講演情報
[23-P-JH-01]膀胱カテーテル抜去の試み~抜去してみよう、けっこうイケるぞ~
*松島 俊裕 (奈良県 宇陀市介護老人保健施設さんとぴあ榛原)
【はじめに】膀胱カテーテルの長期留置は、排泄行為の尊厳を侵害し、また生活動作制限のためQOLを低下させる。事故抜去・引っ掛かり・管折れなどインシデントの原因となり、また尿路感染症のリスクとなる。介護老人保健施設(以下、老健施設)では専門診療科による排尿機能の医学的評価が難しい一方で、急性期病院よりも長いケア時間軸の中で集団生活・リハビリテーション・栄養管理を提供できる利点がある。全身状態の改善に伴って、排尿機能の自然回復が見込まれると考えた。当施設では以前に、評価されずに膀胱カテーテルが長期留置される場面があったのは否めない。
【目的】膀胱カテーテル抜去の手順を確立する。また、試験抜去の成功率を集計する。
【方法】令和7年4月から令和8年6月までの1年3か月間に、入所者本人(意思確認が難しい場合は家人)の希望を聴取しつつ、適時の試験抜去を行った。予定されていたカテーテル交換日に、直ちに再留置するのではなく、早朝に抜去して排尿経過を観察した。抜去の成功可否は、日勤帯の自力排尿有無、理学的な下腹部膨隆、迷う場合は隣接病院から超音波診断装置を借りて判断した。必要に応じて薬物療法を併用した。下部尿路通過性を改善する目的で、当施設では男性にシロドシン、女性にはウラピジルを選択した。
【結果】集計期間中に11人の膀胱カテーテル留置の入所利用があった。褥創治療のためカテーテル留置に医学的必要性がある1人を除く10人(男性4人、女性6人)、平均86.3歳の集計を行った。当施設で留置したのは1人で、残り9人は急性期病院で留置されていた。試験抜去について説明したところ、10人全員が希望した。初回の試験抜去で再留置となり、複数回の試験抜去を行った者が3人あった。カテーテルを抜去して、結果的に自力排尿で安定(抜去成功)したのは10人中7人であった。男女別では男性4人中3人、女性6人中4人であった。抜去成功率に明らかな性差を認めなかった。
男性の再留置者(抜去不成功)は80歳代前半、進行した認知症、排尿機能低下の利用者である。シロドシンの投与下で試験抜去に成功したが、4か月後に排尿不安定から不穏不眠となり、再留置に至った。
女性の再留置者(抜去不成功)は90歳代前半と70歳代後半である。2人ともパーキンソン病関連疾患(パーキンソン病・レビー小体型認知症)であった。90歳代前半のレビー小体型認知症患者は2回目の試験抜去でも自尿が得られなかったことに加えて、ウラピジル内服で起立性低血圧による失神を合併した。70歳代後半のパーキンソン病患者は急性期病院でも複数回の試験抜去歴があり、老健施設で2回目以降の試験抜去を希望しなかった。
薬物に関して、試行錯誤しつつ処方方略を調整した。男性は下部尿路通過障害の可能性が低い場合は処方薬なし、可能性がある場合にシロドシンを試験抜去前日から投与した。抜去成功3人中3人全員にシロドシン継続処方となった。女性では薬物なしで初回の試験抜去に臨んだ。2回目の試験抜去時に前日からのウラピジル投与を検討した。成功4人中1人にウラピジル継続処方となった。
【考察】10人という少人数の集計であり、統計学的な評価は困難である。当施設の集計では10人中7人が抜去成功であった。尊厳・QOL・安全管理・感染予防の観点から、老健施設で積極的な膀胱カテーテル試験抜去を推奨する。
【目的】膀胱カテーテル抜去の手順を確立する。また、試験抜去の成功率を集計する。
【方法】令和7年4月から令和8年6月までの1年3か月間に、入所者本人(意思確認が難しい場合は家人)の希望を聴取しつつ、適時の試験抜去を行った。予定されていたカテーテル交換日に、直ちに再留置するのではなく、早朝に抜去して排尿経過を観察した。抜去の成功可否は、日勤帯の自力排尿有無、理学的な下腹部膨隆、迷う場合は隣接病院から超音波診断装置を借りて判断した。必要に応じて薬物療法を併用した。下部尿路通過性を改善する目的で、当施設では男性にシロドシン、女性にはウラピジルを選択した。
【結果】集計期間中に11人の膀胱カテーテル留置の入所利用があった。褥創治療のためカテーテル留置に医学的必要性がある1人を除く10人(男性4人、女性6人)、平均86.3歳の集計を行った。当施設で留置したのは1人で、残り9人は急性期病院で留置されていた。試験抜去について説明したところ、10人全員が希望した。初回の試験抜去で再留置となり、複数回の試験抜去を行った者が3人あった。カテーテルを抜去して、結果的に自力排尿で安定(抜去成功)したのは10人中7人であった。男女別では男性4人中3人、女性6人中4人であった。抜去成功率に明らかな性差を認めなかった。
男性の再留置者(抜去不成功)は80歳代前半、進行した認知症、排尿機能低下の利用者である。シロドシンの投与下で試験抜去に成功したが、4か月後に排尿不安定から不穏不眠となり、再留置に至った。
女性の再留置者(抜去不成功)は90歳代前半と70歳代後半である。2人ともパーキンソン病関連疾患(パーキンソン病・レビー小体型認知症)であった。90歳代前半のレビー小体型認知症患者は2回目の試験抜去でも自尿が得られなかったことに加えて、ウラピジル内服で起立性低血圧による失神を合併した。70歳代後半のパーキンソン病患者は急性期病院でも複数回の試験抜去歴があり、老健施設で2回目以降の試験抜去を希望しなかった。
薬物に関して、試行錯誤しつつ処方方略を調整した。男性は下部尿路通過障害の可能性が低い場合は処方薬なし、可能性がある場合にシロドシンを試験抜去前日から投与した。抜去成功3人中3人全員にシロドシン継続処方となった。女性では薬物なしで初回の試験抜去に臨んだ。2回目の試験抜去時に前日からのウラピジル投与を検討した。成功4人中1人にウラピジル継続処方となった。
【考察】10人という少人数の集計であり、統計学的な評価は困難である。当施設の集計では10人中7人が抜去成功であった。尊厳・QOL・安全管理・感染予防の観点から、老健施設で積極的な膀胱カテーテル試験抜去を推奨する。
