講演情報
[22-P-L001-02]生活空間範囲の拡大における訪問リハの有効性の検討
*守屋 智史 (埼玉県 老人保健施設鶴ヶ島ケアホーム)
【はじめに】
地域在宅高齢障害者のリハビリにおける目標は個々様々だが、大別すると(1)生活機能維持(2)社会参加促進が主であると考えられる。なかでも訪問リハビリの対象者は身体機能低下による外出機会減少、生活空間狭小化、社会参加制限となる傾向が多く、そのため訪問リハビリの利用が長期化することも多くなっている。
【目的】
当訪問リハビリを比較的長期に利用したことで、身体機能と生活空間・範囲の拡大が図れているのか有効性を検討する。あわせて介入目標による(1)生活機能維持群、(2)社会参加促進群との差、全体のうち歩行自立者を(3)歩行自立群として身体機能と生活空間・範囲についての検討を行う。
【方法】
対象者はR6.9~R7.6において訪問リハビリを9か月間継続した利用者のうち、(1)生活機能維持(2)社会参加促進を目標としている27名。それらに対し1.基本情報の抽出2.自宅内で実施可能な身体機能評価(Barthel Index、握力、5回立ち上がり、片脚立位、Hb-LSA、LSA)を初回評価(R6.9)、最終評価(R7.6)として行った。得られた評価結果を変数化しExcelにて統計処理、また目標別群に分類し比較・検討をした。
【結果】
対象者基本情報を表1に示す。全体として平均年齢78.5±13.5歳、要介護度は要支援1:1名、要支援2:5名、要介護1:0名、要介護2:3名、要介護3:7名、要介護4:5名、要介護5:6名と要介護3以上が多く、主疾患は運動器が多かった。(1)生活機能維持群と(2)社会参加促進群間の比較としては、(1)生活機能維持群全体にて年齢、要介護度が高く、椅子からの立ち上がりと歩行状態の不可が多い傾向がみられた。
歩行自立群の身体機能評価結果(評価項目:平均±標準偏差[初回評価~最終評価の変化量])では、
Barthel Index(点):95.00±8.24 [1.07±3.37(p=0.136)]
握力(kg):14.06±4.77 [-0.28±2.87(p=0.366)]
5回立ち上がりテスト(秒):12.66±2.70 [-1.98±4.79(p=0.079)]
片脚立位(秒):12.51±11.80 [2.69±10.21(p=0.179)]であり、
Barthel Index:3名、握力:4名、5回立ち上がりテスト:9名、片脚立位:7名において点数の改善がみられたが、有意差は認められなかった。
生活空間範囲評価結果(評価項目:平均±標準偏差[初回評価~最終評価の変化量])では、
Hb-LSA(点):82.11±23.79 [-2.88±12.86(p=0.191)]
LSA(点):38.00±20.64 [-1.02±6.66(p=0.272)]であり、
活動範囲(初回評価時人数/最終評価時人数)では、
Hb-LSA:1.ベッド上(0名/0名)、2.寝室内(0名/0名)、3.寝室以外の自宅内(1名/1名)、4.自宅敷地内(0名/0名)、5.自宅屋外(敷地外)(13名/13名)、
LSA:1.寝室以外の自宅内(1名/1名)、2.自宅敷地内(0名/0名)、3.自宅敷地外(4名/3名)、4.町内(6名/7名)、5.町外(3名/3名)と得点・活動範囲の変化はみられたが有意差は認められなかった。
LSAにおいて、自立度の項目(介助なしでの活動範囲)を抽出した結果、自宅内:3名、自宅敷地内:3名、自宅敷地外:2名、町内:3名、町外:3名であり、自立活動範囲が「自宅敷地外」までに留まる者は8名であった。
【考察】
対象者基本情報より年齢・要介護度の高い利用者においては生活機能の維持を求める傾向にあったと考えられる。
身体機能評価結果より、握力において4名が得点向上した。筋力低下の判定指標(男性:26kg未満、女性18kg未満)を上回ったものは女性1名であり、全体的に上肢筋力低下傾向にあると考えられる。
