講演情報

[22-P-L001-03]訪問リハビリテーション利用者満足度調査と課題抽出

*新坂 遼 (神奈川県 介護老人保健施設レストア横浜)
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【はじめに】当施設訪問リハビリテーションは、2018年度に設立された。横浜市南区に位置する当施設はこの地区唯一の老人保健施設であり、当訪問リハビリテーションでは施設サービス利用者の在宅生活のフォローアップと地域包括ケアシステムの一端を主に担っている。また[利用者・家族の選択を第1に][最後は自宅の畳の上で迎えて欲しい]を当訪問リハビリテーション部門の基本理念とし携わってきた。昨今では地域の訪問看護ステーションの新設や運動特化型デイサービス等の設立もあり、利用者の選択肢の幅は増えていっている。そこで今回、当訪問リハビリテーションのサービスの質の向上や利用者に寄り添った係わりが出来ているか、また地域における貢献度の評価基準にすることを目的に訪問リハビリテーション利用者の満足度調査を行ったため報告する。
【目的・方法】前述した基本理念が利用者・家族に伝わっているか、それらをどう評価されているか、訪問リハビリサービスとして利用者・家族、地域のNEEDSに応えられているかのフィードバックを図る目的で今回この満足度調査を実施した。調査は2025年1月に当時訪問リハビリテーションをご利用されていた12名に対しアンケートを実施した。女性9名、男性3名で年齢は平均81.7歳。介護度は要介護3が中央値を対象とした。基本的にアンケートの記載はサービスを受けている本人に依頼した。身体機能的・認知機能的に記載が困難または判断が困難な方に関しては、同居されている家族に代筆を依頼した。設問は全9項目で1~7点の7段階評価とし、「とてもよく当てはまる」が最高得点の7とした。設問内容としては、セラピストの接遇・マナーについて、リハビリプログラムの質について、サービスの質について問うものとした。アンケート結果を基に4点以上を肯定的意見、3点以下を否定的意見とし割合を数値化し分析を行った。分析結果を基により良いサービス提供が行えるよう具体的な対策を訪問リハビリスタッフミーティングにて協議し立案した。
【結果・考察】全9項目の回答(合計値)をすべて足し合わせた、全体的な評価では「とてもよく当てはまる」が55.6%「よく当てはまる」が33.3%「だいたい当てはまる」が7.4%「当てはまる」が2.8%で合計回答の約96%が肯定的な評価結果が得られた。全体評価としては、非常に高い満足度が得られていることが読み取れる。特に「療法士には何でも相談できる雰囲気がある」という項目で、最高評価の「とてもよく当てはまる」が最も多く(8票)集まっており、利用者・家族との信頼関係が築けていると感じた。また「相談のしやすさ」においても高い評価が得られておりスタッフの接遇面が利用者の満足度に大きく関与していると考える。普段より利用者・家族のHOPEやNEEDを聴取し利用者や家族の選択を第一に考えて周知・徹底してきたことがこの評価に繋がっていると実感した。「訪問リハビリプログラム(治療)は満足いくものだった」の項目でも回答のすべてが上位3段階以上(「だいたい当てはまる」以上)に集中しており、日々の臨床の相談や毎月のミーティングで行うサービスチェック表による自身のサービスの振り返りを行ってきたことが高評価に繋がっていると考える。しかし課題も明らかとなった。唯一「当てはまらない」という回答が1件あった項目が、最も根幹となる「訪問リハビリプログラム(治療)は、良質だった」という点だ。改善案として、ヒアリングの強化と目標設定の可視化を挙げた。ヒアリングの強化に関しては、訪問1カ月後など定期的にリハビリ担当者以外のスタッフが[期待していた内容とズレが生じていないか]を直接確認する場を設ける等を立案した。目標設定の可視化に関しては、利用者が「良質だ」と感じにくい原因は、効果が見えにくいことにある場合が多いと考え、写真や数値(歩行速度や関節可動域、筋力など)を使って変化を実感してもらうレポートを発行することや定期的に記録に残して提示すること挙げた。別の項目での課題としては、「質問や相談の対応が迅速かつ明確」という点について、最高評価「とてもよく当てはまる」の割合が他の項目と比較しやや低く、「だいたい当てはまる」が3票と評価が分散していた。この課題に対しては、レスポンスのルール化と情報共有ツールの活用を挙げた。相談を受けた際の[折り返し期限(24時間以内)]を事業所内で改めて徹底することや、担当者が不在でも他のスタッフが回答できるようにICTツール(チャットや共有カルテ)を活用し、誰が聞いても[即答できる]と体制を整えることが重要と考える。「リハビリの量(回数・時間)」においても「当てはまる」以下の回答が2票見られており、これは介護保険制度上の制限で増やせない場合も多い項目のため、自主トレーニングの提案で訪問時間以外の[空白の時間]を埋めるための自宅で行えるトレーニング動画やプリントを充実させ、[24時間リハビリに関わっている]という感覚を持ってもらうことや他サービスとの連携強化から生活全体の[活動量]を確保する提案力を高めていくことが今後重要になってくると考える。上記の改善策を施行し、当訪問リハビリテーションの質の向上を今後も継続的に図っていきたい。
【おわりに】今後、2045年以降は高齢者の人口も減少してくると予測されている。その中で当施設のサービスを選択していただけるように日々自身のサービスの振り返りは継続して行っていかなければならない。また、私自身のポリシーである[最後は自宅の畳の上で迎えて欲しい]を念頭にできる限り在宅での生活を継続できるように地域一丸となってサービスを利用する利用者・家族の生活を支えていきたい。