講演情報
[22-O-D004-06]家庭菜園の再開から地域との繋がりの再構築
*高田 翔真 (茨城県 介護老人保健施設 けやきの舎)
「はじめに」
デイケア利用開始となったアルツハイマー型認知症の症例だが、介入過程において医学的診断とは異なる臨床像も見られた。病態の特徴を捉え、継続的な生活習慣と地域との繋がりの再獲得を目指した結果、良好な経過を得たためここに報告する。
「目的」
本症例のかつての趣味であった家庭菜園を再開し、継続的な生活習慣、および地域との繋がりの再構築。
「症例紹介」
80歳代、男性。デイケア週3回短時間利用。妻と2人暮らし。妻は元ヘルパー、寛容で介護に協力的。生活歴は、趣味で畑を借りて家庭菜園を行っており、特定の知人や近くの幼稚園に花や野菜を寄付していた。令和7年の秋ごろから急激に能力の低下がみられ、家庭菜園が困難になり畑を返却した。妻が外出機会を作ってくれていたが、引きこもりぎみになり日常生活にも支障がでていた。
「評価」
対象はHDS-R7点(加点項目は年齢、即時記憶、視覚記憶)、FAB4点(加点項目が類似性・概念化、把握行動) 。起居・起立着座動作自立。移動は伝い歩きまたは手引き歩行可能、すくみ足や小刻み歩行が著明。施設内では一部介助、BIは40点。コミュニケーションは同じ言葉を繰り返すことが多く指示の入りにくさあり。流涎あり、発話に影響がみられる。感情失禁あり。
「方法」
家庭菜園という生活行為の活動場面から課題を把握すること。病態との関連性を評価すること。活動遂行に必要な個別リハビリでの機能練習を実施すること。情報収集から本人のこだわりやご自身でできる範囲を把握すること。本人に合わせた環境設定や家族指導も実施し多角的なアプローチを展開すること。
「介入」(利用開始~1カ月)
家族・環境面は、本人・家族から希望の確認、達成目標の確認と合意。実施に対しての時期、規模、場所、内容について確認、調整を行う。居宅調査を実施し自宅内・庭の動線、園芸環境の確認実施。
リハビリは、移動手段の獲得(歩行器歩行の提案、使用の定着化)と、園芸動作の評価を実施した。園芸動作評価時、難易度の調整が必要性であることがわかった。
「介入」(2~4カ月)
家族・環境面は、本人が可能な範囲や工程を家族と共有し、環境設定の協力を依頼。近隣幼稚園との連携により環境・動線の確認。
リハビリは、体力の維持・向上訓練(器械運動・長距離歩行)、作業効率向上訓練を実施。また、地植えに向けた床上動作の確認。
生活行為向上リハビリテーション (自宅)として月2回訪問し、園芸実施(プランター:ナス、ミニトマト、ピーマン 地植え:きゅうり、ゴーヤ)。
「介入」(5~7カ月)
家族・環境面は、家族で協働し野菜を収穫していただく。また、自宅での過ごし方について提案(毎日の野菜の確認、パズル等)。
リハビリは、幼稚園内の移動を想定した練習(想定される距離の歩行練習、休憩のため歩行器に座る練習)を実施。
生活行為向上リハビリテーション(幼稚園) にて、園児に野菜を寄付する。
「結果」
セラピストの介入なしに妻の支援のみで日常的に家庭菜園が実施できるようになり、生活習慣として定着が見られた。さらに、今後も継続して園児に野菜を寄付する予定が立ったことで、社会的役割の再構築が見られた。HDS-Rは7点→10点(加点項目は日付の見当識、年齢、即時記憶、視覚記憶)、FABは4点→8点(加点項目:類似性、把握行動、運動系列)となった。
「考察」アルツハイマー型認知症と診断された症例だが、臨床像として血管性認知症と思われる特徴も多く見られた。当初自発性や意欲低下がみられ、自宅でも活動量が低下し心身共に廃用の要素が強く見られライフワークとしていた家庭菜園の実施も難しくなっていた。今回の介入では認知機能の低下は中等度以上であるが、目標となった家庭菜園の再開に向けご本人の意欲が高く、しっかりとした合意形成がなされ、ご家族も協力も得られた。介入余地のある歩行能力や注意機能などは賦活し、難しい部分はよく確認し具体的に難易度や環境の調整をご家族に指導しながら実施できたことが今回の結果につながったと考えられる。家庭菜園を実施するのみにとらわれずご家族のみで実施できるようにしたこと、野菜を作るだけにとどまらず作ったものを人に渡して喜んでもらえる場面ができたこと等、今後も継続した役割作り、生きがいを再構築できたことは、負の循環となっていたデイケア利用前の状況から脱却でき血管性認知症者にとって良好な支援になったと考える。