5回立ち上がりテストでは9名が得点向上した。転倒リスク予測の判定指標として、12秒以上が転倒リスクありとされており、歩行自立者14名中6名がカットオフ値を上回っていた。
片脚立位では5名が得点向上した。地域在宅高齢者の転倒リスク予測の判定指標として、5秒以下が転倒リスクありとされており、歩行自立者14名中9名がカットオフ値を上回っていた。
5回立ち上がりテストの得点向上者が多かった傾向として、9名中8名は運動器が主疾患であった。9名のリハ継続日数平均は983±705.22日、年齢平均82±14.77歳であったことより、高齢・長期間のリハビリ利用者でも下肢筋力増強練習や生活動作練習などにより下肢筋力向上が図れたのではないかと考える。
生活空間の指標として用いたHb-LSA、LSAにおいて自宅敷地外以上の活動者は13名と多く、家族への介助方法支援も含め活動範囲の維持に寄与していると考えられる。
LSAにおいて自立活動範囲を抽出したところ、活動範囲が「自宅敷地外」までに留まる者は8名であった。5回立ち上がりテスト・片脚立位のカットオフ値をともに上回る5名中3名が転倒不安感を訴えており、介助なしでの生活空間・範囲拡大のためには身体機能の向上に加え、本人の歩行不安感や環境に対するアプローチも必要であると考えられる。
【おわりに】
訪問リハビリ利用者は様々な疾患・障害を有する者が多く、一概に身体機能評価が適応となるわけではないと感じることが多い。本考証において、身体機能・生活空間範囲では「町内」や「町外」への活動が可能な利用者もいるが、職員聴取によると「構音障害が残っているためデイとかに抵抗感がある」「酸素のカニューラをつけている姿を見られたくない」「(介護者も含め)高齢のため外出意欲が起きない」など身体機能は維持・向上しているが、精神・意欲や家族意向により積極的な活動範囲拡大や社会参加を望んでいない声もあった。本考証より改めて身体機能だけでなく、本人の精神的側面・意欲による影響、また家族や介護者の協力や地域環境も生活空間・範囲の拡大には必要であると考える。
今後も利用者や家族の目標に適した訪問リハビリを提供し、住み慣れた地域での生活・社会参加を支援していければと考える。
地域在宅高齢障害者のリハビリにおける目標は個々様々だが、大別すると(1)生活機能維持(2)社会参加促進が主であると考えられる。なかでも訪問リハビリの対象者は身体機能低下による外出機会減少、生活空間狭小化、社会参加制限となる傾向が多く、そのため訪問リハビリの利用が長期化することも多くなっている。
【目的】
当訪問リハビリを比較的長期に利用したことで、身体機能と生活空間・範囲の拡大が図れているのか有効性を検討する。あわせて介入目標による(1)生活機能維持群、(2)社会参加促進群との差、全体のうち歩行自立者を(3)歩行自立群として身体機能と生活空間・範囲についての検討を行う。
【方法】
対象者はR6.9~R7.6において訪問リハビリを9か月間継続した利用者のうち、(1)生活機能維持(2)社会参加促進を目標としている27名。それらに対し1.基本情報の抽出2.自宅内で実施可能な身体機能評価(Barthel Index、握力、5回立ち上がり、片脚立位、Hb-LSA、LSA)を初回評価(R6.9)、最終評価(R7.6)として行った。得られた評価結果を変数化しExcelにて統計処理、また目標別群に分類し比較・検討をした。
【結果】
対象者基本情報を表1に示す。全体として平均年齢78.5±13.5歳、要介護度は要支援1:1名、要支援2:5名、要介護1:0名、要介護2:3名、要介護3:7名、要介護4:5名、要介護5:6名と要介護3以上が多く、主疾患は運動器が多かった。(1)生活機能維持群と(2)社会参加促進群間の比較としては、(1)生活機能維持群全体にて年齢、要介護度が高く、椅子からの立ち上がりと歩行状態の不可が多い傾向がみられた。
歩行自立群の身体機能評価結果(評価項目:平均±標準偏差[初回評価~最終評価の変化量])では、
Barthel Index(点):95.00±8.24 [1.07±3.37(p=0.136)]
