講演情報

[22-O-L009-03]集団筋トレによるリハビリ参加意欲の向上とその効果在宅復帰支援に向けた機能訓練の工夫

*仲原 伸之 (沖縄県 介護老人保健施設シルバーピアしきな)
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【はじめに】
当施設は沖縄県那覇市に位置し、開設34周年を迎える超強化型老健である。入所者95名、通所リハビリ25名を受け入れ、入所者の平均介護度は要介護3.2である。 入所者の多くは、入所直後は環境変化による戸惑いや、リハビリへの意欲を高く保てない方もいる。そこで当施設では、意欲向上とリハビリ参加の促進を目的に、毎日集団筋トレを実施している。
【目的】入所者の「リハビリへの参加意欲の向上」「ADL改善」「在宅復帰支援」を目的として、集団リハビリ(算定外)を積極的に導入し、その取り組み内容と意義を報告する。
【方法】
・実施場所:2階、3階ステーション前フロア
・時間:3階8:30~9:00、2階14:30~15:00
・実施者:当日出勤のリハビリスタッフ全員(PT/OT/ST/助手)に加え介護職員数名の協力
・内容:集団リハビリ(以下:集団筋トレ)下肢筋力強化を中心とした(1)~(12)メニュー。集団筋トレは、できるだけ立った状態で行う。
最初に大きく深呼吸してもらいプログラムスタート。(1) 立ち座り練習10回×2セット(起立20回)(2) バンザイ運動10回×2セット(3) 手拍子運動20回×2セット (4) 踵挙げ運動10回×2セット (5) つま先挙げ運動10回×2セット (6) スクワット運動10回×2セット (7) スクワット保持の運動20秒保持×2セット (8) 足踏み運動10回×2セット (9) 片足上げ運動 左右10秒保持×2セット (10)トイレ運動 大腿部編5回×2セット(11) トイレ運動 臀部編5回×2セット (12) 立ち座り練習10回×2セット(起立20回) 立ち座り動作だけでも合計50回。メニューの合間には大きく深呼吸。
集団筋トレ後には個別リハビリを実施し、集団で高めた意欲を個別訓練につなげている。
【経過(意義)】
各運動は、在宅復帰に必要なADL改善に役立つ事を目標に行っている。
バンザイ運動・手拍子運動:立った状態でバンザイや手拍子を行う。手を離しても安定して立てていることを目標。
足踏み運動:立った状態で足を床面に力強く踏み込むように足踏み運動を行う。一般的な足上げ運動と異なり、地面をしっかりと踏み込むことで歩行時の踏み込み力向上。骨に刺激を加え、骨粗鬆症の予防に役立てる事も期待。
トイレ運動(1):両手を大腿部の付け根に手を添えて膝までゆっくりと上げ下げする。
トイレ運動(2):両手を臀部に手を添えて膝の裏までゆっくりと上げ下げする。排泄時のズボンや下着類の上げ下げ動作に役立つ事を目標。
【症例】
80代前半・女性・要介護3。入所当初はリハビリへの参加意欲が乏しく、立ち座り動作も介助を要していた。声掛けを行っても「疲れるから今日はいい」と消極的な姿勢が多くみられた。しかし、他の入所者の元気な掛け声や賑やかな様子を見て、気になり初めたのか、参加し運動を行う場面が増え、次第に「今日もあるの?何時から?」と自ら声をかける様子がみられ、現在では、声掛けなしで参加するようになった。立ち座り動作は当初10回が限界であったが、現在ではプログラム内の50回の立ち座りを休憩を挟みながら何とかできるようになった。また、トイレ動作に関しては、立位困難であったが、トイレ運動を継続することで、ズボンの上げ下げ動作の介助量は軽減されている。本人からも「前より立てるようになった」との発言が聞かれ、ADL向上と意欲改善が確認できた。
【考察】当施設の在宅復帰を希望されるご家族の条件として、「自分で歩いてトイレまで行って欲しい」「トイレ動作が自立して欲しい」など、排泄動作に関する要望が多く聞かれる。その為、集団筋トレでは、立ち座り動作や、立位保持の練習、トイレ運動など、トイレでの排泄動作を想定したメニューとなっている。
また、集団で行うことで以下の効果が得られた。・消極的な入所者も周囲につられて参加しやすい・認知機能低下がある方でも、周囲の動きを模倣しやすい・入所者同士のコミュニケーションが増加・新規入所者が集団に受け入れられやすい・毎日の「楽しみ」として定着し、参加率が高い
リハビリ業務や進行をよりスムーズに行うためには、介護・看護職員など他部所との関りが重要と考える。介護スタッフによる活動中の入所者への補助や声掛け、誘導等、協力のおかげで参加率は95%以上を維持している。介護スタッフのリハビリへの意識が高くなり、リハビリスタッフのアドバイスを受けながら、個別の運動メニューを作成し、空いた時間を利用して歩行練習や起立練習など取り組まれている。また、面会に来られたご家族も、集団筋トレを頑張っている入所者の様子を応援されている場面も多くみられ、入所者の励みになり活気ある雰囲気になっている。
【課題】
・立ち座り動作が計50回と運動量が多く、膝痛・腰痛など関節痛のある入所者には負荷調整が必要
・こまめな声掛けや様子観察、痛みの有無の確認、必要に応じてSPO2の測定などを行いながら対応しています。
【終わりに】
集団筋トレは、(1)意欲向上 (2)ADL改善(特にトイレ動作・立ち座り・歩行)(3)入所者同士の交流促進 (4)介護スタッフのリハビリ意識向上 という多面的な効果をもたらしている。
集団筋トレは当施設のリハビリの基盤として重要な役割を果たしていると考える。
これからも集団筋トレを通して、心身の向上を図り、歩行能力やトイレ動作・移乗動作など・・ADL能力の向上を図ることで、在宅復帰への手助けになる様、今後もプログラムの見直しを行い、よりADL向上に資する内容へ改善していきたい。
集団筋トレを継続していく中で、介護・看護はもとより施設全体がリハビリへの意識が高まっていることが、何より嬉しい!ご清聴ありがとうございました。