講演情報

[22-P-R001-03]地域に出たいを形に~ハートCaféあしなの実践と意識変化~

*平野 有紀、小武海 将史、名古 亜貴子、佐藤 直美、園田 祝美、瀧川 宗一郎 (神奈川県 AMG 介護老人保健施設ハートケア湘南・芦名)
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【背景】地域包括ケアシステムの推進に伴い介護老人保健施設には地域住民とのつながりを深め、地域づくりに参画する役割が期待されている。一方で、地域活動に関心があっても実際に参加する機会やきっかけがなく、その思いを形にできていない専門職も少なくない。当施設においても「地域で活動してみたい」「資格や専門性を地域で活かしたい」といった声が聞かれていた。そこで、同様の思いを持つ職員が施設内に他にもいるのではないかと考え、有志を募ったところ多職種の職員が集まり、地域の集いの場である「ハートCaféあしな」を立ち上げることとなった。運営メンバーは、看護師、介護士、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、介護支援専門員、支援相談員、事務職員および施設外協力メンバーからなる16名で本業とは別にボランティアとして活動している。施設外協力メンバーには当施設での実習をきっかけに活動へ賛同し参加しているメンバーも含まれている。ハートCaféあしなは、地域住民が気軽に集い、人と人とがつながる居場所づくりを目的として活動している。これまでに、管理栄養士によるシニア向け栄養講話や食育体験、リハビリ専門職による介護予防体操、整形外科医による骨折予防講演、災害講座や健康づくりに関する企画に加えマルシェ・縁日・芋煮会・お正月遊びなど交流を目的とした企画も実施した。また、横須賀地区栄養士連絡協議会食育チームや地域団体との協働企画も行い、多世代が交流できる地域活動を展開している。活動開始から1年間で12回開催し、延べ約563名の地域住民が参加した。【目的】ハートCaféあしなの活動開始から1年が経過したことを機に、運営メンバーの参加動機や活動を通じた意識変化、今後の活動に対する考えを把握し、活動継続および発展に向けた課題と展望を検討する。【方法】運営メンバー16名を対象に無記名アンケート調査を実施した。調査項目は①参加したきっかけ②活動を通じた変化や成長③今後実施したい企画④今後の自身の課題⑤活動への満足度とした。自由記述および選択回答を集計し、内容ごとに分類して分析した。【結果】参加のきっかけで最も多かったのは「地域貢献活動に興味があった」56.3%、次いで「他職種との連携で学ぶことがありそうだった」25.0%であった。そのほか「楽しそうだった」12.5%、「スタッフの活躍の場を作りたかった」16.3%、「専門職としてのスキルアップにつながると思った」6.3%などであった。活動を通じた変化は「他職種理解の深化」「コミュニケーション能力の向上」「主体的な行動の増加」「企画運営能力の向上」「地域活動への関心の拡大」などであった。具体的には「他職種の専門性をより理解できるようになった」「人前に立つことへの抵抗が減った」「地域活動へ積極的に参加できるようになった」「企画運営の工夫を学んだ」などの意見がみられた。また「活躍の場が増え、外部から講師依頼を受けるようになった」との回答もあった。今後実施したい企画は料理教室、介護予防や健康づくりに関する企画、ワークショップ、多世代交流、介護体験会などであった。また、活動の認知度向上や情報発信の強化を求める意見もみられた。自身の課題は、コミュニケーション能力の向上、企画力や司会力の向上、情報発信力の強化、主体的な参加、活動継続のためのモチベーション維持などであった。活動への満足度は「すごく良かった」31.3%、「良かった」56.3%、「どちらでもない」12.5%で、「すごく良かった」または「良かった」は87.5%であった。【考察】参加動機では地域貢献への関心が最も多く、施設職員には地域で活動したいという潜在的なニーズが存在していたことが示唆された。ハートCaféあしなは、その思いを実践へつなげる場として機能したと考えられる。また、活動を通じて得られた変化は地域貢献にとどまらず、他職種理解の促進、コミュニケーション能力の向上、主体性の向上、企画運営能力の習得など多岐にわたった。看護師、介護士、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、介護支援専門員、支援相談員、事務職員が職種の垣根を越えて協働することで、多職種連携への理解が深まり、それぞれの専門性を再認識する機会になったと考えられる。さらに、健康づくりだけでなく、マルシェや縁日、芋煮会など交流を目的とした企画を取り入れたことで、多世代が参加しやすい場となり、延べ約563名の参加につながったと考えられる。特に地域団体や外部専門職との協働は活動の幅を広げ、新たなつながりを生み出す機会となった。活動満足度では87.5%が肯定的な評価を示した。また、今後実施したい企画や自身の課題について具体的な意見が多く挙げられたことから、参加者が主体的に活動へ関与する姿勢を持つようになったことがうかがえた。当初は地域住民の交流や居場所づくりを目的として開始した活動であったが、結果として職員の成長や活躍の場の創出、人材育成の機会としても機能していたと考えられる。今後は活動の認知度向上や情報発信の強化、多世代が参加しやすい企画の充実を図りながら、地域住民と運営メンバー双方にとって魅力ある活動として継続・発展させていくことが重要である。【結論】有志によるボランティア活動として始まったハートCaféあしなは、1年間で12回開催され、延べ約563名の地域住民が参加する地域の集いの場へと発展した。活動は地域住民との交流や地域貢献に寄与しただけでなく、運営メンバーの主体性や多職種連携能力、企画運営能力の向上にもつながっていた。また、本調査を通じて、活動の継続には情報発信の強化や企画内容の充実、多様な主体との連携が重要であることが示唆された。地域に出たいという思いを形にする場を創出することは、地域支援と人材育成の双方に寄与する可能性があり、地域とつながる新たな実践の一つになると考える。