果をもとに、テーマを決定する。スタッフが外部研修へ参加して得た知識をフロアへ持ち帰り、アパシーとレビー小体型認知症に関する内容で勉強会を開催する。勉強会内のグループワークでは、実際に利用者様を対象にした事例検討を行った。
(3)持続可能な個別ケア検討のフローチャート作成
勉強会で扱ったテーマ以外の方でも事例検討が出来るようにする。利用者様の状態やケアをフロア全体で検討して統一したケアの提供を行うことで、個別ケアの質の向上を図るためにフローチャートを作成する。一つのテーマにつき、約1か月の期間での取り組みとし、
a)7日間で課題を抽出・整理
b)14日間で仮説を立てて対応を実施
c)結果を評価し、その取り組みを継続していくかを判断する。改善が必要ならば対応案を再度検討していく。
上記の記録・回覧のためにタブレット内にフォルダを作成し、フロアスタッフ全体での情報共有を行うこととした。
【結果】
(1)については
アンケートを行い、「分かっているつもりではいるが、BPSDについて知識が不足しているかもしれない」と感じているスタッフが多数いることが分かった。また帰宅願望がある方への声がけの仕方や、アパシーやレビー小体型認知症がある利用者様への対応についてどうしたら良いか不安だという意見がみられた。
(2)については
フロア内勉強会を開催することで、アパシーやレビー小体型認知症について理解を深めることができた。また、グループワークの事例検討ではスタッフから様々な意見があがり、実際にケアとして提供に至ったものもあった。普段から何にも興味を示さなかったアパシーの利用者様に対しては、施設内のタイムスケジュールが書いてある紙を準備してこまめに声がけを行った。昔行っていた漢字問題や計算問題のプリントに取り組むことができるようになったり、隣に座っている利用者様に自分から声をかけたりするなど良い結果となって現れた。また、レビー小体型認知症の利用者様に対しては無理に施設のタイムスケジュールに合わせて頂くことをやめてみたところ、不満を訴える回数が減少することができた。
(3)については
持続可能な個別ケア検討のフローチャートを作成し、帰宅願望が強い利用者様へのケアを検討するために実際に使用することができた。
a)7日間の課題抽出
毎日夕方の時間帯になると不穏になることが多くみられる方であったが、その原因が周囲に人がいなくなり不安になる事であると分かった。
b)14日間の仮説を立てた対応
夕方の時間帯はスタッフが他の業務を行うことよりも本人の近くで一緒に過ごすことを優先した
c)結果、不穏になり帰宅願望を訴える頻度が減少した。
【考察】
以前から、スタッフ同士、情報共有を行いながら利用者さまへ対応しているつもりではあったが、この取り組みを通してBPSDの症状に対する感じ方や対応の仕方にばらつきがあることが分かった。今回、認知症やBPSDについて正しく知識を深め、根拠を持った適切なケアが提供できたことで不穏症状の軽減等課題の改善に繋げる事が出来た。また、個々の技術に留まらず、スタッフ全体で情報共有してより良いケアを統一して提供出来たことも、その理由のひとつと考える。取り組み実施後のスタッフ対象アンケートでは、タブレットを活用したことで情報を整理し円滑に共有することができて良かったとの意見もあり、当施設でもICTの導入においてこのような使用方法も有効的であり、継続して活用していきたい。
【まとめ】
今回の取り組みを通して、フロア全体でケアの質を向上させていく事が出来た。忙しい業務の中で気付かないうちに物事を捉える視点が狭くなってしまうことがあるが、多角的な視点から物事を捉え、フロア全体の課題として取り組むことが大切なのだと気付くことが出来た。さらに、適切な対応をとることで結果的にスタッフの不安からくるストレスの軽減にも繋がり、さらなるケアの質の向上が期待出来ると考えられる。今回の課題としては、このフローチャートの活用が一時的なものにならず、継続して行われるようにしていかなければならない。タブレットとインカムの活用を始め、当施設では見守り機器等の様々なICT機器の導入予定であるため、根拠のあるより良いケアがスムーズに提供出来るよう活用方法を検討していきたいと思う。そして何より、利用者様1人ひとりの想いに寄り添い、自分たちに出来る事は何かを模索し続けていきたい。
