講演情報
[22-O-L008-05]通所リハにおける運動プログラム「ほこトレ」の成果
*内間 勇介、内間 春野、石田 晋也、富原 唯 (沖縄県 介護老人保健施設アルカディア アルカディア通所リハビリテーション)
【はじめに】当通所リハでは、在宅生活の維持向上を目的として、個別リハビリや集団プログラムを提供してきた。近年、利用者数の増加や生活様式の多様化に伴い、「できることを増やしたい」「外出したい」といった前向きなニーズが高まっている。この状況を踏まえ、当施設では今年度より新たな運動プログラム「ほこトレ」を開始した。本研究では、導入後に実施したアンケート結果および歩数計測データをもとにプログラムの成果と課題を整理し、さらに実際の支援事例を提示することで、今後の通所リハにおける効果的な運営や支援体制の方向性について検討した。
【方法】 ほこトレの実施内容は計60分とし、その内訳は、①運動指導士の指導の下で行う集団体操30分、②集団歩行訓練15分、③マシントレーニング15分とした。対象は日常生活が概ね自立し、トイレ動作が自立している利用者とした。歩行訓練時は参加者に万歩計を装着してもらい、6ヶ月間にわたり歩数を集計した。評価対象は、プログラム開始当初より参加している24名の歩数データを使用した。歩数データは、参加者ごとにプログラム参加時の歩行歩数の最大値を月毎に抽出し、その値を合計した歩数としている。そのデータを開始時・3か月目.6か月目で比較をした。さらに参加者43名を対象にアンケートを実施した。アンケート調査に回答を得られた31名分(回答率72%)を基に研究した内容を報告する。
【結果】
1.参加理由は「体力維持・向上」が最も多く18件(58%)、次いで「職員からの声かけ」8件(26%)であった。
2.参加満足度(1~10点評価)は平均7.8点であり、8~10点の高評価が21件(68%)を占めた。
3.身体的変化では68%が「変化あり」と回答し、「歩きやすくなった」等の改善がみられた。また、継続参加者24名の歩数合計は、開始時22,254歩、3ヶ月目27,320歩、6ヶ月目25,824歩であり、開始時と比較して段階的な歩行量の増加が客観的に裏付けられた。
4.精神的変化として、「毎回楽しみ」「自信がついた」「外出意欲が高まった」など、心理面や生活意欲の向上が多く報告された。
5.今後の要望として、トレーニングの強化、リラクゼーション、環境整備、自主訓練の支援、開催頻度の見直し等が挙げられた。
6.運営面では、対象者を絞ったことでリハビリ室の混雑が軽減し、機器利用の効率的な調整が可能となった。
【考察】アンケート結果および歩数データから、ほこトレは身体面・精神面の両面に好影響をもたらしたことが示唆された。特に「体力維持・向上」を目的とする参加が多かった点は、高齢者自身が健康維持への関心を高めていることを示しており、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が推奨する「多要素な運動」や「筋力トレーニング」の機会として、本プログラムが利用者の期待に応えられたと考えられる。身体面では、万歩計を用いた歩数集計において開始時の22,254歩から3ヶ月目(27,320歩)、6ヶ月目(25,824歩)と、当初を上回る歩行活動が確認され、集団体操、歩行訓練、マシントレーニングの組み合わせが基礎体力や歩行耐久性の向上に有効である可能性が示された。精神面でも、「楽しみが増えた」「自信がついた」といった前向きな変化が多く、集団参加による交流や達成感が心理的活性化につながった。一方で、「効果を実感しにくい」「時間が短い」との意見もみられた。今後は、ガイドラインが示す「毎日40分以上の身体活動(約6,000歩)」等の客観的目安を意識しつつ、個別目標の明確化や機能評価による効果の“見える化”を推進する必要がある。また、対象者を限定したことが、利用者支援だけでなく事業所内の動線改善や機器利用効率の向上にも寄与した点は、新規プログラム導入の組織的メリットとして注目される。
【症例紹介】本プログラムを通じて著明な改善がみられた事例を本人へのインタビューを基に紹介する。 対象は80代女性のA氏。退院当初は廃用症候群による運動制限がみられ、本人は県外への旅行などを諦めていた。利用開始時の歩行形態は、屋内伝え歩き・独歩見守り、屋外シルバーカー歩行自立であった。 A氏は「夫のお見舞いに行きたい」「安全に買い物に行きたい」「家族旅行をしたい」という目標を掲げ、ほこトレに参加した。集団体操による座位保持能力の向上や、歩行・マシントレーニングによる耐久性・安定性の強化を図った結果、現在は屋内独歩自立、屋外杖歩行自立へと向上した。 これにより、一人で夫の面会へ行く頻度が増加し、徒歩10分のショッピングモールへも自信を持って買い物に出かけられるようになり、この経路が自主訓練の歩行コースとしても定着した。また、長距離移動への不安が解消されたことで、飛行機や電車を利用した県外への家族旅行も年数回楽しめるまでに至っている。A氏からは「みんなで応援し合えるのが嬉しい。ほこトレで頑張れているから、新しいことをする時も大丈夫と自信になっている」との発言が聞かれている。
