講演情報
[22-O-L003-07]訪問リハ介入による生活空間とQOLの変化LSAとQOL-HCを用いて
*宮森 仁、太田 将志、田仲 慧太、野原 光稀 (沖縄県 介護老人保健施設 陽光館)
「はじめに」わが国では、令和6年10月時点で高齢化率は29.3%に達しており、訪問リハビリテーション受給者も増加傾向にある。訪問リハビリテーションは、居宅要介護者に対し心身機能の維持回復および日常生活の自立を支援することを目的として実施される。また、生活期リハビリテーションの目標は、QOLの向上や二次的障害の予防にあるとされている。しかしながら、これまでの研究はADLに関する報告が多く、生活空間やQOLに着目した研究は十分とはいえない。当事業所では訪問リハビリの利用に際し、心身機能の維持回復及び日常生活の自立の目的に合わせて、QOLの向上や生活空間の拡大に注力している。
「目的」そこで本研究では、訪問リハビリテーション利用者における生活空間およびQOLの変化とその関連性について検討することを目的とした。
「方法」令和7年9月から令和8年3月までに当事業所の訪問リハビリを利用された要支援1から要介護5の利用者26名(男性8名、女性18名、平均年齢80.8±9.5歳、要支援1/3名、要支援2/6名、要介護1/3名、要介護2/5名、要介護3/4名、要介護4/4名、要介護5/1名)を対象とした。除外基準として、状態著変等により急性期病院へ入院となった者、死亡した者、欠損データがある者、高次脳機能障害の診断がある者、利用者様の協力が得られなかった者とした。
主要評価項目を以下の2項目とした。
①生活空間の評価方法生活空間の評価には、Life-Space Assessment(以下LSAと略す)を用いた。LSAは日常生活で最近4週間に移動した範囲を5段階に分類する。移動の範囲と頻度(4段階)および自立度(3段階)によって活動量を得点化し、それぞれのレベルでの得点の合計により120点満点で評価する。
②QOLの評価にはQOL for patients receiving home care(以下QOL-HCと略す)を用いた。「はい」「どちらともいえない」「いいえ」の3段階で回答しそれぞれ2点、1点、0点を加算するスケール。第4問までの合計点が低いほどQOLが低く、高いほどQOLが高い事を示す。上記評価を令和7年9月と令和8年3月の2回実施し、対象者の各指標の差に(令和8年3月―令和7年9月)Shapiro-Wilk検定を実施し、正規分布に従った項目はT検定を、従わない項目はWilcoxonの符号付順位和検定で各変数の前後比較を行った。なお有意水準は5%とした。統計手法について、統計解析ソフトはEZRを用いた。
「結果」本研究では、対象者26名に対し、令和7年9月と令和8年3月のLSAおよびQOL-HCの変化について検討した。
各差(3月-9月)にShapiro-Wilk検定を実施した。結果、LSAの差は正規分布に従わず(p<0.001)、QOL-HCも正規性は認められなかった(p<0.001)。
このため、9月と3月の比較にはWilcoxon符号付順位和検定を用いた。
その結果、LSAは9月と3月の値に有意な変化を認めた(p<0.001)。同様に、QOL-HCにおいても有意な変化が認められた(p<0.01)。
「考察」本研究では、訪問リハビリテーションの利用者を対象に対し、令和7年9月から令和8年3月までの6ヶ月間にわたり介入を実施した結果、生活空間(LSA)の拡大及び主観的QOL(QOL-HC)の変化において有意な改善が見られた。
高齢者の移動および生活空間は、身体機能に加えて認知機能、心理・社会的要因、環境要因など複数の要因が相互に関連して規定されるとされている。本研究において認められた生活空間の拡大は、これら複合的要因に対する包括的介入の効果による可能性が示唆される。具体的には移動能力の向上を目的とした身体機能へのアプローチに加え、不安感や加齢に伴う行動制限といった心理的要因に対する行動変容への介入、さらに歩行補助具の選定や住環境の調整といった環境要因への対応および家族指導や介護サービスの提案などの社会的要因への働きかけ等を実施した。これら対象者の個別性に応じた多面的かつ包括的な介入が、生活空間の拡大に寄与したものと考えられる。
QOL-HCにおいても有意に改善しており、訪問リハビリテーションが主観的健康感や生活満足度に対して一定の好影響を与えたことが示唆された。QOLは、身体的健康のみならず心理的側面や社会的関係性、生活環境など複数の要素から構成されることが報告されている。訪問リハビリテーションによる身体機能の改善に加え、対象者が抱える生活課題への介入や不安感の軽減といった心理面及び環境面への介入、個別的関りを通じた社会的繋がりの強化や信頼関係の構築などが、主観的QOLの改善に寄与した可能性が考えられる。
本研究の結果は、訪問リハビリテーションにおいて生活空間の拡大のみを目標とするのではなく、対象者にとって意味のある活動や社会参加、役割の再獲得といった質的側面に着目した介入の重要性を示唆するものである。すなわち、「どこまで行けるか」という量的評価に加え、「どのように生活しているか」という主観的側面を統合的に評価・支援する必要がある。
「終わりに」本研究にはいくつかの限界が存在する。第一に多面的評価が十分ではなく、各改善に要因を与えた相対的寄与を明確に出来ていない点が挙げられる。 今後は、身体的・心理的・社会的側面を包括的に評価可能な指標を用いた多面的評価の導入とともに、介入内容との関連をより精密に検討する事が求められる。また、対照群を設定した研究デザインや長期的フォローアップの実施により、介入効果の持続性および因果関係の検証を進める必要がある。