デイケア利用開始となったアルツハイマー型認知症の症例だが、介入過程において医学的診断とは異なる臨床像も見られた。病態の特徴を捉え、継続的な生活習慣と地域との繋がりの再獲得を目指した結果、良好な経過を得たためここに報告する。
「目的」
本症例のかつての趣味であった家庭菜園を再開し、継続的な生活習慣、および地域との繋がりの再構築。
「症例紹介」
80歳代、男性。デイケア週3回短時間利用。妻と2人暮らし。妻は元ヘルパー、寛容で介護に協力的。生活歴は、趣味で畑を借りて家庭菜園を行っており、特定の知人や近くの幼稚園に花や野菜を寄付していた。令和7年の秋ごろから急激に能力の低下がみられ、家庭菜園が困難になり畑を返却した。妻が外出機会を作ってくれていたが、引きこもりぎみになり日常生活にも支障がでていた。
「評価」
対象はHDS-R7点(加点項目は年齢、即時記憶、視覚記憶)、FAB4点(加点項目が類似性・概念化、把握行動) 。起居・起立着座動作自立。移動は伝い歩きまたは手引き歩行可能、すくみ足や小刻み歩行が著明。施設内では一部介助、BIは40点。コミュニケーションは同じ言葉を繰り返すことが多く指示の入りにくさあり。流涎あり、発話に影響がみられる。感情失禁あり。
「方法」
家庭菜園という生活行為の活動場面から課題を把握すること。病態との関連性を評価すること。活動遂行に必要な個別リハビリでの機能練習を実施すること。情報収集から本人のこだわりやご自身でできる範囲を把握すること。本人に合わせた環境設定や家族指導も実施し多角的なアプローチを展開すること。
「介入」(利用開始~1カ月)
家族・環境面は、本人・家族から希望の確認、達成目標の確認と合意。実施に対しての時期、規模、場所、内容について確認、調整を行う。居宅調査を実施し自宅内・庭の動線、園芸環境の確認実施。
リハビリは、移動手段の獲得(歩行器歩行の提案、使用の定着化)と、園芸動作の評価を実施した。園芸動作評価時、難易度の調整が必要性であることがわかった。
「介入」(2~4カ月)
家族・環境面は、本人が可能な範囲や工程を家族と共有し、環境設定の協力を依頼。近隣幼稚園との連携により環境・動線の確認。
リハビリは、体力の維持・向上訓練(器械運動・長距離歩行)、作業効率向上訓練を実施。また、地植えに向けた床上動作の確認。
生活行為向上リハビリテーション (自宅)として月2回訪問し、園芸実施(プランター:ナス、ミニトマト、ピーマン 地植え:きゅうり、ゴーヤ)。
「介入」(5~7カ月)
家族・環境面は、家族で協働し野菜を収穫していただく。また、自宅での過ごし方について提案(毎日の野菜の確認、パズル等)。
リハビリは、幼稚園内の移動を想定した練習(想定される距離の歩行練習、休憩のため歩行器に座る練習)を実施。
生活行為向上リハビリテーション(幼稚園) にて、園児に野菜を寄付する。
「結果」
セラピストの介入なしに妻の支援のみで日常的に家庭菜園が実施できるようになり、生活習慣として定着が見られた。さらに、今後も継続して園児に野菜を寄付する予定が立ったことで、社会的役割の再構築が見られた。HDS-Rは7点→10点(加点項目は日付の見当識、年齢、即時記憶、視覚記憶)、FABは4点→8点(加点項目:類似性、把握行動、運動系列)となった。
「考察」アルツハイマー型認知症と診断された症例だが、臨床像として血管性認知症と思われる特徴も多く見られた。当初自発性や意欲低下がみられ、自宅でも活動量が低下し心身共に廃用の要素が強く見られライフワークとしていた家庭菜園の実施も難しくなっていた。今回の介入では認知機能の低下は中等度以上であるが、目標となった家庭菜園の再開に向けご本人の意欲が高く、しっかりとした合意形成がなされ、ご家族も協力も得られた。介入余地のある歩行能力や注意機能などは賦活し、難しい部分はよく確認し具体的に難易度や環境の調整をご家族に指導しながら実施できたことが今回の結果につながったと考えられる。家庭菜園を実施するのみにとらわれずご家族のみで実施できるようにしたこと、野菜を作るだけにとどまらず作ったものを人に渡して喜んでもらえる場面ができたこと等、今後も継続した役割作り、生きがいを再構築できたことは、負の循環となっていたデイケア利用前の状況から脱却でき血管性認知症者にとって良好な支援になったと考える。
