講演情報

[22-O-L007-06]趣味活動を取り入れたリハビリテーションの一例施設生活を楽しく思い出のあるものに

*仲 陽南、洞 巧介 (愛知県 介護老人保健施設ジョイフル名駅)
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【はじめに】
リハビリ開始時から利用者の人生史や作業歴を伺い、仕事と趣味活動が生活の中心となっていたことが分かった。目的のある作業が認知症の中核症状の進行と、行動・心理症状の出現に予防効果があると言われているため、リハビリテーションに趣味活動を取り入れた結果、認知症の中核症状とBPSDの改善を図ることができたため報告する。
【目的】
認知症の中核症状の予防、BPSDの改善を図り、施設内で安心した生活を送る。
【方法】
入所から3か月間は週5回1回20分の短期集中リハビリテーション、入所から3か月以降は週2回1回20分の個別リハビリテーションを実施。HDS‐R、ADOC、行動観察で評価を行い、認知症の中核症状とBPSDの経過を辿る。
【事例紹介】
A氏。80歳代。女性。要介護2。認知症高齢者自立度:Ⅱb。結婚はしておらず、50年間看護師として仕事を中心に過ごされていた。茶道の表千家の同門会に所属し、華道や書道も楽しまれていた。看護師時代の後輩や家族との仲も良好で、その人が喜ぶようなプレゼントをしていた。 
環境は独居でヘルパー、配食サービス、ショートステイの利用歴あり。
【入所時のリハビリ評価】 
入所時、施設内のADLは基本動作、トイレ動作自立。入浴、食事は見守り。日常会話は可能でHDS‐R:18点。同じ話を何度もされ、離設リスクも高く、荷物をまとめエレベーターホールで過ごす場面があった。ADOCでは①茶道②華道③俳句④書道⑤友人との外食を重要だと考える作業項目に選択している。「運動はあまりやりたくない」と発言あり。家屋訪問を行った際の自宅環境は物へのこだわりが強く、収集癖がありものを捨てることができず着物や食器が部屋に散乱している。入所中の洗濯は業者対応であるが、本人が拒否し、居室洗面で手洗いをしている。
【介入経過(入所から3か月まで)】 短期集中リハビリテーション中はプログラム内容を曜日で固定し、月曜日と水曜日と金曜日は運動プログラム、火曜日が俳句会、木曜日に習字を実施。リハビリの時間は13時からに固定した。「明日は火曜日だから俳句会です。」とその日のリハビリ終了時に次回のリハビリの内容を伝えることで、当日の時間になるとフロアのエレベーター前の椅子で作業療法士(以下OTR)が来るのを待つ様子がみられた。 
入所時は運動プログラムに消極的ではあったが、拒否はみられず、積極的に取り組まれている。歩行訓練、階段昇降訓練を中心に実施し、階段昇降では2フロア分の往復が可能になった。 
俳句会では他利用者とOTRの3人で行う。事前にネタ帳に記帳し俳句会に参加され、俳句会で3つの句を発表していた。季語を入れるよう努力されており、季節感を味わうことができていた。 
ペン習字では2文字熟語のペン習字を行った。OTRから字を褒められると謙遜した発言が見られるも笑顔も多く見られた。 
短期集中リハビリテーション終了後の週2回の個別リハビリテーションでは火曜日を俳句会、木曜日を運動プログラムと曜日を固定した。また、月に1回のお茶会も取り入れた。俳句会の継続により引き続き、リハビリ時間以外にも俳句を作成されている。お茶会の1回目はOTRがA氏の弟子のような立ち振る舞いをし、OTRがA氏に茶道に必要な道具やお作法を事前に学び、A氏に関りのある職員に振舞ってもらった。お茶会当日にA氏の部屋に訪室すると化粧を施し、いつもとは違うキレイ目な服装でOTRが来るのを待っていた。慣れた様子でお茶をたて、振舞う相手に対し、茶道についての知識を披露し、終始にこやかに過ごしていた。
【結果】
HDS‐R:23点。離設リスク減少。運動プログラムに対しての拒否はなし。ADOCでは重要だと考える作業として①家の整理②友人との交流③外食④仕事⑤買い物を挙げている。④仕事については「実はね、仕事がやりたいの。この歳になってもだけど。茶道とか華道に関わる仕事がいいね」、「茶道は特にずっとやってきたからずっと行っていきたい」との意欲的な発言が見られた。収集癖の様子は変わらず、お茶会で使用する茶器はOTRが管理をしていたが、数回目のお茶会を終え、茶器を片付けるときに「なんで持っていくの?私のものなのに!!!」と大声を荒げ、茶器を回収できないことがあった。業者洗濯の拒否は継続している。
【考察】 
離設リスクがあるA氏に対し、馴染みのある趣味活動を取り入れたリハビリテーションを行った。その結果、早期に環境になれることができ、離設リスクが減少した。また俳句会の実施やお茶会の実施で季節の感覚を保つことができ、多少のズレはあるが日付の見当識の改善をすることができた。趣味活動を通してA氏のやりたいことが直接行うことができたため、OTRとの関係性も良好になった。よって、消極的だった運動プログラムの受け入れも良好になった。また、ADOCで重要だと考える作業の項目で入所時はICFでいう活動にあたる項目を挙げることが多かったが、趣味活動を継続してからはICFでいう参加の項目への変化が見られた。OTRとの距離が縮まることにより、本当にやりたいことの聴取が可能になり、意欲の向上を図ることができた。俳句会を行うことで日常的に俳句を作成しているため、落ち着いた様子で日中を過ごすことができた。認知機能の中核症状、施設内でのBPSDの改善はできたが、収集癖や洗濯など物へのこだわりを改善することができなかった。今後も趣味活動を通して認知機能の維持、本人が楽しいと思える施設生活が送れるようリハビリテーションを行っていく。