講演情報

[22-O-D005-01]学習療法16年間の前頭葉機能及び認知機能への影響116名のFAB/MMSEデータによる縦断的検証

*宮田 優、地原 忍、安藤 美穂子、吹田 カズ子 (大分県 医療法人信和会介護老人保健施設和光園)
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【目的】
学習療法を長期継続した利用者のFAB・MMSEの経時的変化を検証し、前頭葉機能および認知機能の維持・改善効果を明らかにするとともに、生活機能や社会参加への影響について検証することを目的とした。

【方法】
・対象:2009年の学習療法導入以降、3か月以上継続した累計116名
・評価:学習開始時、3か月後、その後のFAB・MMSEを経時的に比較・分析
・継続評価:現在の学習者20名および在宅復帰予定者6名について認知機能の推移と支援効果を検証
・学習内容:週3回20分の頭の体操/学習療法教材を用いた「読み・書き・計算・数字のコマ並べ・コミュニケーション(回想法など)」
・併用プログラム:機能訓練・FAB・MMSEの低下部分を生活リハビリで実施
 (見当識、手指を用いた模倣訓練、買い物学習等のリアルタスクを実施)
・検証項目:前頭葉機能(FAB)および認知機能(MMSE)の維持・改善効果と、要介護度・社会参加への影響を評価

【結果】
① FAB(前頭葉機能)累計116名では、学習開始3か月後にFABは0.1~0.2点向上し、その後も開始時と比較して維持・改善していた。現在の学習者20名では、知的柔軟性、行動プログラム、反応の選択、GO/NO-GOが0.3~0.4点向上し、前頭葉機能の維持・改善が認められた。最長7年間継続した2名では要介護度が要介護5から3、要介護3から1へ改善した。一方、コロナ禍では反応の選択が1.2点から1.1点へ低下したが、低下は0.1点にとどまった。
② MMSE(認知機能)累計116名では、学習開始3か月後にMMSEは0.1~0.2点向上し、その後も認知機能は維持・改善していた。現在の学習者20名では、即時想起、計算、遅延再生、口頭指示で改善が認められ、特に計算は0.7点と最も大きな向上を示した。また、学習療法の継続により笑顔や発語量の増加、利用者同士の交流の活性化、自主的な活動の広がりなど、認知機能の改善に加え社会性の向上も認められた。

【考察】
本研究より、学習療法は長期的な前頭葉機能(FAB)および認知機能(MMSE)の維持・改善に寄与することが示唆された。特に、機能訓練や生活リハビリとの併用により、要介護度の改善や在宅復帰支援にも効果が期待できると考えられた。また、認知機能の改善に加え、利用者同士の交流や主体的な活動の創出など社会参加の促進にもつながり、「新しい認知症観」が重視する本人の意思や希望を尊重した支援を実践できていた。16年間にわたり蓄積した116名の縦断データは、学習療法の長期的有効性を示す貴重なエビデンスとなった。

【結語】
20分間の学習療法は人も時間も手間も要すが、認知機能の維持・改善だけでなく、前頭葉機能の活性化や社会性の向上、さらには要介護度の改善や在宅復帰支援にも寄与する可能性が示された。今後も学習療法を継続し、本人の意思や希望を尊重した支援を実践するとともに、長期的なデータを蓄積・発信することで、全老健の認知症コースの実地研修施設としても認知症ケアの質の向上に努めていきたい。