講演情報

[22-O-L002-04]通所リハビリテーションにおけるリハビリ専門職の役割住み慣れた地域での生活を守るためにできること

*中田 美穂 (神奈川県 介護老人保健施設さつきの里あつぎ)
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【はじめに】
 近年、介護保険領域におけるリハビリテーションには、心身機能の改善のみならず、活動および参加の維持・向上を通じて、利用者が住み慣れた地域で生活を継続できるよう支援することが求められている。その実現のためには、利用者の心身機能だけでなく、生活課題や環境要因を包括的に評価し、多職種と連携しながら支援を行うリハビリテーションマネジメント(以下、リハマネ)が重要である。
 当施設の通所リハビリテーション(以下、通所リハ)では、利用者の生活機能をより多面的に評価する為、担当者だけでなく複数の理学療法士・作業療法士・言語聴覚士(以下、リハビリ専門職)が評価に関わる体制を整えている。多職種との情報共有、生活環境を踏まえたリハマネを実践し、リハビリ専門職が主体となって利用者の生活の維持・向上および重度化防止に取り組んでいる。今回、利用者の介護度および日常生活動作の変化を比較し、その結果から通所リハにおけるリハビリ専門職の役割について検討したので報告する。
【対象と方法】
 2026年3月時点で利用継続中の111名を対象とした。利用者内訳は男性37名(33.3%)、女性74名(66.7%)。平均年齢82±8.5歳、利用期間中央値36か月(範囲0~311か月)であった。利用開始時の要介護度の内訳は、要支援1が4名、要支援2が3名、要介護1が21名、要介護2が27名、要介護3が25名、要介護4が22名、要介護5が9名であった。
 利用開始時と2026年3月時点の要介護度およびBarthel Index(以下、BI)を比較し、改善・維持・低下の割合を調査した。また、BI低下群における介護度の変化についても検討した。
【結果】
 利用者111名のうち81名(73%)で介護度の維持または改善が認められた。改善38名(34%)、維持43名(39%)であった。利用開始時に要介護3以上であった56名中、37名に介護度の変化がみられた。改善31名(55%)、低下6名(11%)であった。
 BIの変化では、改善46名(41%)、維持32名(29%)、低下33名(30%)であった。BIが低下した33名のうち17名(51%)では介護度の維持または改善が認められた。BIが低下した利用者に対しては、介助方法の見直しや生活場面を踏まえた支援、多職種との情報共有を行い、介護度の維持または改善につながった事例が認められた。
【考察】
 本結果では、利用者の73%に介護度の維持・改善が認められた。また、利用開始時に要介護3以上であった利用者でも介護度の維持・改善が多く認められた。利用開始時に要介護3以上であった利用者の多くは、初回の認定であったことや病気・怪我による入院後、区分変更を受け退院に合わせて利用を開始していた。退院後は心身機能の低下に加え、生活上の支援を多く必要とすることから、介護度が高く認定される傾向にあると考えられる。このような利用者に対し、相談から利用開始までの期間を短縮し、退院前のカンファレンスへの積極的な参加や退院早期の訪問・評価を通して生活状況を把握することが重要である。その上で、利用者の状態に応じた環境調整を行い状況の変化に合わせた支援内容を継続的に評価・見直すことが、その後の介護度の改善につながると考える。
 介護度の維持・改善が認められた利用者の中には、BIが低下した利用者も含まれていた。BIは心身機能や日常生活動作能力を反映する指標であるが、介護度は心身機能だけでなく、生活環境や介助方法、家族支援など複数の要因の影響を受ける。そのため、今回BIが低下した利用者の約半数に介護度の維持・改善が認められたことは、利用者本人の心身機能や日常生活動作能力のみでは生活機能を評価できないことを示している。加齢に伴う心身機能の低下や疾患の進行などによりBIが低下していても利用者の変化に応じて、リハビリ専門職による多角的な評価や、評価に基づいた自宅訪問、多職種への情報共有を継続して行うことで介護度の維持・改善に寄与したのではないかと考える。
 以上のことから、通所リハにおけるリハビリ専門職は、評価や訓練を行うだけではなく、利用者の変化を総合的に評価し、多職種へ必要な情報を発信し、支援方針を調整・構築する役割が求められていると考えられた。
【おわりに】
 当施設の通所リハでの取り組みから、リハビリ専門職は心身機能の評価や個別訓練の提供だけでなく、生活全体を評価し、多職種をつなぐ中心的な役割を担うことが必要であると考える。近年では利用者の心身機能の向上や生活機能の自立が図れても介護者の高齢化など、本人を取り巻く環境の変化で介護度が低下する事例も多くなってきていると感じる。このことから、利用者本人だけでなく利用者を取り巻く環境に対して今以上に支援を行っていくことが必要になってくると考える。今後も生活機能を重視した支援を継続し、利用者の住み慣れた地域での生活を維持できるように尽力していきたい。