講演情報

[22-O-D002-01]認知症チームケア推進加算での個別ケア実践とBPSD軽減

*鈴木 菫1、印南 由季2 (栃木県 1. 介護老人保健施設マロニエ苑、2. 介護老人保健施設マロニエ苑)
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(目的)
当施設では令和7年1月より認知症チームケア推進加算の算定を開始した。本発表では、BPSDを認めた利用者2名に対し、生活歴や本人の思いを踏まえた個別ケアを実施し、BPSDや生活場面の変化について検討したので報告する。
(方法)
認知症チームケア推進加算の対象者の中から、日常生活においてBPSDがみられ、個別的な関わりにより大きくBPSDの改善がみられた利用者2名を対象とした。対象者の生活歴や趣味・嗜好、日頃の様子を職員間で情報共有し、本人の思いや残存能力を活かした個別ケアを検討した。
A氏は他室入室が多く、背景に散歩や景色を楽しむ生活歴があったため、15時頃から10分程度の棟内・屋外散歩を実施した。
B氏は夕方に帰宅願望がみられた。生活歴から役割を持つことが安心感につながると考え、おやつ後にタオルたたみや袋開きなどの役割活動を実施した。
評価方法として、介入前後の日々の介護記録から、BPSDに関する発言や行動の出現状況、回数、表情や生活場面での様子を抽出し、取り組みによる変化について評価した。
(結果)
A氏は、介入後の変化として、棟内の散歩を実施したことによって、他室入室は1日3~4回から、開始1週間程度でほぼ消失した
また職員とコミュニケーションが取れる時間が増えたことによって、「たまには外に出て気持ち良かった」「今日はいい天気でいいね」など発言や多く聞かれ、表情も笑顔が増えた。
B氏は介入後の変化として、30分ほどタオルたたみや袋開きなど本人が役割を持てる活動を取り入れたことで、開始1週間ほどは、作業を止める様子や「どうやってやるの?」など職員に聞くことがあったが、同席の他利用者と声を掛け合いながら一緒に行うことによって、作業を再開し、取り組まれる様子が見られた。開始1カ月ほどから、「今日はやることある?」などの発言も聞かれ、自ら積極的に作業に取り組む様子が見られた。また「家に帰りたい」等の帰宅願望に関する発言は徐々に減少した。
考察
結果から、A氏は景色を見る時間や職員と関わる時間を確保したことで、気分転換と外の景色が見たいという本人の気持ちが解消し、他室入室がほぼなくなったと考えられる。
B氏は、療養棟内での役割が出来た事と、他利用者とのコミュニティー形成ができ、帰宅願望などのBPSDの軽減に繋がったと考えられる。このことから本取り組みにより、BPSDを単なる問題行動として捉えるのではなく、本人の思いや生活歴、趣味・嗜好を理解するきっかけとして捉える職員の意識変化がみられた。対象者に合わせた個別ケアや役割活動を提供することで、安心感や生活意欲につながり、BPSDの軽減に寄与したと考えられた
また、日々の関わりや記録から本人の気持ちを読み取り、職員間で対象者の情報を共有し、統一した関わりを行うことで、これまで「対応が必要な行動」と捉えていた場面を「本人の思いを知るきっかけ」として考える意識の変化にも大きく影響することが示唆された。
今後の課題
今後の課題として、個別的な関わりによって穏やかに過ごせる時間の増加やBPSDの軽減がみられた一方で、職員の勤務状況や業務量によって、関わる時間や対応方法に差が出る場面もあった。今後は、職員間で情報共有を継続し、誰が関わっても統一されたケアを提供できる体制づくりが必要になる。また、対象者の状況や思いは日々変化していくため、定期的に評価・見直しを行い、一人ひとりに合わせた認知症ケアを継続していきたい。