講演情報

[22-O-L002-05]在宅生活継続への道 リハビリ主導のアプローチ~1ヶ月間の短期間入所利用者への取り組み~

*逸見 海斗、渡辺 恵、川野 佑子、竹本 祐士 (千葉県 介護老人保健施設ハートケア流山)
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【はじめに】
当施設では短期的に入所して、集中して課題に取り組む「リハビリ合宿」を提供している。今回、多職種と連携し日常生活の状況や生活環境を評価しながら転倒予防及び生活支援を実施した結果、一定の改善が得られ在宅の生活継続支援につながったので、その経過について報告する。なお、対象者には症例報告の内容についてあらかじめ十分に文章と口頭で説明し同意を得た。
【症例紹介】
氏名:A様 年齢:79歳 性別:女性 KP:長女(同居)
疾患名:腰椎圧迫骨折・不安障害・躁鬱
本症例は、パーキンソンニズムの出現に伴い2年ほど前から歩行障害や動作緩慢が進行し自宅で転倒を繰り返していた。原因追及のため受診していたが、確定診断には至らなかった。家族は転倒への不安や介護負担を感じており、利用者自身も身体機能低下への不安があり、当施設に1ヵ月入所し集中的なリハビリを受けることを希望された。
【経過】
1ヶ月間という短期間の入所希望であった。課題を明確にするため、通常は入所後に実施している「入所前後訪問指導」を入所4日前に行った。利用者が在宅中、実際の生活動作を確認することができた。在宅サービスで訪問看護(訪問リハ)を利用していたことから、要所に福祉用具が設置されていた。屋内を杖もしくは伝い歩きで移動しており、小刻み歩行や前傾姿勢、動作緩慢さが見られ転倒リスクは高いと評価した。常時見守りが必要な状況であった為、長女は数ヶ月前から介護休暇を取得して対応している状況であった。
入所初日には、パーキンソンニズムを主とする訪問時の様子を多職種と共有し、ベッド横に夜間用ポータブルトイレを設置するなど、施設で行える範囲で在宅に近い環境調整を行った。移動方法に関して、入所当初車椅子を使用したが、理学療法士が歩行評価を実施した上で、入所4日後にはT字杖歩行に移行した。日中の運動量を生活の中から確保できるように、介護士がT字杖歩行側方介助で、居室から食事席までの30mの距離を1日3往復以上行った。
リハビリテーションでは、短期集中リハとして20分の運動療法(体幹の柔軟性向上のためのストレッチ、筋力トレーニング、起居動作練習、歩行練習、立位バランス練習等)を実施した。また、ベッドサイドで行える自主トレーニングを指導し、易疲労性の利用者に対して少量頻回に運動機会を提供した。フロアリハビリとして、「いきいき体操」への参加も日課とした。 
入所後カンファレンスは、入所から10日後に改めて実施し、入所後の経過を踏まえて支援内容を再調整した。担当理学療法士は入所14日目頃より動作の円滑性や歩行速度の改善を感じていた。利用者は入所直後には環境変化にとまどう様子も見られたが、入所生活に順応し、入所18日後には「靴のベルトに手が届いた」「体が動きやすくなってきた」などの気づきが見られた。
退所前合同カンファレンスは、入所から32日後(退所前4日)にご自宅で開催した。利用者、家族、理学療法士、施設ケアマネ、居宅ケアマネ、訪問看護、福祉用具業者、デイサービス担当者が立ち合い、自宅の生活環境や在宅サービスの再調整を行った。
【結果】
運動機能評価を数値的に比較すると、入所初期と最終では短期間の介入でも大きな改善が見られた。(初期/最終)TUG:(98秒/43秒)、5m歩行:(12.0秒/10.4秒)、BBS:(20点/26点)。その他、上下肢MMT:(4/4)、HDS-R:(30点/30点)、BI:(55点/55点)と、変化を認めなかった。                                                 本症例はリハビリ合宿を35日間実施し、予定通り在宅生活を再開した。パーキンソンニズムに関しては、新たな専門医療機関への受診を利用者とご家族、居宅ケアマネに提案した。
【考察】
限られた短期間の入所の中で、課題を挙げ対策を講じて一定の効果を上げるために、多職種連携とスケジュール管理に重点をおいた。
運動療法と生活リズムの構築により、短期間であっても運動機能自体に改善がみられた。一方で、日常生活動作の自立度には大きな変化はみられなかった。入所サービスの利点として挙げられることは、昼夜問わず1日の様子を複数の専門職で観察できることにある。その上で、今後本症例の日常生活自立度の向上や家族の介護負担軽減を図るためにはパーキンソニズムへのアプローチが先決と考え、専門医療機関への受診を提案した。また、身体機能低下を予防するため入所前から利用していた在宅サービスを継続し、専門職による体調確認や運動機会を確保した。
【まとめ】
転倒予防には、筋力、動作訓練・環境調整を組み合わせた多面的な介入が重要である。また約1ヶ月という短い期間の入所であっても、利用者の課題を明確にして多職種連携を強化することで利用者に良い効果をもたらすことができた。全入所利用者への対応と方針は同じではあるが、短期利用のリハビリ合宿利用者に対しては、より一層スピード感をもったチームケアを実践していきたい。