講演情報
[23-P-JH-04]当施設初管理栄養士配置による栄養管理体制の構築
*楠本 遥華 (愛媛県 済生会西条老人保健施設いしづち苑)
当施設では令和7年1月以前管理栄養士は不在であり、栄養ケアマネジメントの未実施により減算対象となっていた。令和7年1月当施設に初めて管理栄養士が採用されたことを契機に、栄養管理体制の整備と多職種連携の構築に着手した。今回、管理栄養士配置後に実施した、取り組みの経過と現状の課題について報告する。
【施設概要と着任時の状況】
当施設は55床の介護老人保健施設である。食事提供は給食業務委託し、病院厨房で調理を行っている。管理栄養士不在期間は、病院管理栄養士が兼務しており、看護師・介護士が入所者の食事に関する観察や栄養管理を担っていた。しかし、専門的な知識に基づく栄養スクリーニングやアセスメント、栄養ケア計画の作成、モニタリングといった栄養ケアマネジメントは実施されていない状況であった。また、食事提供を担う委託業者との情報共有の機会も乏しく、入所者個人の食形態や栄養上の配慮事項が十分に伝達される体制が整っていなかった。多職種間においても、栄養管理の視点からの情報共有やカンファレンスへの管理栄養士の参加はなく、栄養に関する課題が多職種と協働して検討される機会は存在しなかった。
【取り組み内容】
(1)栄養ケアマネジメントの整備
着任後まず着手したのは、栄養ケアマネジメントの体制整備である。入所者全員に対する栄養スクリーニングを実施し、低栄養リスクの把握を行った。結果をもとに個々の栄養アセスメントを行い、栄養ケア計画を作成した。合わせて定期的なモニタリング実施し、継続的な栄養状態の評価・計画見直しができる体制を構築した。モニタリング様式を介護職員に入力してもらい、食事摂取状況を細やかに観察する意識づけにつなげ、職員間の情報共有ツールとして活用している。また、ミールラウンドも開始し、書類上では把握しきれない入所者個人の摂食状況、嚥下機能、食欲、食事環境を直接観察している。また入所者や多職種とコミュニケーションが取れるように心がけている。
(2)委託業者との連携構築
当施設の食事提供は給食業務委託しており、病院厨房で調理し配膳車にて施設へと提供される。施設側と委託栄養士との日常的な連携が乏しいことが大きな課題であった。着任後は委託栄養士との定期的な情報交換の場を設けた。献立内容について気に留まる点、入所者や職員からの要望、嗜好、残食状況、配膳方法等細かく共有する仕組みを整えた。献立内容の検討や食形態の変更等入所者個人への迅速な対応を行い、入所者個人に合わせた食事提供を実施できるよう協働している。また、令和8年6月より給食調理システムの変更を行った。変更に伴い、食形態や献立内容の変更、業務等についての協議が行われ、委託栄養士と介護現場職員と密に連携をとり、給食運営を行っている。
(3)多職種連携の構築
管理栄養士として、多職種が参加するカンファレンスへ参加し、入所者の栄養状態や食事摂取状況が多職種間で共有される機会が生まれた。また、栄養ケアマネジメント委員会を立ち上げ、入所職員だけでなく、通所職員も含め、入所者個人の栄養状態、摂食状況等共有し、安全な食事摂取について検討している。献立内容や厨房・施設からの要望ついての情報共有・検討を行い、委託栄養士へも共有を行っている。
【現状と今後の課題】
着任から現時点では、低栄養改善率や体重変化などの数値的成果を示せる段階ではない。栄養ケアマネジメントの体制整備・委託業者との連携・多職種連携の仕組みという三つの柱を同時に進めてきたことにより、施設内における栄養管理の基盤は着実に構築されつつある。今後は、継続的なモニタリングを通じた栄養状態改善の実績を積み上げ、数値での評価・報告ができる体制を整えることが課題である。
【まとめ】
施設初の管理栄養士として、「ゼロからの体制構築」という困難な状況で直面したが、栄養ケアマネジメントの体制整備・委託業者との連携・多職種連携の三つを柱として取り組みを進めてきた。管理栄養士が施設に常駐することで、入所者一人ひとりへの個別的な栄養管理が可能となり、多職種が栄養管理の視点を共有できる環境が生まれつつある。業務負担の調整や栄養管理に対する理解促進を継続して進めていく。また、栄養補給強化について介入できるよう整備が必要である。今後も継続的な取り組みを通じて、入所者の栄養状態の改善に貢献するとともに、本取り組みで構築した体制を通所リハビリテーションへも展開し、必要時に栄養面からの支援が行える体制づくりに取り組みたい。
