講演情報

[22-P-L002-05]当施設の食事能力への取り組み

*服部 裕馬、永井 園美、野村 サチ子 (大阪府 富田林市介護老人保健施設)
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はじめに 介護施設において入所者の口腔衛生管理は令和5年度までは努力義務であったが、令和6年から運営基準となった。これを踏まえて入所者の口腔内の清掃や衛生に対して今まで以上に取り組むことが必要である。そのため、コロナ禍を経て令和6年度より歯科医師による研修の実施、歯科衛生士から口腔清掃用具の使い方研修を受けその指導のもと「食事能力の改善」と「誤嚥性肺炎の予防」について約1年間取り組んだ内容をここに報告する。1.施設概要当施設は入所定員73名、デイケア定員40名の超強化型の施設である。2.実施期間 令和6年12月から令和8年3月3.実施内容 ① Oral Health Assessment Tool(以後O-HAT) による初期評価② 入所者へ食事前の集団体操と座り直し③ 食事介助方法の伝達4.実施内容①令和6年12月歯科医師による研修後、入所者の口腔内の状況を確認令和7年度初めから既存入所者と新規入所者に対して言語聴覚士によるOral Health Assessment Tool(以後O-HAT)を用いて評価を実施した。O-HATでの評価が継続して行えるよう用紙を改訂し計画的に実施した。しかし入所時のO-HAT記入は定着してきているが、その後の記載については歯科受診されている方など限定した方の記載にとどまった。②同時期に管理栄養士より食事中に姿勢が保持できず、本来の食事能力を発揮しにくいとの意見をもとに令和7年6月より、リハビリ職員による集団リハビリを昼食と夕食直前に実施し、実施後に座り直しを行い、座位姿勢の修正を行なった。この取り組みを開始した後、食事中に姿勢が崩れることが少なくなり、自己摂取でも介助摂取でも食べやすくなったとの反応があった。③令和7年11月、言語聴覚士が1名から2名の配置となり、より多くの利用者様の食事場面を観察できるようになった。それにより言語聴覚士が日中の食事場面を全体的に観察しながら、看護師や管理栄養士等から相談があった入所者の食事場面をより注意して観察でき、職種間での検討を通して、食事形態の変更や食事方法の調整を行う体制を作った。令和8年2月からは、言語聴覚士が毎日食事介助の注意点を簡潔に記載した用紙を作成し、毎日最新版を提示することで、他部門からの応援の職員やカイテクの方にも介助方法がわかるようにした。2月からの取り組み後、現在まで明らかな誤嚥や誤嚥性肺炎の発症はみられていない。5.考察O-HATで口腔乾燥が認められた利用者に対して、食前の口腔保湿や唾液腺マッサージを行い、座り直しによって姿勢を整えた上で集団体操に参加してもらった。これらは、入所者にあった食事の提供、口腔内への観察と予防への意識付けにつながったと考える。集団リハビリによる肩や体幹のストレッチ、首や肩周囲の運動を行うことで姿勢保持筋が活性化される。また、発声練習や口唇・舌・頬の運動、唾液腺マッサージなどを組み合わせることで、口腔周囲筋の動きや唾液分泌が促進される。これにより、咀嚼や嚥下が円滑になり、誤嚥予防につながるだけでなく、食欲の向上も期待できる。食事姿勢に関して、骨盤が後傾した状態では体幹が不安定になり、頸部が過度に伸展しやすくなる為、嚥下時の気道防御機能が十分に働かず誤嚥の危険性が高まる。また、姿勢が崩れることで食事に集中できず、疲労も生じやすくなる。食事前に座り直しを実施し、姿勢を整えることが重要であることを再認識できた。また、食事介助は日々のケアとして一定の方法を提供することが求められる。介護施設では交替勤務やカイテクなど応援業務もある中で、入所者の食事介助を実施している。これらケアの情報共有とケアの実施が重要であるため、共有シートでの実施はチームケアとして一定の成果が得られていると考える。おわりに今後の当施設の課題として、「O-HATを活用したケアや関連した科学的な取り組みがなお不十分である」と考える。今後は、O-HATによる定期的な口腔評価を継続するとともにその効果を継続的に検証していくことが重要である。介護職員、看護師、管理栄養士、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士それぞれの専門性を生かした支援が必要である。これらを一連の支援として実施することで、誤嚥性肺炎の予防や低栄養の改善だけでなく、利用者が「自分の口から安全に、おいしく食べる」という食事能力の向上をチームケアとして目指していきたい。