講演情報
[22-O-L009-07]老健における365日リハ体制構築への取り組み~利用者の活動量維持と地域ニーズの対応を目指して~
*河野 史弥、井原 誠、中村 裕 (大分県 介護老人保健施設 和光園)
【はじめに】
当院は、大分県宇佐市に位置し、医療圏域は大分県北地域となる。この県北地域において介護老人保健施設は9施設あるが近隣で超強化型にて運営を行っているのは当施設のみである。そのような中で365日リハビリテーション(以下リハビリ)体制の構築を検討した。しかし、背景として365日リハビリ体制開始前は月~土曜まではリハスタッフが常時いる環境であり、リハ提供および他職種協働での離床・活動の機会が多くあった。一方で日曜日はリハビリ提供がなく離床・活動機会が少ない課題があった。そのため、以前より人員が増えれば365日体制でのリハビリを開始する計画はあったが、併設する病棟再編(回復期リハビリ病棟の増床)により人員増加には至らなかった。既存の人員配置の中で休日リハビリを実施するためには平日の稼働率の低下が懸念された。そのような中でもリハビリの質・量を担保していくために量として休日のリハビリの提供、質としてADLシートの活用を図った。リハビリの進捗状況の見える化および他職種で情報共有を行う事でリハビリ実施時だけでなく日常生活の場面においても統一した支援が継続できる体制を整備した。それによって当施設では限られたマンパワーの中で超強化型施設としての役割を果たし、既存人員での365日体制リハビリの取り組みを開始できたのでここに報告する。
【対象】
当施設入所利用者
【方法】
一連の流れとして
●1月より入所職員に365日リハ開始の件を打診し、日曜日出勤によるリハ職の対応の仕方・リハビリ内容を決定
●2月より365日体制に向けて役職者のみ(計3名)での日曜日の半日出勤を開始
●4月より入所・通所リハスタッフ(計9名)での日曜の半日出勤を開始
●6月にマニュアル周知・修正後に継続して取り組みを実施
●LIFEフィードバックシステムを活用し去年の集団リハ未実施の時期と実施時のADL状況の比較を行う
より多くの利用者の離床・活動機会促進のため個別リハではなく集団リハビリを実施
1人で見守りが可能な平均3~5人グループで1回20~30分程度実施。
集団リハビリ実施人数は15~20名前後
集団リハビリの内容
歩行可能群・起立可能群・座位保持可能群・離床実施群でグループ分けを実施。
歩行可能群は園内の歩行訓練・バランス訓練を中心に実施
起立可能群は手すりを使用しての起立訓練・立位保持訓練・スクワット等の筋力訓練を実施
座位保持可能群は棒体操や足踏み等の上下肢機能訓練を実施
離床可能群は車椅子での30分程度の離床および姿勢調整・評価を実施
【結果】
365日リハビリ体制開始前の2025年8月と365日リハビリ体制開始後の2026年5月LIFEフィードバックシステムの参照より平均介護度は維持(3.28→3.29)ADL構成比も大きな変化なく維持。全国平均と比較しても自立割合は概ね維持出来ている。
【考察】
365日リハビリ体制は施設全体で利用者の活動性の維持する仕組みづくりが重要であると考えられた。通所リハビリスタッフとの連携、集団リハビリの実施、ADLシートの活用による情報共有を組み合わせる事で人員不足という課題を抱える中でも365日リハビリ体制を構築・継続することで出来た。また、LIFEフィードバックシステムではADL構成割合が概ね維持されており、リハビリ提供量の拡充と提供の質の維持を両立出来たことが示唆された。特にADLシートを活用した多職種連携は、リハビリ職では補えない生活場面への介入を可能とし継続的な機能維持に繋がると思われる。また、休日における活動機会の提供は利用者の生活リズムの維持や意欲向上にも繋がると思われる。武原は、急性期・回復期のリハビリが機能障害の回復を目的とした「治療モデル」であるのに対して、老健施設のリハビリは残された心身機能でいかに快適な生活を実現するかをテーマにした「生活支援モデル」であると位置づけている。その中で在宅復帰超強化型の当施設は「治療モデル」と「生活支援モデル」を両立させていく必要がある。近年、地域包括ケアシステムの推進に伴い、老健施設には、在宅復帰支援機能の更なる強化が求められている。地域ケア病棟との差別化という観点からも、老健が持つ生活支援機能とリハビリ機能を融合した365日体制は有効な取り組みであると思われる。
【まとめ】
365日リハビリ体制の構築において、人員の確保と運営の継続性が重要な課題となった。本取り組みでは、通所リハビリ職員との協働により休日の人員体制を確保し、既存資源を有効活用した運営体制を構築することが出来た。集団リハビリテの導入は限られた人員の中で利用者の活動性を維持する手段として有効であったと考えられる。横山らは集団で共同して運動を行う事により活動の自己評価、楽しさ、達成感、満足感および有能感などの特典が優位に増加すると報告している。ADLシートを用いた情報共有は、他職種間における支援内容の統一を促し、曜日による支援の質の差を軽減する一助となった。金谷は、変化の礎は理学療法の実施以外の要因が大きく、規則正しい生活であり、栄養状態であり、離床時間であり、職員の適切なケアであると言われている。その中で、365日を通じた継続的なリハビリ提供体制の整備は、利用者支援の充実のみならず、施設機能の強化及び地域における役割の明確化にも寄与すると思われる。今後の展望としていずれは人員の増員を検討しており増員後は日曜出勤を半日ではなく1日出勤に変更し短期集中リハビリ加算算定者を週7でリハビリが実施できる体制を作り超強化型施設としての役割を果たし地域から選ばれる施設を目指していきたい。
