講演情報

[22-P-R001-04]「頼れる老健」を目指して地域とのつながり再構築に向けた健康づくり活動

*望月 里枝 (長野県 老人保健施設ふるさと)
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【背景・目的】
介護老人保健施設ふるさと(以下、当施設)は、長野医療生活協同組合を法人母体として運営されており、地域住民が組合員として医療・介護の運営や健康づくりに参画する基盤を有している。1998年の開設以来、「保健、医療、福祉(介護)事業を通じ、地域まるごと健康づくりに貢献する」という法人理念のもと、「誰もが安心して利用できる老健ふるさとをみんなの手で作り上げる」ことを目標に掲げ、在宅復帰支援と地域との関わりを重視してきた。
地域住民との交流行事やボランティア活動、健康講座などを通じて、地域に開かれた施設づくりを推進してきたが、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の流行により、ふるさと祭りをはじめとした交流事業やボランティア活動は中断を余儀なくされた。その結果、利用者と地域住民が直接交流する機会は減少し、地域とのつながりも希薄化した。
一方で、介護老人保健施設には地域包括ケアの一翼を担う存在として、地域貢献活動の実施が求められている。また、当施設が所在する長野市北部の古里地域では高齢化が進行しており、65歳以上が31.3%、75歳以上が19.1%を占め、住民の健康づくりやフレイル予防への支援の必要性が高まっている。このような背景のもと、当施設ではコロナ禍によって弱まった地域とのつながりを再構築し、地域住民の健康づくりに貢献することを目的として各種活動を再開・展開したため、その取り組みについて報告する。
【活動内容】
地域とのつながりを再構築するため、以下の活動を実施した。
1)法人支部活動への参加  
長野医療生活協同組合支部の運営委員会や総会へ参加し、介護予防や健康づくりをテーマとした講演を実施した。あわせて介護老人保健施設の役割や機能を紹介し、組合員からの健康や介護に関する相談に対応した。
2)三才地区との交流
地区公民館主催の行事「さんさいの縁側」に理学療法士が参加し、年間事業全4回のうち3回を担当した。フレイル予防や健康寿命延伸に関するミニ講演会を開催、また、当施設を会場として、レッドコードを活用した運動体験を実施し地域住民にリハビリ機器を体験していただく機会を設けた。さらに、三才地区秋祭りでは暴れ獅子の訪問を受け、利用者と地域住民が交流する機会となった。
3)地域包括支援センターとの連携
認知症カフェに作業療法士が参加し、本人および家族への相談支援や体操指導を実施した。また、介護者のつどいでは足趾力測定や転倒予防体操を行い、地域住民との情報交換を通じて地域課題の把握に努めた。
4)専門職による介護予防活動  
理学療法士をはじめとするリハビリテーション専門職が地域の介護予防教室へ講師として参加し、転倒予防や運動習慣の定着、身体機能維持に関する講話および実技指導を行った。
【結果】 
各活動を通じて、地域住民がリハビリ体験や健康講話へ参加する機会が増加した。「さんさいの縁側」には毎回約20名の参加があり、継続的な交流につながった。また、地域包括支援センターや地区役員、組合員との顔の見える関係づくりが進み、介護や健康に関する相談機会が増加した。活動を通じて当施設利用につながるケースもみられた。施設職員にとっても地域の実情や課題を把握する機会となり、地域ニーズを踏まえた支援につながった。さらに、地域行事での交流は、利用者にとって地域とのつながりを実感できる貴重な機会となり、生活意欲の向上にも寄与した。今年度は担当区域外の地域包括支援センターからの講師依頼も増加している。
【考察】
コロナ禍によって中断された地域交流活動は、利用者と地域住民双方の交流機会の減少を招いた。しかし、感染対策を講じながら地域活動を再開し、地域へ積極的に出向くとともに施設を地域へ開放する取り組みを行ったことで、住民や関係機関とのつながりを再構築することができた。特に、リハビリテーション専門職による健康講話や介護予防活動など、専門性を地域へ還元する活動は、住民の健康づくりへの関心を高めるとともに、施設への信頼向上にもつながったと考えられる。
高齢化が進行する地域において、介護老人保健施設には入所・在宅支援のみならず、地域リハビリテーションの拠点として地域住民の健康づくりや介護予防を支援する役割が求められる。今後はボランティア活動の再開、農園活動や喫茶活動、利用者作品展の公開など、利用者と地域住民が直接交流できる機会をさらに拡充していきたい。また、法人組合員や地域包括支援センターとの連携を強化し、地域に根ざした施設づくりを継続することで、「困ったときに頼れる老健」として地域包括ケアに貢献していきたい。