「倫理的配慮」対象者や家族へ本研究を実施するにあたり研究目的、研究協力の有無により不利益が生じない事について説明し同意を得た。写真等に関してはご本人様が特定されないよう配慮することを説明し、文書にて説明し同意を得た。本研究は当法人倫理委員会で承認を受けた。
「目的」そこで本研究では、訪問リハビリテーション利用者における生活空間およびQOLの変化とその関連性について検討することを目的とした。
「方法」令和7年9月から令和8年3月までに当事業所の訪問リハビリを利用された要支援1から要介護5の利用者26名(男性8名、女性18名、平均年齢80.8±9.5歳、要支援1/3名、要支援2/6名、要介護1/3名、要介護2/5名、要介護3/4名、要介護4/4名、要介護5/1名)を対象とした。除外基準として、状態著変等により急性期病院へ入院となった者、死亡した者、欠損データがある者、高次脳機能障害の診断がある者、利用者様の協力が得られなかった者とした。
主要評価項目を以下の2項目とした。
①生活空間の評価方法生活空間の評価には、Life-Space Assessment(以下LSAと略す)を用いた。LSAは日常生活で最近4週間に移動した範囲を5段階に分類する。移動の範囲と頻度(4段階)および自立度(3段階)によって活動量を得点化し、それぞれのレベルでの得点の合計により120点満点で評価する。
②QOLの評価にはQOL for patients receiving home care(以下QOL-HCと略す)を用いた。「はい」「どちらともいえない」「いいえ」の3段階で回答しそれぞれ2点、1点、0点を加算するスケール。第4問までの合計点が低いほどQOLが低く、高いほどQOLが高い事を示す。上記評価を令和7年9月と令和8年3月の2回実施し、対象者の各指標の差に(令和8年3月―令和7年9月)Shapiro-Wilk検定を実施し、正規分布に従った項目はT検定を、従わない項目はWilcoxonの符号付順位和検定で各変数の前後比較を行った。なお有意水準は5%とした。統計手法について、統計解析ソフトはEZRを用いた。
「結果」本研究では、対象者26名に対し、令和7年9月と令和8年3月のLSAおよびQOL-HCの変化について検討した。
各差(3月-9月)にShapiro-Wilk検定を実施した。結果、LSAの差は正規分布に従わず(p<0.001)、QOL-HCも正規性は認められなかった(p<0.001)。
このため、9月と3月の比較にはWilcoxon符号付順位和検定を用いた。
その結果、LSAは9月と3月の値に有意な変化を認めた(p<0.001)。同様に、QOL-HCにおいても有意な変化が認められた(p<0.01)。
「考察」本研究では、訪問リハビリテーションの利用者を対象に対し、令和7年9月から令和8年3月までの6ヶ月間にわたり介入を実施した結果、生活空間(LSA)の拡大及び主観的QOL(QOL-HC)の変化において有意な改善が見られた。
高齢者の移動および生活空間は、身体機能に加えて認知機能、心理・社会的要因、環境要因など複数の要因が相互に関連して規定されるとされている。本研究において認められた生活空間の拡大は、これら複合的要因に対する包括的介入の効果による可能性が示唆される。具体的には移動能力の向上を目的とした身体機能へのアプローチに加え、不安感や加齢に伴う行動制限といった心理的要因に対する行動変容への介入、さらに歩行補助具の選定や住環境の調整といった環境要因への対応および家族指導や介護サービスの提案などの社会的要因への働きかけ等を実施した。これら対象者の個別性に応じた多面的かつ包括的な介入が、生活空間の拡大に寄与したものと考えられる。
QOL-HCにおいても有意に改善しており、訪問リハビリテーションが主観的健康感や生活満足度に対して一定の好影響を与えたことが示唆された。QOLは、身体的健康のみならず心理的側面や社会的関係性、生活環境など複数の要素から構成されることが報告されている。訪問リハビリテーションによる身体機能の改善に加え、対象者が抱える生活課題への介入や不安感の軽減といった心理面及び環境面への介入、個別的関りを通じた社会的繋がりの強化や信頼関係の構築などが、主観的QOLの改善に寄与した可能性が考えられる。
本研究の結果は、訪問リハビリテーションにおいて生活空間の拡大のみを目標とするのではなく、対象者にとって意味のある活動や社会参加、役割の再獲得といった質的側面に着目した介入の重要性を示唆するものである。すなわち、「どこまで行けるか」という量的評価に加え、「どのように生活しているか」という主観的側面を統合的に評価・支援する必要がある。
「終わりに」本研究にはいくつかの限界が存在する。第一に多面的評価が十分ではなく、各改善に要因を与えた相対的寄与を明確に出来ていない点が挙げられる。 今後は、身体的・心理的・社会的側面を包括的に評価可能な指標を用いた多面的評価の導入とともに、介入内容との関連をより精密に検討する事が求められる。また、対照群を設定した研究デザインや長期的フォローアップの実施により、介入効果の持続性および因果関係の検証を進める必要がある。
「倫理的配慮」対象者や家族へ本研究を実施するにあたり研究目的、研究協力の有無により不利益が生じない事について説明し同意を得た。写真等に関してはご本人様が特定されないよう配慮することを説明し、文書にて説明し同意を得た。本研究は当法人倫理委員会で承認を受けた。
