講演情報
[23-P-P201-03]アンガーマネジメントゲームで育む職員の相互理解外国人職員と育む心理的安全な職場づくり
*野口 真由美、石崎 久美子、渡邊 知、石川 玄子 (栃木県 介護老人保健施設陽南)
【はじめに】
介護老人保健施設では、多職種が協働し利用者の生活を支えるため、職員間の円滑なコミュニケーションが重要である。当施設では外国人介護人材の受入れを開始し、現在52名の職員のうち6名の外国人職員が勤務している。そのうち3名は本年度4月入職、1名は前年10月入職であり、日本語学校に通いながら勤務している。受入れに向けて、業務説明や環境整備など準備を行ってきたが、実際の現場では言語や文化、価値観の違いによるコミュニケーションの難しさが継続している。「分からないことや伝わらないことは言ってほしい」と伝えても、外国人職員が遠慮してしまう場面があり、また日本人職員側にも「どのように関わればよいか」という戸惑いがみられた。さらに、日本人職員同士においても所属が異なることで接点が少なく、互いの考え方を知る機会が十分ではなかった。そこで、仕事上の関係だけではなく、職員同士が自然に交流し、互いの価値観を知る機会としてアンガーマネジメントゲームを活用した。
【目的】
アンガーマネジメントゲームを通して、職員自身や他者の価値観・感情の違いに気づき、外国人職員を含む多様な職員間の相互理解および心理的安全性向上につながるコミュニケーションツールとしての有効性を検討する。介護現場では、同じ出来事に対しても感じ方や判断基準が異なることがあり、相手の価値観を理解することが円滑なチームケアにつながると考える。当施設では、20代から60代までの幅広い世代に加え、ネパールやブータンなどの外国籍職員も勤務しており、背景の異なる職員が互いの違いを認め合いながら協働できる環境づくりが急務であった。そこで、2024年のリーダー層、2025年の多職種への試行を経て、本年度は施設全体の職員を対象にアンガーマネジメントゲームを実施し、職員自身や他者の感情・価値観の違いに気づく機会を設け、施設全体のコミュニケーションツールとしての有効性を検討した。
【方法】
対象は当施設職員(看護師、介護福祉士、リハビリ職、管理栄養士、支援相談員、事務職、外国籍職員6名を含む)52名中、参加・回答した43名とした。多職種・所属別の3~5人を1組としたグループ単位でアンガーマネジメントゲームを勤務中の30分間で実施した。実施前に説明動画視聴し、目的やルールを統一した。外国人職員に対しては、スマートフォンの翻訳機能を活用し内容の理解ができるよう環境を整えた。アンガーマネジメントゲーム実施前後に無記名アンケートを実施した。実施前後で、アンガーマネジメントへの理解、自己・他者理解、コミュニケーションへの影響、心理的安全性について4段階評価で調査した。
【結果】
実施前アンケートでは、アンガーマネジメントや心理的安全性という言葉への認知には職員間で差がみられた。一方、アンガーマネジメントゲーム実施後は、97%が「アンガーマネジメントゲームを行って、同僚の怒りを客観的に見るのに役立つと思った」「同僚とのコミュニケーションに役立つと思った」と回答した。また、「職場で行うことは心理的安全性に有効だと思った」では95%が「とても当てはまる」「やや当てはまる」と回答した。外国人職員からは「初めて職場でゲームをした」「楽しかった」という声が聞かれ、普段の業務では見られなかった職員同士の笑顔や自然な会話が生まれた。
【考察】
外国人職員の受入れでは、日本語能力や業務習得だけではなく、互いの価値観を理解し合える環境づくりが重要である。今回、アンガーマネジメントゲームを活用したことで、仕事上の役割や立場を離れ、感情や考え方の違いを共有する機会となった。また、翻訳機能を活用することで外国人職員も参加しやすくなり、言葉だけでは伝わりにくい思いや考えを共有するきっかけとなった。日本人職員にとっても、外国人職員への関わり方を考える機会となり、「教える側・教わる側」ではなく、互いに理解し合う関係づくりにつながったと考える。今回の取り組みは、外国人職員の受入れをきっかけとして、施設全体のコミュニケーションを見直す機会となった。アンガーマネジメントゲームは、多様な職員が混在し夜勤や遅番など複数の勤務体制がある介護現場において、ゲーム形式による「遊び心」は心理的障壁を下げ、短時間で質の高い相互理解を可能にした。自分の価値観が他者と異なることを可視化できたことは、心理的安全性の4因子である「話しやすさ」や「新奇歓迎(違いを認める文化)」を醸成する基盤となったと考えられる。3年間の継続的な取り組みにより、リーダー層から始まった価値観理解の姿勢が施設全体に浸透しつつあり、多様な職員が互いを尊重し協働できる組織文化の形成にアンガーマネジメントゲームが有効なツールであることが実証された。
【結論】
外国人職員の受入れは、準備を行うだけではなく、実際の関わりの中で生じる課題に気づき、職員全体で考えながら改善を重ねていく過程である。現在も、全ての職員が同じように外国人職員と関わることができているわけではなく、相互理解への取り組みは発展途中である。しかし、まずは率先してコミュニケーションの機会を作り、互いの価値観を知る場を増やすことで、少しずつ施設全体の意識変化につながると考える。アンガーマネジメントゲームを通して生まれた自然な会話や笑顔は、業務上の関係だけでは得られなかった職員同士のつながりを育むきっかけとなった。今後も国籍や職種に関わらず、誰もが安心して意見を伝え合い、互いを尊重しながら笑顔で働ける職場づくりを大切に育んでいきたい。
