講演情報

[22-P-P101-03]だれでもできる入所オリエンテーションへの取り組み介護・看護スタッフが手掛ける内部ICTとAIの活用

*髙﨑 美里、野口 真由美 (栃木県 介護老人保健施設陽南)
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【はじめに】
介護老人保健施設における入所オリエンテーションは、利用者や家族の不安を解消する重要なプロセスである。しかし、当施設では外国人職員(現在6名在籍)や入職1年程度の職員から、「説明の手順や内容に不安がある」という声が多く聞かれていた。アンケート調査でも、職員によって説明内容や聞き取りに差があることが課題として指摘されており、新人教育に割く時間の不足も深刻な問題であった。
【目的】
現場の介護職(10年目)と看護職(フロア長)が共同で、オンラインアンケート作成ツールとAI動画を活用した「入所オリエンテーションシステム」を構築し、業務の標準化、教育負担の軽減、および職員の心理的負担の解消に与える効果を検証する。
【方法】
1. システムの構築:オンラインアンケート作成ツールを用い、説明すべき項目を網羅したデジタルフォームを作成した。項目を順に読み上げるだけで、不備のないオリエンテーションが完結する仕様とした。入力は最小限とし、選択項目には詳しい説明を加えた。
2. AI動画と音声サポート:視覚的・聴覚的に理解を深めるためのAIによる説明動画を導入した。また、オンラインアンケート作成ツールの音声読み上げ機能を活用し、日本語での説明に不安がある外国人職員や、人前で話すことに緊張する職員をサポートする体制を整えた。
3. 評価方法:システム導入前後に入所オリエンテーションに関わる職員に対しアンケートを実施し、導入前後の比較により、業務負担感や説明の統一性、習得のしやすさを分析した。
【結果】
導入前の調査では、多くの職員が「職員によって説明内容に差がある」と感じていた。システム導入後の結果、以下の成果が得られた。
1. 標準化の実現:職員の知識や経験に依存することなく、統一された内容で不備のないオリエンテーションが実施可能となった。
2. 教育の効率化:チェック形式の導入により、新人や外国人職員への指導時間が短縮され、「チェックするだけで良いのでやりやすい」という評価を得た。
3. 心理的負担の軽減:AI動画や音声サポートにより、説明業務に対する不安やプレッシャーが緩和され、職員が利用者・家族とのコミュニケーションに集中できる環境が整った。
4. 情報共有:入所オリエンテーション時の情報がオンラインアンケート作成ツールに記録されることで、担当者以外の職員も必要な時に情報を得ることができた。
【考察】
本研究の最大の意義は、現場の介護・看護スタッフが主体となり、実務に即した内部ICTを構築した点にある。現場主導の開発は、課題をみつけ対策する力を育む、多様な人材(外国人職員や新人)が即戦力として活躍できる環境整備に有効である。今後は、多職種連携をさらに深め、ICT活用によるさらなる生産性向上とサービス品質の向上を追求していきたい。