当院は、大分県宇佐市に位置し、医療圏域は大分県北地域となる。この県北地域において介護老人保健施設は9施設あるが近隣で超強化型にて運営を行っているのは当施設のみである。そのような中で365日リハビリテーション(以下リハビリ)体制の構築を検討した。しかし、背景として365日リハビリ体制開始前は月~土曜まではリハスタッフが常時いる環境であり、リハ提供および他職種協働での離床・活動の機会が多くあった。一方で日曜日はリハビリ提供がなく離床・活動機会が少ない課題があった。そのため、以前より人員が増えれば365日体制でのリハビリを開始する計画はあったが、併設する病棟再編(回復期リハビリ病棟の増床)により人員増加には至らなかった。既存の人員配置の中で休日リハビリを実施するためには平日の稼働率の低下が懸念された。そのような中でもリハビリの質・量を担保していくために量として休日のリハビリの提供、質としてADLシートの活用を図った。リハビリの進捗状況の見える化および他職種で情報共有を行う事でリハビリ実施時だけでなく日常生活の場面においても統一した支援が継続できる体制を整備した。それによって当施設では限られたマンパワーの中で超強化型施設としての役割を果たし、既存人員での365日体制リハビリの取り組みを開始できたのでここに報告する。
【対象】
当施設入所利用者
【方法】
一連の流れとして
●1月より入所職員に365日リハ開始の件を打診し、日曜日出勤によるリハ職の対応の仕方・リハビリ内容を決定
●2月より365日体制に向けて役職者のみ(計3名)での日曜日の半日出勤を開始
●4月より入所・通所リハスタッフ(計9名)での日曜の半日出勤を開始
●6月にマニュアル周知・修正後に継続して取り組みを実施
●LIFEフィードバックシステムを活用し去年の集団リハ未実施の時期と実施時のADL状況の比較を行う
より多くの利用者の離床・活動機会促進のため個別リハではなく集団リハビリを実施
1人で見守りが可能な平均3~5人グループで1回20~30分程度実施。
集団リハビリ実施人数は15~20名前後
集団リハビリの内容
歩行可能群・起立可能群・座位保持可能群・離床実施群でグループ分けを実施。
歩行可能群は園内の歩行訓練・バランス訓練を中心に実施
起立可能群は手すりを使用しての起立訓練・立位保持訓練・スクワット等の筋力訓練を実施
座位保持可能群は棒体操や足踏み等の上下肢機能訓練を実施
離床可能群は車椅子での30分程度の離床および姿勢調整・評価を実施
【結果】
365日リハビリ体制開始前の2025年8月と365日リハビリ体制開始後の2026年5月LIFEフィードバックシステムの参照より平均介護度は維持(3.28→3.29)ADL構成比も大きな変化なく維持。全国平均と比較しても自立割合は概ね維持出来ている。
【考察】
365日リハビリ体制は施設全体で利用者の活動性の維持する仕組みづくりが重要であると考えられた。通所リハビリスタッフとの連携、集団リハビリの実施、ADLシートの活用による情報共有を組み合わせる事で人員不足という課題を抱える中でも365日リハビリ体制を構築・継続することで出来た。また、LIFEフィードバックシステムではADL構成割合が概ね維持されており、リハビリ提供量の拡充と提供の質の維持を両立出来たことが示唆された。特にADLシートを活用した多職種連携は、リハビリ職では補えない生活場面への介入を可能とし継続的な機能維持に繋がると思われる。また、休日における活動機会の提供は利用者の生活リズムの維持や意欲向上にも繋がると思われる。武原は、急性期・回復期のリハビリが機能障害の回復を目的とした「治療モデル」であるのに対して、老健施設のリハビリは残された心身機能でいかに快適な生活を実現するかをテーマにした「生活支援モデル」であると位置づけている。その中で在宅復帰超強化型の当施設は「治療モデル」と「生活支援モデル」を両立させていく必要がある。近年、地域包括ケアシステムの推進に伴い、老健施設には、在宅復帰支援機能の更なる強化が求められている。地域ケア病棟との差別化という観点からも、老健が持つ生活支援機能とリハビリ機能を融合した365日体制は有効な取り組みであると思われる。
【まとめ】
365日リハビリ体制の構築において、人員の確保と運営の継続性が重要な課題となった。本取り組みでは、通所リハビリ職員との協働により休日の人員体制を確保し、既存資源を有効活用した運営体制を構築することが出来た。集団リハビリテの導入は限られた人員の中で利用者の活動性を維持する手段として有効であったと考えられる。横山らは集団で共同して運動を行う事により活動の自己評価、楽しさ、達成感、満足感および有能感などの特典が優位に増加すると報告している。ADLシートを用いた情報共有は、他職種間における支援内容の統一を促し、曜日による支援の質の差を軽減する一助となった。金谷は、変化の礎は理学療法の実施以外の要因が大きく、規則正しい生活であり、栄養状態であり、離床時間であり、職員の適切なケアであると言われている。その中で、365日を通じた継続的なリハビリ提供体制の整備は、利用者支援の充実のみならず、施設機能の強化及び地域における役割の明確化にも寄与すると思われる。今後の展望としていずれは人員の増員を検討しており増員後は日曜出勤を半日ではなく1日出勤に変更し短期集中リハビリ加算算定者を週7でリハビリが実施できる体制を作り超強化型施設としての役割を果たし地域から選ばれる施設を目指していきたい。
