講演情報
[22-P-L003-05]当施設通所リハビリにおける要支援利用者への関わり方
*松嶋 優衣1、奥村 恵子2、鈴木 町子2、吉岡 裕美2 (神奈川県 1. 介護老人保健施設リハパーク舞岡、2. 介護老人保健施設リハパーク舞岡)
【はじめに】当施設は平成22年4月より通所リハビリテーション(以下通所リハビリ)を開始し、平成29年11月に3~4時間の短時間型通所リハビリを開始した。平成27年の介護保険改正以降、要支援利用者(以下利用者)へは総合事業への移行を促し、新規受け入れを中止していた。しかし、リハビリ難民となってしまっている利用者の利用希望が多く、令和4年9月より短時間型通所リハビリでの利用者新規受け入れを開始。現在まで66名の利用者に対し、リハビリを提供してきた。今回の発表では、利用者に対し充実したリハビリを提供するための取り組みを行なった為、その経過を報告する。【背景】リハパーク舞岡では、利用者へのリハビリメニューとして、集団体操、パワーリハビリテーションの2点を中心に実施。セラピストによる毎回の個別介入は原則として行わず、動作能力の評価を基に、介護職員による機能訓練(以下介護リハビリ)を実施している。また、月1回第3週目の体力測定による定期的な評価、各利用者の身体機能や目標に合わせた自主トレーニングの作成・指導等を適宜実施している。支援を継続するうちに、利用者より「もっとリハビリの先生と相談がしたい」「リハビリをたくさんやりたい」という希望が聞かれた。しかし、要介護利用者への個別介入やリハビリテーション会議等に時間が割かれ、セラピストが利用者に関わる時間を持つことが難しいという課題が挙がった。【対象】支援期間:令和7年5月1日~令和8年5月30日対象:短時間型通所リハビリの利用者32名(要支援1が11名、要支援2が21名)【方法】① 介入時間の確保(令和6年5月~)・これまでは介護職員主導で体力測定を実施していたが、セラピストが体力測定を実施。体力測定期間中は介護職員と連携し介護リハビリを充実させることで、要支援者と関わる時間を確保した。・体力測定の実施と共に、利用者に対し運動負荷量・利用中の疲労度・リハビリメニューの充実度の聞き取りを行う時間を設けた。② 自主トレ指導の強化(令和6年5月~)・自宅での自主的なリハビリを促すため、当施設で開設しているYoutubeチャンネルを紹介し、運動の参考としてもらった③ リハビリテーション会議、家屋調査の実施(令和6年6月~)・利用開始より1年経過以降、3ヶ月に1回のリハビリテーション会議を実施し、リハビリの目標・進行具合を相互確認した。・通所送迎時間などを利用し、再度家屋調査を実施。現状の生活課題や環境調整を改めて行なった。④ プリント作成(令和7年3月~)・自主トレーニング移行のためには、通所リハビリのフロア内移動を自立とする必要があることから、椅子からの起立・着座方法、方向転換動作、歩行補助具の使用、周囲の人や環境への配慮の4項目を記載したプリントを作成。利用者に説明し、早期の移動自立を図った。・短時間型通所リハビリで実施するリハビリメニューの内容、身体機能評価(体力測定)の説明を書いたプリントを利用初日に配布した。⑤ アンケート調査調査期間:令和7年7月22日~令和7年7月30日内容:(1)当施設のリハビリの満足に満足しているか(2)身体状況をリハビリ職員に相談できているか(3)リハビリへの進め方は分かりやすいか(4)配布したプリントは分かりやすいか(5)通所利用以外も活動的に過ごせているかの全5項目を4段階評価および自由記載にて回答を求めた。【結果】① 介入時間を確保した事で、利用者の身体状況を定期的に把握する事が可能となり、運動負荷やリハビリメニュー変更までの時間が短縮された。② 利用者より「自分の体に合った自主トレーニングを教えてもらえたので、自宅でもやっている」と話が聞かれた。ご家族からは、「教えてもらったYoutubeを見て夫婦二人で体操しています」との意見を頂く等、ご家族と利用者が関わる時間の増加に繋げる事が出来た。③ 利用者より「会議で相談したことで色々と教えてもらえて参考になった」と発言が聞かれた。また、家屋調査で必要な課題を明確化する事で、必要な介護リハビリの追加に繋げる事が出来た。④ 移動時の注意点を利用者に配布する事で、移動自立に向けた目的意識が明確化した。また、配布した内容を介護職員と情報共有する事で、過介助ではなく自分で取り組んでもらう為の見守り支援や、声掛けの強化に繋がった。⑤ (1)当施設のリハビリに「満足している」と回答した利用者が70.9%を占めた。(2)「十分に出来ている」と回答した利用者が38.7%、「やや出来ている」の回答が41.9%となった。(3)「とても分かりやすい」の回答が25.8%、「分かりやすい」と回答した方が51.6%となった。「少し分かりにくい」と回答した利用者は16.1%となった。(4)令和7年度より開始したプリントの内容の分かりやすさを聴取した所「分かりやすい」と「未回答」がどちらも37.5%であった。(5)「やや感じる」に回答した方が最も多い40.6%であった。【考察】今回、利用者に対し評価に特化した期間を設けることで、身体状況の把握と目標に向けたプランニングがスムーズになった。毎月の聞き取りやリハビリテーション会議を実施することで利用者からの意見が汲み取りやすくなり、個々に合わせた目標設定に合わせた介護リハビリの追加や、自主トレーニング移行までのスピードアップに繋がり、リハビリの充実を図ることができた。一方で、令和7年度から導入したプリント配布の取り組みについては、利用者への理解や定着が至れていない可能性も考えられ、今後も継続した説明が必要である。【結語】リハビリメニューの概要や移動自立のポイントを視覚化して情報共有することで、利用者本人が“してもらうリハビリ”ではなく、“自ら取り組むリハビリ”へと意識を変え、意欲の向上、満足度の向上にも繋がったと考えられた。