握力(kg):14.06±4.77 [-0.28±2.87(p=0.366)]
5回立ち上がりテスト(秒):12.66±2.70 [-1.98±4.79(p=0.079)]
片脚立位(秒):12.51±11.80 [2.69±10.21(p=0.179)]であり、
Barthel Index:3名、握力:4名、5回立ち上がりテスト:9名、片脚立位:7名において点数の改善がみられたが、有意差は認められなかった。
生活空間範囲評価結果(評価項目:平均±標準偏差[初回評価~最終評価の変化量])では、
Hb-LSA(点):82.11±23.79 [-2.88±12.86(p=0.191)]
LSA(点):38.00±20.64 [-1.02±6.66(p=0.272)]であり、
活動範囲(初回評価時人数/最終評価時人数)では、
Hb-LSA:1.ベッド上(0名/0名)、2.寝室内(0名/0名)、3.寝室以外の自宅内(1名/1名)、4.自宅敷地内(0名/0名)、5.自宅屋外(敷地外)(13名/13名)、
LSA:1.寝室以外の自宅内(1名/1名)、2.自宅敷地内(0名/0名)、3.自宅敷地外(4名/3名)、4.町内(6名/7名)、5.町外(3名/3名)と得点・活動範囲の変化はみられたが有意差は認められなかった。
LSAにおいて、自立度の項目(介助なしでの活動範囲)を抽出した結果、自宅内:3名、自宅敷地内:3名、自宅敷地外:2名、町内:3名、町外:3名であり、自立活動範囲が「自宅敷地外」までに留まる者は8名であった。
【考察】
対象者基本情報より年齢・要介護度の高い利用者においては生活機能の維持を求める傾向にあったと考えられる。
身体機能評価結果より、握力において4名が得点向上した。筋力低下の判定指標(男性:26kg未満、女性18kg未満)を上回ったものは女性1名であり、全体的に上肢筋力低下傾向にあると考えられる。
5回立ち上がりテストでは9名が得点向上した。転倒リスク予測の判定指標として、12秒以上が転倒リスクありとされており、歩行自立者14名中6名がカットオフ値を上回っていた。
片脚立位では5名が得点向上した。地域在宅高齢者の転倒リスク予測の判定指標として、5秒以下が転倒リスクありとされており、歩行自立者14名中9名がカットオフ値を上回っていた。
5回立ち上がりテストの得点向上者が多かった傾向として、9名中8名は運動器が主疾患であった。9名のリハ継続日数平均は983±705.22日、年齢平均82±14.77歳であったことより、高齢・長期間のリハビリ利用者でも下肢筋力増強練習や生活動作練習などにより下肢筋力向上が図れたのではないかと考える。
生活空間の指標として用いたHb-LSA、LSAにおいて自宅敷地外以上の活動者は13名と多く、家族への介助方法支援も含め活動範囲の維持に寄与していると考えられる。
LSAにおいて自立活動範囲を抽出したところ、活動範囲が「自宅敷地外」までに留まる者は8名であった。5回立ち上がりテスト・片脚立位のカットオフ値をともに上回る5名中3名が転倒不安感を訴えており、介助なしでの生活空間・範囲拡大のためには身体機能の向上に加え、本人の歩行不安感や環境に対するアプローチも必要であると考えられる。
【おわりに】
訪問リハビリ利用者は様々な疾患・障害を有する者が多く、一概に身体機能評価が適応となるわけではないと感じることが多い。本考証において、身体機能・生活空間範囲では「町内」や「町外」への活動が可能な利用者もいるが、職員聴取によると「構音障害が残っているためデイとかに抵抗感がある」「酸素のカニューラをつけている姿を見られたくない」「(介護者も含め)高齢のため外出意欲が起きない」など身体機能は維持・向上しているが、精神・意欲や家族意向により積極的な活動範囲拡大や社会参加を望んでいない声もあった。本考証より改めて身体機能だけでなく、本人の精神的側面・意欲による影響、また家族や介護者の協力や地域環境も生活空間・範囲の拡大には必要であると考える。
今後も利用者や家族の目標に適した訪問リハビリを提供し、住み慣れた地域での生活・社会参加を支援していければと考える。