【施設概要と着任時の状況】
当施設は55床の介護老人保健施設である。食事提供は給食業務委託し、病院厨房で調理を行っている。管理栄養士不在期間は、病院管理栄養士が兼務しており、看護師・介護士が入所者の食事に関する観察や栄養管理を担っていた。しかし、専門的な知識に基づく栄養スクリーニングやアセスメント、栄養ケア計画の作成、モニタリングといった栄養ケアマネジメントは実施されていない状況であった。また、食事提供を担う委託業者との情報共有の機会も乏しく、入所者個人の食形態や栄養上の配慮事項が十分に伝達される体制が整っていなかった。多職種間においても、栄養管理の視点からの情報共有やカンファレンスへの管理栄養士の参加はなく、栄養に関する課題が多職種と協働して検討される機会は存在しなかった。
【取り組み内容】
(1)栄養ケアマネジメントの整備
着任後まず着手したのは、栄養ケアマネジメントの体制整備である。入所者全員に対する栄養スクリーニングを実施し、低栄養リスクの把握を行った。結果をもとに個々の栄養アセスメントを行い、栄養ケア計画を作成した。合わせて定期的なモニタリング実施し、継続的な栄養状態の評価・計画見直しができる体制を構築した。モニタリング様式を介護職員に入力してもらい、食事摂取状況を細やかに観察する意識づけにつなげ、職員間の情報共有ツールとして活用している。また、ミールラウンドも開始し、書類上では把握しきれない入所者個人の摂食状況、嚥下機能、食欲、食事環境を直接観察している。また入所者や多職種とコミュニケーションが取れるように心がけている。
(2)委託業者との連携構築
当施設の食事提供は給食業務委託しており、病院厨房で調理し配膳車にて施設へと提供される。施設側と委託栄養士との日常的な連携が乏しいことが大きな課題であった。着任後は委託栄養士との定期的な情報交換の場を設けた。献立内容について気に留まる点、入所者や職員からの要望、嗜好、残食状況、配膳方法等細かく共有する仕組みを整えた。献立内容の検討や食形態の変更等入所者個人への迅速な対応を行い、入所者個人に合わせた食事提供を実施できるよう協働している。また、令和8年6月より給食調理システムの変更を行った。変更に伴い、食形態や献立内容の変更、業務等についての協議が行われ、委託栄養士と介護現場職員と密に連携をとり、給食運営を行っている。
(3)多職種連携の構築
管理栄養士として、多職種が参加するカンファレンスへ参加し、入所者の栄養状態や食事摂取状況が多職種間で共有される機会が生まれた。また、栄養ケアマネジメント委員会を立ち上げ、入所職員だけでなく、通所職員も含め、入所者個人の栄養状態、摂食状況等共有し、安全な食事摂取について検討している。献立内容や厨房・施設からの要望ついての情報共有・検討を行い、委託栄養士へも共有を行っている。
【現状と今後の課題】
着任から現時点では、低栄養改善率や体重変化などの数値的成果を示せる段階ではない。栄養ケアマネジメントの体制整備・委託業者との連携・多職種連携の仕組みという三つの柱を同時に進めてきたことにより、施設内における栄養管理の基盤は着実に構築されつつある。今後は、継続的なモニタリングを通じた栄養状態改善の実績を積み上げ、数値での評価・報告ができる体制を整えることが課題である。
【まとめ】
施設初の管理栄養士として、「ゼロからの体制構築」という困難な状況で直面したが、栄養ケアマネジメントの体制整備・委託業者との連携・多職種連携の三つを柱として取り組みを進めてきた。管理栄養士が施設に常駐することで、入所者一人ひとりへの個別的な栄養管理が可能となり、多職種が栄養管理の視点を共有できる環境が生まれつつある。業務負担の調整や栄養管理に対する理解促進を継続して進めていく。また、栄養補給強化について介入できるよう整備が必要である。今後も継続的な取り組みを通じて、入所者の栄養状態の改善に貢献するとともに、本取り組みで構築した体制を通所リハビリテーションへも展開し、必要時に栄養面からの支援が行える体制づくりに取り組みたい。
