講演情報

[22-O-D002-02]BPSD症状のある高齢者へのユマニチュードの効果

*新垣 由莉華、佐藤 美寿貴、金城 敏乃、仲村 勇佑、永島 貴彦 (沖縄県 介護老人保健施設パークヒル天久)
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【はじめに】認知症の行動・心理症状(BPSD)は本人に困難な状況を生み出し、周囲の人々の介護負担を増やす原因となる。ユマニチュードの理念と技法を共通知識として持ちながら介護・リハビリテーションを行うことで、対象者にどのような変化が生じるのか、ユマニチュードケアを実践して職員がその効果をどのように感じたか検証を行った。【対象と方法】1. BPSD症状のある認知症高齢者3名を選定し、ユマニチュードを用いて日常生活ケアと自由会話、リハビリテーションを実施した。2.ユマニチュードを実践して職員がその効果をどのように感じたかアンケート調査を行った。アンケート項目はユマニチュードの理解度、ユマニチュードケアの効果、ユマニチュード導入による行動と意識の変化とした。【結果】1.大声と脱衣行為があった対象者は、肩や背中に触れて声かけを続けると徐々に落ち着き、着衣を直す際には協力動作がみられた。排泄ケアは声かけし了承を得てから介入しても途中から興奮状態となり拒否反応があらわれ、時間を空けて試みても同様の結果となることが多かった。家族を探して徘徊していた対象者は、目線を合わせて背中をさすり、傾聴続けると徐々に落ち着き、その後穏やかにリハビリテーションに参加された。家族の名前を大声で呼び不安や焦燥感がみられた対象者は、症状が悪化する前に介入し、肩や背中に触れながら傾聴していると落ち着き、徐々に表情が和ぐ変化が見られた。2.ユマニチュード実施後の職員の意識評価は、ユマニチュードの理念・技術の理解度は、理解しているが80%、20%が不十分との回答であった。BPSD症状に対するユマニチュードケアの効果は、効果があるが15%、ある程度効果があるが60%、あまり効果がないが20%、効果がないが5%という結果であった。ユマニチュード導入による職員の意識と行動の変化は、ユマニチュードの効果を実感した回答が最も多く、継続への意欲も示された。一方BPSD症状が強い対象者へ効果が感じられない対処困難感、多忙な業務の中でひとりひとりのご利用者とじっくり関わる時間を持つことの難しさに言及した回答も多く示された。【考察】 当施設でもユマニチュードケアがBPSD症状の軽減、増悪予防にある程度効果があることが示された。声のトーンや言葉のかけ方、体への触れ方に注意し相手の様子をよく観察しながらユマニチュードケアを実践できたケースでは、結果としてBPSD症状の改善に繋がり介入効果が示された。一方、ユマニチュードを実践して疑問も明らかとなった。ユマニチュードケアが有効ではなかった経験や、限られた時間の中で優先される日々のケアの積み重ねは、BPSD症状に対する無力感や介護者のストレスを増強させる要因となると考えられる。また、ユマニチュードの理解が足りないと感じている職員が一定数いたことや、ケアの場面でユマニチュードの内容を正しく実践できていないケースも確認された。以上のことから、ユマニチュードの理解・習熟度を高め、完璧ではなくてもよい、あきらめずできることから続けていくという意識をもち、対象者毎にBPSD症状が出現する状況を分析し予測を立てて関わり、業務の効率化を図り対象者と丁寧に関わる時間を増やすこと、を今後取り組むべき課題としてあげたい。【まとめ】 相手の状況を的確に把握し、心地よい感覚の提供や安心できる接し方でケアを始めることは、ケアを受ける側の苦痛と介護者の負担を軽減する効果的な取り組みであると考える。ユマニチュードの理解を深め、試行錯誤の中から導き出された方法を共有し、ケアを受ける側と介護者の信頼関係を築き、ケアを心地よいものとして受け入れてもらえるよう取り組んでいきたい。