介護老人保健施設では、多職種が協働し利用者の生活を支えるため、職員間の円滑なコミュニケーションが重要である。当施設では外国人介護人材の受入れを開始し、現在52名の職員のうち6名の外国人職員が勤務している。そのうち3名は本年度4月入職、1名は前年10月入職であり、日本語学校に通いながら勤務している。受入れに向けて、業務説明や環境整備など準備を行ってきたが、実際の現場では言語や文化、価値観の違いによるコミュニケーションの難しさが継続している。「分からないことや伝わらないことは言ってほしい」と伝えても、外国人職員が遠慮してしまう場面があり、また日本人職員側にも「どのように関わればよいか」という戸惑いがみられた。さらに、日本人職員同士においても所属が異なることで接点が少なく、互いの考え方を知る機会が十分ではなかった。そこで、仕事上の関係だけではなく、職員同士が自然に交流し、互いの価値観を知る機会としてアンガーマネジメントゲームを活用した。
【目的】
アンガーマネジメントゲームを通して、職員自身や他者の価値観・感情の違いに気づき、外国人職員を含む多様な職員間の相互理解および心理的安全性向上につながるコミュニケーションツールとしての有効性を検討する。介護現場では、同じ出来事に対しても感じ方や判断基準が異なることがあり、相手の価値観を理解することが円滑なチームケアにつながると考える。当施設では、20代から60代までの幅広い世代に加え、ネパールやブータンなどの外国籍職員も勤務しており、背景の異なる職員が互いの違いを認め合いながら協働できる環境づくりが急務であった。そこで、2024年のリーダー層、2025年の多職種への試行を経て、本年度は施設全体の職員を対象にアンガーマネジメントゲームを実施し、職員自身や他者の感情・価値観の違いに気づく機会を設け、施設全体のコミュニケーションツールとしての有効性を検討した。
【方法】
対象は当施設職員(看護師、介護福祉士、リハビリ職、管理栄養士、支援相談員、事務職、外国籍職員6名を含む)52名中、参加・回答した43名とした。多職種・所属別の3~5人を1組としたグループ単位でアンガーマネジメントゲームを勤務中の30分間で実施した。実施前に説明動画視聴し、目的やルールを統一した。外国人職員に対しては、スマートフォンの翻訳機能を活用し内容の理解ができるよう環境を整えた。アンガーマネジメントゲーム実施前後に無記名アンケートを実施した。実施前後で、アンガーマネジメントへの理解、自己・他者理解、コミュニケーションへの影響、心理的安全性について4段階評価で調査した。
【結果】
実施前アンケートでは、アンガーマネジメントや心理的安全性という言葉への認知には職員間で差がみられた。一方、アンガーマネジメントゲーム実施後は、97%が「アンガーマネジメントゲームを行って、同僚の怒りを客観的に見るのに役立つと思った」「同僚とのコミュニケーションに役立つと思った」と回答した。また、「職場で行うことは心理的安全性に有効だと思った」では95%が「とても当てはまる」「やや当てはまる」と回答した。外国人職員からは「初めて職場でゲームをした」「楽しかった」という声が聞かれ、普段の業務では見られなかった職員同士の笑顔や自然な会話が生まれた。
【考察】
外国人職員の受入れでは、日本語能力や業務習得だけではなく、互いの価値観を理解し合える環境づくりが重要である。今回、アンガーマネジメントゲームを活用したことで、仕事上の役割や立場を離れ、感情や考え方の違いを共有する機会となった。また、翻訳機能を活用することで外国人職員も参加しやすくなり、言葉だけでは伝わりにくい思いや考えを共有するきっかけとなった。日本人職員にとっても、外国人職員への関わり方を考える機会となり、「教える側・教わる側」ではなく、互いに理解し合う関係づくりにつながったと考える。今回の取り組みは、外国人職員の受入れをきっかけとして、施設全体のコミュニケーションを見直す機会となった。アンガーマネジメントゲームは、多様な職員が混在し夜勤や遅番など複数の勤務体制がある介護現場において、ゲーム形式による「遊び心」は心理的障壁を下げ、短時間で質の高い相互理解を可能にした。自分の価値観が他者と異なることを可視化できたことは、心理的安全性の4因子である「話しやすさ」や「新奇歓迎(違いを認める文化)」を醸成する基盤となったと考えられる。3年間の継続的な取り組みにより、リーダー層から始まった価値観理解の姿勢が施設全体に浸透しつつあり、多様な職員が互いを尊重し協働できる組織文化の形成にアンガーマネジメントゲームが有効なツールであることが実証された。
【結論】
外国人職員の受入れは、準備を行うだけではなく、実際の関わりの中で生じる課題に気づき、職員全体で考えながら改善を重ねていく過程である。現在も、全ての職員が同じように外国人職員と関わることができているわけではなく、相互理解への取り組みは発展途中である。しかし、まずは率先してコミュニケーションの機会を作り、互いの価値観を知る場を増やすことで、少しずつ施設全体の意識変化につながると考える。アンガーマネジメントゲームを通して生まれた自然な会話や笑顔は、業務上の関係だけでは得られなかった職員同士のつながりを育むきっかけとなった。今後も国籍や職種に関わらず、誰もが安心して意見を伝え合い、互いを尊重しながら笑顔で働ける職場づくりを大切に育んでいきたい。