【まとめ】ほこトレは、身体機能の向上と心理的活性化の両面で高い効果が得られ、参加者から高い満足度を獲得した。さらに対象基準を設けた運営により、事業所全体のリハビリ環境改善にも寄与した。今後は柔軟な運営体制の構築を検討し、利用者の「できるようになりたい」という思いに寄り添いながら、通所リハビリテーションの質向上を継続していきたい。
【方法】 ほこトレの実施内容は計60分とし、その内訳は、①運動指導士の指導の下で行う集団体操30分、②集団歩行訓練15分、③マシントレーニング15分とした。対象は日常生活が概ね自立し、トイレ動作が自立している利用者とした。歩行訓練時は参加者に万歩計を装着してもらい、6ヶ月間にわたり歩数を集計した。評価対象は、プログラム開始当初より参加している24名の歩数データを使用した。歩数データは、参加者ごとにプログラム参加時の歩行歩数の最大値を月毎に抽出し、その値を合計した歩数としている。そのデータを開始時・3か月目.6か月目で比較をした。さらに参加者43名を対象にアンケートを実施した。アンケート調査に回答を得られた31名分(回答率72%)を基に研究した内容を報告する。
【結果】
1.参加理由は「体力維持・向上」が最も多く18件(58%)、次いで「職員からの声かけ」8件(26%)であった。
2.参加満足度(1~10点評価)は平均7.8点であり、8~10点の高評価が21件(68%)を占めた。
3.身体的変化では68%が「変化あり」と回答し、「歩きやすくなった」等の改善がみられた。また、継続参加者24名の歩数合計は、開始時22,254歩、3ヶ月目27,320歩、6ヶ月目25,824歩であり、開始時と比較して段階的な歩行量の増加が客観的に裏付けられた。
4.精神的変化として、「毎回楽しみ」「自信がついた」「外出意欲が高まった」など、心理面や生活意欲の向上が多く報告された。
5.今後の要望として、トレーニングの強化、リラクゼーション、環境整備、自主訓練の支援、開催頻度の見直し等が挙げられた。
6.運営面では、対象者を絞ったことでリハビリ室の混雑が軽減し、機器利用の効率的な調整が可能となった。
【考察】アンケート結果および歩数データから、ほこトレは身体面・精神面の両面に好影響をもたらしたことが示唆された。特に「体力維持・向上」を目的とする参加が多かった点は、高齢者自身が健康維持への関心を高めていることを示しており、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が推奨する「多要素な運動」や「筋力トレーニング」の機会として、本プログラムが利用者の期待に応えられたと考えられる。身体面では、万歩計を用いた歩数集計において開始時の22,254歩から3ヶ月目(27,320歩)、6ヶ月目(25,824歩)と、当初を上回る歩行活動が確認され、集団体操、歩行訓練、マシントレーニングの組み合わせが基礎体力や歩行耐久性の向上に有効である可能性が示された。精神面でも、「楽しみが増えた」「自信がついた」といった前向きな変化が多く、集団参加による交流や達成感が心理的活性化につながった。一方で、「効果を実感しにくい」「時間が短い」との意見もみられた。今後は、ガイドラインが示す「毎日40分以上の身体活動(約6,000歩)」等の客観的目安を意識しつつ、個別目標の明確化や機能評価による効果の“見える化”を推進する必要がある。また、対象者を限定したことが、利用者支援だけでなく事業所内の動線改善や機器利用効率の向上にも寄与した点は、新規プログラム導入の組織的メリットとして注目される。
【症例紹介】本プログラムを通じて著明な改善がみられた事例を本人へのインタビューを基に紹介する。 対象は80代女性のA氏。退院当初は廃用症候群による運動制限がみられ、本人は県外への旅行などを諦めていた。利用開始時の歩行形態は、屋内伝え歩き・独歩見守り、屋外シルバーカー歩行自立であった。 A氏は「夫のお見舞いに行きたい」「安全に買い物に行きたい」「家族旅行をしたい」という目標を掲げ、ほこトレに参加した。集団体操による座位保持能力の向上や、歩行・マシントレーニングによる耐久性・安定性の強化を図った結果、現在は屋内独歩自立、屋外杖歩行自立へと向上した。 これにより、一人で夫の面会へ行く頻度が増加し、徒歩10分のショッピングモールへも自信を持って買い物に出かけられるようになり、この経路が自主訓練の歩行コースとしても定着した。また、長距離移動への不安が解消されたことで、飛行機や電車を利用した県外への家族旅行も年数回楽しめるまでに至っている。A氏からは「みんなで応援し合えるのが嬉しい。ほこトレで頑張れているから、新しいことをする時も大丈夫と自信になっている」との発言が聞かれている。
【まとめ】ほこトレは、身体機能の向上と心理的活性化の両面で高い効果が得られ、参加者から高い満足度を獲得した。さらに対象基準を設けた運営により、事業所全体のリハビリ環境改善にも寄与した。今後は柔軟な運営体制の構築を検討し、利用者の「できるようになりたい」という思いに寄り添いながら、通所リハビリテーションの質向上を継続していきたい。
